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「百万回の微笑みを愛の言葉にかえて」
第一章 忘却は罪?

百万回の微笑みを愛の言葉にかえて004

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 つくしSIDE)
 「えええええぇ~」
 「お前、うるせぇ」
 耳を抑えて顔をしかめる道明寺を呆然と見つめる。
 「じょ、冗談ですよね?」
 「ああ?なんで俺が、んな冗談いわなきゃなんねぇんだよ…恋人だと言われた第一声がそれかよ」
 「で、で、でも、そんなの晴天の霹靂で…」
 「ヘコキだろ?何べんも間違ってんじゃねぇよ」
 「へっ?」
 今度のは冗談だよね。そのわりには真顔でさらっと流してるのが気になるけど。
 「ま、ともかくよ、そういうことだから」
 「そ、そういうことだからって言われても…」
  困るんですけど。
 「で、これ」
 道明寺の中ではあたしの戸惑いは眼中にないようで、サクサクと言いたいことを進めてしまう。
 なにやら不穏なブツを懐からおもむろに取り出し、断るひまもなくあたしの掌の上に押し付ける。
 ちょ、ちょっと!これってもしかして!?
 掌サイズの高級感ハンパないビロードの箱。
「…おい、固まってないで、箱を開けてみろよ」
「ええっ?あたしがですかっ!?」
「てめぇに渡してるのに、他にだれがいるっ!?」
 ごもっともで。
 額に青筋の浮き出た彫塑じみた顔が怖い。
 ひぃっ!
  道明寺の威圧感たっぷり、無言の脅迫に負け、仕方なく嫌々掌の箱をあけた。
  ぺっか~~。
 うひいっ!
 まさに漫画でいう燦然たる光が飛び放たれている。
 な、何これ?これってまさか夜店で買った玩具ってことないよね。
 デ、デカイ。
 「す、すごいですね。これって何カラットあるんですか?」
 「さあ?とりあえず、ミラノで一番でかいダイヤ買ってきた」
 「…」
 「何?気にいらね?急だったから、オーダーする時間なくてよ。とりあえず、間に合わせでもってろよ」
 いえ、気に入るとか気に入らないっていうレベルじゃない感じですけど…じゃなくて。
 「こ、これってもしかして、婚約指輪ってやつですか?」
 「おう、とりあえず結婚はお前が大学、卒業するまではまつけどよ。約束だけはしておこうぜ」
 この人…あたしが記憶喪失だって、さっき聞いてたよね。
 て、いうか、恋人だった記憶どころか、知人だった覚えすらない。
 それで婚約?結婚?ありえない!
 しかも!…道明寺司。
 これに尽きる。人生15年(実際には18年らしいけど)、想像だにしなかった相手だよ。
 「あの、あたし、貴方と結婚なんて考えられないんですけど」
 「あ?」
 ピクッ、ギロッ、青筋再び!
 こ、怖いよ~。
 今にも殴りかかってきそうな雰囲気(こんなんでホントに恋人なの!?これじゃあ、猛獣だよ~)にビクつきながらも、人生がかかってる。
 いくら怖かったって、言うべきことは言うべき時にいわないととんでもないことになっちゃう!
 「だって、いくら貴方があたしを恋人だって言ったって、今のあたしには初対面なんです。何を信じればいいのか、貴方が言うことが本当にホントなのかだって、あたしにはわからないです」
 言った!
 「それなのに、いきなり指輪なんて渡されても困ります」
 「…」
 ち、沈黙が怖い。
 なんだか、ずっとこの人たちと相対してから吃ってるな。
 この人たち…道明寺司と花沢類って、それだけ緊張させられる相手なんだよね。
 本当にあたし…以下同文。
 ポリポリポリ。
 そんな音がしそうな仕草で道明寺が頭をかいて溜息をついた。
 「はあ~」
 何気ない仕草でも、なんだか無駄に様になる男だな。
 初めて思った。
 「ダメか。勢いに任せればなんとかなるかと思ったんだけど。やっぱり牧野だな。なんだか、頭打ってからこっち、妙に俺に対してお前ビクついてねぇ?妙な敬語なんか使って気味悪いくらい殊勝だし、俺のこと、さんづけで気色わりぃし」
 「あの…」
 「はあ~。婚約の件は前々から考えてて、マジだったんだけど、まあ、そうだろうな。今の状況じゃあ」
 パン!と膝を叩いて道明寺が立ち上がる。
 そして、真っ直ぐにあたしを指差して宣言した。
 「よし!決めた。卒業まで待ってやるつもりだったが、お前、いますぐ嫁に来い」
 「は、はあ!?」
 や、やっぱり理解できなすぎっ!

 司SIDE)
 鳩が豆喰った(豆鉄砲くらった)ような顔をして絶句する牧野に、ちょっと可笑しさがこみ上げる。
 こういう顔が好きなんだよな。
 女らしさも色気もないけど、何の飾り気もない素のままの感情をだしてありのままでいられる女。
 笑った顔と真っ黒な腹の中が一致しないことがほとんどの魑魅魍魎どもの中で、俺が唯一無邪気に信じられる存在。
 無二の親友たちのことも信じている。
 でも、それは小さな子供が肩を寄せ合うような信頼に似て、いずれ社会の荒波に立ち向かうとき、お互いの家が、お互いの立場がいずれ互いを分かつこともあるということをわかった上での諦観をともなった信頼だった。
 記憶喪失なんてそんなもん、すぐ元に戻るよな?
 でも、もし俺のことを忘れたままだったらどうしよう。
 たとえ、そうなったとしても絶対に、こいつは手放さねぇ。
 「俺は、まだ日本に戻ってくることはできねぇ。だから、牧野お前、俺についてNYに来い。どのみち、お前もいずれそのつもりだったんだ。いまでも構わねぇだろ?」
 「か、かまうっつうの!そんなの無理!!」

 とりあえず、平行線のまま牧野との話し合い?は決裂。
 まあ、いいけどな。
 どのみち、ちょっと昼休みに抜けてきた短時間で思いついたことをそのまんま実行しようとは思っていない。
 明日にでももっと詳しく牧野の状態を検査してもらわないとならねぇし。
 どちらにしろ、一旦NYに戻って、出直しだな。
 近日のスケジュールを簡単に思い浮かべながら、思考は今後の方針を練り始めていた。
 「「お、つかさー!」」
 「よ!来たか。久しぶりだな」
 噂をすれば影ならぬ、ちょうど思い浮かべていた親友たちが笑顔で歩み寄ってきた。
 「なんか、牧野がとんでもないことになってんだって?」
 「もう、司は牧野にあってきたんか?類が付き添ってたんだろ?」
 「ああ、司ももうすぐとんぼ返りでNYに戻るそうだから、牧野の家族が来るまでついてるように頼まれた」
 「で、どうなんだよ?牧野の様子。軽い脳震盪だったんじゃねぇの?」
 あきらが心配そうに俺の顔を見やった。
 「ああ、外傷的には大したことなさそうなんだが…。ボケちまってる」
 「「ボケた!?」」
 異口同音に驚愕する二人に、類が苦笑して首をふる。
 「端折りすぎだよ、司。牧野がそれじゃあ、、可哀想だよ」
 何言ってやがる。
 可哀想なのは、恋人だってのに忘れられた俺の方だってぇーの!
 まあ、声を大にして言わないのは、因果応報だろうって言い返されること間違いないから黙っていたが。
 「今度は牧野が記憶喪失だって」
 「マジかよ~。なに?司のことだけ忘れちまったとか?」
 ニヤリと笑って総二郎の奴がおれの反応を伺うように顔を覗き込んできた。
 やっぱりな。
 「それだけだったらまだ良かったんだけど、司のことどころか、俺たちのことも綺麗さっぱり忘れてしまっている。牧野の中ではまだ自分が高校一年生なんだ」
 それだけならって、どこが良いんだよ!
 「げ、マジか。て、ことは…?」
 「俺らみんな赤の他人。俺は道明寺さんで、類のやつは花沢さんだとよ」
 あきらと総二郎が互いの顔を見合わせて、パチクリと目を瞬かせた。
 「で、どうすんだ、司。お前のこと忘れちまったってことは、恋人だとわかってないってことだろ?」
 「ああ、とりあえず、プロポーズしておいた」
 「「「はっ?」」」」
 「正気かよ?!お前のこと忘れたって女にプロポーズ!?そんなん受け入れられるわけないだろ!?」
 あきらが頭痛いとばかりに頭を抱える。
 オーバーなやつだな。
 「さすがは司君。常人とは思考回路が違うよ」
 「うるせえよ、総二郎。まあ、確かにプロポーズは断られた。でも、そんなん関係ねぇよ。あいつは俺の女だし、プロポーズ受けようが断ろうが、それはかわんねぇ。とりあえず、予定してたから消化したっつうだけで、俺がその気になったら無理やりにでも指輪はめさせて、引きずってでも俺んとこ連れてこさせるしな」
 「…つかさあ~」
 「おいおい~」
 「こんな司に見初められた牧野って本当に可哀想だよね」
 おい!なんだ、可哀想ってのは。光栄だ、だろ?
 「司様、そろそろ出国しませんと、明日の会議に間に合いません」
 秘書の寺島がタイムリミットを急き立ててくる。
 「ああ、今行く。て、ことで、わりぃけど、俺が戻ってくるまで、牧野のこと見てやってくれや」
 「て、何?司、こっちに戻ってくるってことかよ?」
 「ああ、しょうがねぇだろ。それか、さっさと籍入れちまって牧野をNYまで引きずってくるか。とりあえず、一度NY戻るわ。今のまんまじゃ、さすがの俺も身動きとれんし」
 「うーん、一部牧野にとって聞き捨てならない発言があったようだけど、OK。ダチだからな、頼まれなくてもなるべく面倒みるよ」
 「だな。しっかし、ホントつくしちゃんは、俺たちを退屈させないよ。びっくり箱みたいな女だぜ。お前も早めに仕事片づけて、牧野のそばに戻って来いよ」
 「ああ。類」
 「なに?」
 「俺のいない間に、牧野に手を出すなよ」
 「頼むって言ったり、手を出すなっていったり、相変わらず、司も勝手だよね」
 「うるせぇ。どうなんだよ?」
 ムッとする俺に、相変わらず表情を読めない飄々とした態度で、クスリと類が笑った。
 「牧野の中でリセットされたってことは、俺にはチャンスなのかな?いまのところ、記憶喪失なんて一時的なものかもしれないから、俺としては普通に牧野の力になるつもりだけど、先のことはわからないな」
 「なに!てめえ!類!!」
 「「まあ、まあ、まあ」」
 総二郎が俺を、あきらが類をわける。
 「司さま!お時間が!!」
 悲鳴のような寺島の急かす声に、チッと舌打ちして、俺は踵を返す。
 「またな!司!!」
 「じゃあな!」
 「早く、戻って来なよ」
 手をヒラヒラと振りかえして病院を後にした。

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