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「それでも貴方を愛しているから…全97話完+α」
第四章 愛憎…愛することとは①

それでも貴方を愛しているから086

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 道明寺自身はまだ、海外にいるという。
 珍しく特には聞いていなかったけれど、2日前にNYへ行き、ほとんどとんぼ返りでの強行軍。
 航空機の離陸待ち時間を利用しての連絡だったらしい。
 さすがに会社まで奥さんでもないのに押し掛けるのは勇気がいる。
 それでも、ここのところ深夜帰り、早朝出勤で、お邸には帰れないことも普通だとタマさんから聞いていたから、そんな忙しい中、わざわざ帰宅させるのも何だと、会社へ出向くと提案したけど、昼には着くから邸の方へと言外に却下された。
 車を回すという道明寺を、前々から会うのを約束していた桜子のところへ寄ってから行くと断り、道明寺との待ち合わせまでの限られた時間、この数か月でさらに大切さを実感させられた女友達とのおしゃべりに興じる。
 「…先輩の花の独身時代もいよいよ終焉ですねぇ」
 「はあ?」
 あたしの首から下がっている指輪を眺め、桜子がしみじみと呟く。
 「籍、いつお入れになるんですか?と、いうか、結婚式とかどうするんです?」
 「……うーん」
 正直、ああまで言ってくれた道明寺には悪いけど、さすがに結婚まではまだあたしの中では大いに迷いがあった。
 あの後、道明寺から何度となく、婚姻届けにサインすることを迫られた。
 あたしの印鑑まで押してあって(いいのか?それ)、あとはあたしのサインを待つだけの用意周到さ。
 実は、承認欄に魔女のサインがあったことには仰天したけれど、だからと言って、結婚して秘書うんぬんにまで魔女…もとい道明寺のお母さんが同意したとは思えない。
 危うく、道明寺のお母さんのサインに茫然としている間に、片手をもたれてサインさせられそうになったのには、拳骨で答えておいた。
 それに、結婚となれば、いろいろな問題も浮上してくる。
 その最大の障害といえば…やはり、このままではあたしに道明寺の子供が望めないことが最たるものだろう。
 人工授精だの、体外受精だの、果ては養子なんて、普通に考えてそんな簡単なものじゃない。
 ただでさえ、庶民の出で、家柄も財産も、名誉も…それどころか教養や美貌もないあたしとの結婚は、認めてくれるとはいえ、かなり大幅に大目に見てくれての上だと十分にわかっている。
 おそらく、噂に聞き及んでいる道明寺のNYでの大放蕩?だか荒廃だかが、いきなりの態度軟化に大きく貢献した可能性は大いにある。
 …飴玉与えて、とりあえず黙らせておけってか?
 かなり不本意だ。
 けれど、道明寺の言うこともわからないではなくって。
 あの時…高校生の時に道明寺とそういう関係を結ぼうというのに躊躇がなくなっていた。
 体を重ね、時を重ね、一つになりたいと確かに願った瞬間があった。
 それなのに、離ればなれで4年もの長い歳月を過ごし、いつの間にか、知らず知らずのうちにあたしの中で、道明寺の存在が遠くなったと言うのは彼の言う通りなのだろう。
 久しぶりに見たアイツは、大きく立派になって、まるで知らない男性のようだった。
 『イイ男になったら、幸せにしてあげる』。
 よくもおこがましくもそんな台詞を吐けたものだ。
 けれど、そうやって本物のイイ男になったあいつが誇らしく…思いながらも、あたしが好きになったガキで真っ直ぐで、我武者羅なあいつがどこにもいなくなってしまったようで、無性に寂しい思いを感じたことも確かだった。
 ここにいるのは誰?
 ここにいるのは、本当にあたしが好きになった道明寺なの?
 そんな想い。
 何か不満があったというわけじゃない。
 でも、この誰よりも美しく、精悍で、煌びやかに燦然と輝いている男が、あたしの恋人だなんて信じられない気がした。
 …正直、引いていたのだと思う。
 その分、あたしの気持ちが一歩遠ざかっていた。
 それでも日本に帰ってきた道明寺が、そんなに多忙ではなく、あたしといる時間をもっととることができていたら、その違和感も拭いされていたのかもしれない。
 けれど、時々会う道明寺は、記憶の中の道明寺よりも、テレビやニュースで見るよく知らない他人により近くて。
 「…あ、そろそろ、お迎えの車をお呼びになった方がいいんじゃありません?」
 桜子が時計を確認して、教えてくれる。
 「うちの車で道明寺邸までお送りしてもいいですけど?」
 「あ…、ううん、いい。電車乗っていけば、そんなに遠くないし」 
 「何言ってんですか。今更遠慮しないでくださいよ。先輩を一人で帰したとなったら、どんなに道明寺さんから怒られるか」
 過保護な友人たちに溜息が洩れる。
 どこのお嬢だってーの!
 散々この22年の人生で、電車やらバスの公共機関は普通に使ってきたわよ。
 「いいから…」
 『…緊急ニュースが入ってきました』
 再度、送りの車を断ろうと口を開いたところで、見るともなくつけっぱなしにしていて、さっきまで優雅にNYフィル公演が放送されていた画面が、急に切り替わった。
 そして…画面には見慣れた男の横顔。
 「…先輩!?」
 悲鳴のような桜子の声。
 『道明寺財閥取締役副社長・道明寺司氏の副社長辞任と役員の退陣。同氏は昨日づけで、非公式に道明寺ホールディングスを退職していたことが…』
 辞職…?
 呆然とテレビを前に、あたしは立ち尽くす。
 『…このことは、本日夕刻に行われる記者会見場にて詳しく説明されるものと思われ、先駆けてこの事実を突き止めた…誌の記者…氏は、おそらく新年より取りざたされた司氏の不行状から端を発した一部の反対派による調査により判明した、同氏の見過ごされざるべき事件への関与、および反社会的倫理観への提言が大きく影響を及ぼしたと思われ…』
 ニュースキャスターの声が遠い。
 なに?どういうことなの?
 道明寺は道明寺財閥の次期総帥で御曹司なんだよ?
 その道明寺が副社長を辞任…どころか退職って、どういうこと?
 「…次期後継者は、道明寺さんのお姉さまの旦那さんが、つまりは将来的に生まれる道明寺さんの甥御さんか、姪御さんが継がれるってことですよね?…いったい、先輩?!」
 「あたし…行かなきゃ」
 「先輩!顔色が…っ!?」
 「…道明寺、あたしに話したいことがあるって。お邸にいかなくっちゃ」
 フラリと倒れ掛かったあたしを、脇から桜子が支える。
 「しっかりして!…お邸まではやっぱりうちの車でお送りします。私も…お邸までは同行いたしますよ」
 桜子の真摯な思いやりが身に染みる。
 「…うん、ありがとう。ごめんね」
 思いもよらぬ道明寺の身の上に起きた変遷に、あたしはわけもわからないままに、身震いを止められなかった。
 こんなことって…。

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~ Comment ~

先生!

ヤバイっす、もぉこーなったら朝から頭の中パンクしまくりです!!
赤札謝罪行脚からこーなったのか?
つくし婚の不承認からこーなったのか?
F4の作戦なのか?

家事も手につかず、子供達の夏休みの宿題も上の空の有り様で(・・;)ヤバイっす!
先が知りたいっっ【ワクワク】
今夜は眠れないかもです…早く朝になってと神様に祈りました~

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