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「それでも貴方を愛しているから…全97話完+α」
第四章 愛憎…愛することとは①

それでも貴方を愛しているから079

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 その間、ずっと道明寺はあたしの手や腕、腰に手や腕を回し、かならずどこかしら体の一部が触れている状態で、片時も離れない。
 ここが日本だったら、恥ずかしくて片意地を張って、人目を気にするあたしは即座にその手を振り払ったと思う。
 けれど、ここのところの様々な出来事や、そういった非日常的な雰囲気があたしを素直にし、また、道明寺に対する人恋しさを募らせた。
 足元に打ち寄せる透明な波。
 ひんやりと冷たい水は、陽射しに火照った体を気持ちよく覚ましてくれる。
 「…あれ」
 視線の先…、波打ち際ギリギリのところにテーブルと2脚の椅子が置いてあって、あたしは意外さに立ち止った。
 「…海でも眺めながら少し休憩しようぜ」
 「これ、あんたが用意させたの?」
 もちろん、それ以外にはありえない。
 あたしの驚いた顔に、満足げなしたり顔。
 テーブルの上には、色とりどりの花で飾ったフルーツの籠。
 アイスティーだろう、冷たい茶褐色の液体の入ったガラスのデキャンターと、2客のグラス、それに中が見えるガラスのドームカバーの中には何種類もの小さなケーキ。
 「うわぁ」
 思わず小さく手を叩いて、歓声を上げてしまった。
 綺麗な青い海と空、傍らには甘く蕩けそうな眼差しであたしを見つめる恋人、真っ白な砂浜にオシャレなテーブルセット。
 テーブルの上には美味しそうなお菓子やフルーツ、お茶が、綺麗なお花に囲まれて置いてあって…。
 女の子の夢を集約したようなシチュエーションに、胸が動悸うつ。
 こいつって、見た目はともかく野獣な男なくせに、こういうところは本当にロマンチストで、むしろ現実の雑事に忙殺されがちのあたしまでも、甘く一人のただの恋に夢見る乙女に変えてしまう。
 たぶん…あたしが小さな頃に夢見た王子様そのまんまの男だといっても過言じゃないんだろうな。
 「ボケっとアホ顔晒して口開けてねぇで、座れよ」
 …ホント、この口汚さがなければね。
 それでも、かすかに頬を染めて、あたしを見つめる熱く甘い眼差しに、いつもは文句を言い返すあたしの口も引き結ばれて、よけいな悪態を返せない。
 椅子の前に立つと、自然に道明寺が椅子を引いて、あたしの動きに合わせて座らせてくれる。
 そして、自分の席に戻ると、グラスへとデキャンターのお茶を大きな手で楽々と片手で注いでくれる。
 …ワインを注いでくれる時も思うけど、こいつがサーブしてくれると、すっごく優雅で所作が綺麗。
 普段は自分の物でさえ、たての物も横にしないような生活を送っていると言うのにね。
 「可愛い~」
 道明寺がドームカバーをオープンし、ケーキを勧めてくれる。
 「迷っちゃうな~。あんた、どれ食べる?」
 「俺はいい、好きなのとれよ。なんなら、全部食えばいいじゃん」
 「…いくらなんでも、そんなに食べれないよ。美味しそうだよ、あんたも食べなよ。ほら、これなんてあんまり甘くなさそう」
 無理やりにシンプルなチーズケーキをとって、小皿にのせて道明寺に差し出す。
 あたしはあたしで、もも、キウィ、メロンを組み上げたフルーツタルトにフォークを差す。
 小さいから、一口でもいけそう。
 「美味しい~」
 頬っぺたを抑えて、つい歓声を上げてしまう。
 二口でペロリと平らげて、次のケーキへ。
 ついつい顔が緩んでしまうのが止められない。
 …と、視線を感じて顔を上げてみれば、いつものとおり、片肘ついて嬉しそうにあたしを鑑賞している男。
 その様子が、以前とまったく変わらなくて…嬉しいような、気恥ずかしいような、甘酸っぱい想いに胸を塞がれて、照れ隠しにぶっきらぼうに文句を言う。
 「…ちょっと、あんまりジロジロ人の食べているとこ見ないでよ」
 「なんで?」
 「恥ずかしいって、いつも言ってるでしょ?」
 「いいかげん慣れてんだろ?何年俺と一緒にいるんだよ」
 「…何年って、ほとんど遠距離で、言うほど一緒にいないわよ」
 ツンと言い放ってやると、あたしの可愛くない物言いに呆れたのか、溜息をついて、自分の前に置かれた手つかずのチーズケーキも、あたしの方へと押しやってくる。
 「これも喰えよ。いくら一緒にあんまいなかったにしたって、俺が甘いもん苦手なくらい、鳥頭なお前だって憶えてんだろ?」
 「…鳥頭はよけいだっつーのっ!」
 腹立ち紛れにグサッとチーズケーキに勢いよくフォークを差し、真っ二つに切って、悪戯っけを起こす。
 「口あけなっ!」
 「あ?」
 突然に大声を出したあたしをポカンと見返した男の口へと、無理やりにケーキを押し込む。
 「むぐっ!んん~っ!?」
 「どう?美味しいでしょ?」
 目を白黒させている男の様子に、笑いが止まらない。
 「あはははは!その顔!子供みたいに口中に食べかすついてるよ!」
 こめかみに青筋浮かべて、片頬をヒクヒクさせて、一生懸命ケーキを飲み下してる顔が可笑しくて、おかしくて。
 こんな顔、普段いかにもカリスマ然として対峙されてる、この男の部下たちが見たら、面喰って、卒倒しちゃうかも。
 「どう?美味しかった?」
 一段落ついたようなのを見計らって、あえて問い掛ける。
 憮然とした顔が、それでも返事を返す。
 「…ゲロあま」
 「ははは!どれどれ、残りはあたしが食べてあげる」
 案の定、道明寺が言うほどには甘くはなくって、程よい甘さと甘酸っぱさが口に嬉しい。
 「美味しいじゃん~。こんな美味しいものを美味しいって感じられないなんて、あんた不幸だね」
 「…不幸でけっこうだね」
 フンと鼻を鳴らして、憮然と紅茶をガブ飲みしている。
 それこそあたしの方こそ子供みたいだと自分でも思うけど、楽しさが止まらない。
 なんだか、久しぶりに、心の底から笑った気がする。
 ずっと、こいつと仲違い?して、悩んで苦しんで、本当の意味で笑えてなかったんだと実感する。
 まだ、何もすべてが解決したわけじゃないのに。
 それでも、この男と一緒に過ごして、ただ、こうやってたわいのないことで笑いあえているのが凄く嬉しい…。
 それがどうしてかなんて、ちゃんとあたしにだってずっとわかってる。
 わかってるから、ずっと辛かったんだと。
 ふと、テーブルの端のフラワーアレンジメントの籠の合間に、キラリとした煌めきを発見して、怪訝に籠を手元へと引き寄せる。
 なんだろ?
 馴染みの薄い極彩色の花々が籠一杯に盛られていて、柄にもまるでツタのように編み込まれていた。
 あ、これだ。
 「なに、これ?」
 籠に編み込まれた赤いリボンの先っぽに結ばれた煌めき。
 「…これって」
 リボンを解き、掌の上にとって、目を見開いた。
 そして、そのまま茫然と目の前の男を見返す。
 「これ、どうして?」
 「どうしてって、そのまんまの意味だけど」
 一対のエタニティリング…これって、マリッジリングじゃないの?

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