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「それでも貴方を愛しているから…全97話完+α」
第四章 愛憎…愛することとは①

それでも貴方を愛しているから081

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 今度こそ、あたしは真っ赤になってるに決まってる。
 沸騰しそうな頭から湯気が出てるんじゃないかと、バカなことを考えながらも、平然とそんな恥ずかしいことを言う道明寺を見続けることができなくなって、俯いたまま顔を上げられなくなった。
 何言っちゃってんのよ…、抱かれるのは無理だと言ってるあたしに。
 「けど、俺を見くびんじゃねぇぞ。…5年待てと言われて、待っただろ?」
 5年待って…と言ったつもりはなかったけれど、確かに初めてそういう雰囲気になって、怖気ついたあたしが泣いてしまった時、あたしがその気になるまで5年かかるかも…とは言った覚えがある。
 「それが、あと5年伸びたって、どうだっていうんだ」
 「…どうだっていうんだ、って言われたって」
 「お前を永遠に失うことに比べたら、どうってことねぇだろ?」
 「……」
 どうでも…いいわけはないでしょう。
 あんたの言ってることは、現実的なんかじゃない。
 絵空事だよ。
 しかも、更に5年待ったって、あたしがあんたに抱かれることができるかどうかなんて、あたしにだってわからない。
 この男性に対する深淵的な恐怖が、不審が…怯えが解消されるかどうか、誰かわかるというのだろう。
 一生…プラトニックで?
 そんな馬鹿な話、ありえないでしょ?
 そう言いたいのに、道明寺のあまりに真剣な声に、半端な覚悟のない反論なんてできるはずもなくて。
 「俺はな、勝算があるんだよ」
 「勝算?」
 「ああ。お前、あの時、その気になってたよな」
 「あの…時?」
 「前に、ここに二人出来た時」
 5年前の時を思い起こす。
 ううん、わざわざ記憶を探らなくったってわかりきってる。
 憶えてるよ。
 確かにあの時、あたしと道明寺の気持ちは一致していた。
 そして、体の気持ちもまた、同じだったのだ
 「あの時のお前は確かに俺とそうなってもいいって思うほど、俺に惚れてたってことだよな」
 「どう…だろうね」
 「そうだったんだよ。誤魔化すなよ」
 言われて、確かに誤魔化していいことではないと、素直に頷く。
 確かに、あの時、あたしは道明寺に抱かれたかった。
 初めての経験に緊張や怯えは確かにあったけれど、この男と結ばれたかった。
 心だけでなく、体もすべてを重ね合わせて…離れなければならない4年間を耐え抜く力が欲しかった。
 たぶん、あたしが季節外れの夜のプールなんかに飛び込まないで、熱も出なければ、そうなっていただろう。
 もしかしたら、そうなっていたら、こうして今のような悩みを抱えずに、普通に道明寺と笑いあっていられたかもしれない。
 …でも、道明寺への憎しみや恨みを自覚しないままで?
 道明寺がマリッジリングを掌にのせたままのあたしの手をとり、そっと柔らかく握りしめる。
 その掌の中に二つのリングを握り込ませるように、柔らかく…でもしっかりと。
 「て、ことはだ、今のお前は俺に身を任せたいと思えるほど俺に惚れてない」
 「はあ?…また、あんたは突拍子もない」 
 突然どんな論法なのよ?
 この男の発想の飛躍には時折、本当についていけなかった。
 けれど、道明寺の中では確かな論拠を持った言葉だったようで、断固とした態度で畳みかけてくる。
 「突拍子もないことなんかじゃねぇよ。そうなんだよ」
 「そ、そんなことは…ないと、思う」
 自信満々に言いきられると人って自信がなくなるものだよね?
 普段は、こいつのこういうところに反発したくなって、ケンカになることも多いけれど、この時ばかりは言い募れなかった。
 「そうなんだよ」
 道明寺がもう一度、繰り返す。 
 「実際、仕方ねぇったら仕方ねぇよな。いきなり遠距離になって、4年も傍にいなくて、電話とメールだけ。やっと帰ってきたと思ったらほとんど会うこともままならねぇ。お前の気持ちが薄らいでいても仕方がない。俺のフトクって奴だな。」
 「道明寺」
 そんなこと思ったこともないよ。
 あんたが忙しいのは当たり前。 
 人よりずっと重い責任を背負って、懸命にそれを果たそうと努力しているあんたを知っていて、どうして、そんなことを思えるだろう。
 そう思うのに、確信に満ちた道明寺は、あたしに反論をさせず、握っていた手にギュっと力を込めた。
 そして、再び掌を開かせ、掌の中から指輪を取り出し、否やを言う前に強引にその一つをあたしの左の薬指へと通してしまう。
 「ど、道明寺!」
 「黙ってろ。お前がごちゃごちゃ考えると、結局なるものもなんねぇんだ。俺に全部任せろ。…いいぜ。お前にまた俺に抱かれたいと思わせるほど、俺に惚れさせてやる。それまで待ってやるよ。何年だろうと、何十年だろうとな。どの道、俺にはお前しかいねぇんだ」
 真摯な目があたしの目を貫き通す。
 「…そんなの、勝手だよ!」
 「俺は勝手なんだよ、なんだ、知らなかったのか?」
 自分の指へももう一つの指輪を勝手に自分で通し、ニヤリと笑う。
 「…知らないわけないでしょ?」
 「なら、諦めろ」



 結局あーだ、こーだ言ってるうちに日が暮れだして、平行線をたどったまま、あたしと道明寺はコテージへと戻った。
 日本に帰ったらすぐに入籍だ、と今にも婚姻届を書かされそうな勢いをなんとか宥めすかして、思いとどまらせ、とりあえずは…多少の猶予を承諾させた。
 『あとは覚悟だけだろ?…返事は決まってんだからな』
 強引を通り越して、すでにもう独善まっしぐらだったけれど、道明寺のどこまでも真剣な目にもう本当に逃げられない気もしている。
 指に嵌められた指輪を外すことは許されないまま…さすがのあたしも、こうまで強引な男の物言いに、逆らい通してあえて外すことまできなかった。
 実際に、何度か指輪に手をかけて抜き取ろうとしたところを、手で抑えられて戻されることもした。
 すっかり日が沈み、美しい星空を望む窓を眺めながら、あたしは今日何度目かの溜息を零した。
 「…あんた、いくらなんでも強引過ぎるでしょ」
 「また、それか。いい加減、往生際がわりいな、お前」
 クスリと笑って、シャワーを浴びてきた道明寺がジュースの缶を投げ渡してくれる。
 パシッと受けとって、気が付けばあたしもシャワーを浴びて出てきてから、夜景の美しさに目を奪われ、飲み物も口にしていなかったことを思い出した。
 そういえば、ちょっと喉が渇いていたかも。
 「…窓、閉めておけよ。日本よりは気候が高いとはいえ、まだ夜風は冷たいからな」
 「ねえ、本当にあんた、あたしと今晩一緒に寝る気?」

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