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「それでも貴方を愛しているから…全97話完+α」
第四章 愛憎…愛することとは①

それでも貴方を愛しているから072

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 西門さんとは、以前は毎週のように通っていた西門さんのお邸の茶室で会うことになった。
 西門さんが大学院生、あたしが大学4年生になり、道明寺が日本に帰国したことで、互いの時間が中々あわなくなり、またある程度基本的なお茶の素養は教え込んだ…と西門さんに太鼓判を貰うに至り、ここのところは以前の頻度では通わなくなっていた。
 その上、さらにあたしの提起した過去への回帰。
 大学ではたまに見かけることはあっても、会おうとしなければ実はそうそう会うことなんてできないと言うことを知る数か月だった。 
 そういえば、いつも西門さんの方から声をかけてくれてた。
 なにくれとなく気を使って心配してくれてたこの人たちのありがたみを、あまりに粗末にしてたんだな、と今更ながらに思い至る。
 道明寺が遠くNYの空へと離れて、そう孤独も感じずにすんだのは間違いなく彼らのおかげだったのに。
 いざ、道明寺が戻ってきて、あたしも日々の多忙さに忙殺されるようになって、いつの間にか不義理をしていたことに気が付くなんて。
 まあ、西門さんだって忙しんだから、いつまでもあたしのことでかかずらわっているのも迷惑ではあるだろうけど。
 久しぶりにお茶をたててもらって、心を静めて…本題に入る。
 「まずはすまなかった」
 着物姿の西門さんは、綺麗な所作で謝罪した。
 「本当は土下座するべきなんだろうけどな」 
 「ど、土下座なんてやめてよ」
 そういうと思ったよ、とかすかに固い笑みを浮かべ、西門さんは一つ息をついた。
 いつもは真っ直ぐ人の目を見る人が、わずかに伏し目がちなのはそれだけ気まずさを感じているからなのだろう。
 「司が…お前を複数の手下に襲わせた話も聞いてた…もちろん、そんなことをしでかした後だったけどな」
 あたしは神妙に頷いた。
 そうだろね、今でさえ、プライベートのことはツーカーに彼らに話す道明寺だ、当時だってそうかわらないだろう。
 「正直、そこまでやるか?くらいには思ったけど、それほど深刻にはとらえなかった。
自分で赤札貼ろうとするほど熱意はなかったけど、司のやることはそれなりに面白い余興くらいには思ってたよ」
 あたしに対して誠実であろうとしているのだろう。
 けれど、『余興』と言われることには激しい嫌悪と、衝撃を感じずにはいられなかった。 
 でも、それが当時の彼らの本当の姿だったんだ。
 他人の痛みに鈍感で、非道で、冷酷なお坊ちゃま集団。
 「退屈だったからな。手あたり次第女と遊んで…まあ、これは今もそう変わんねぇか」
 悪人を気取って揶揄る西門さんはらしいようで、それがこの人の本質でないことはわかってる。
 「女と遊ぶ意外に、つまんねー毎日の鬱屈を紛らわせてくれるお遊び。そんな認識だった。俺以上にツマンネー顔してた司の顔が変わった時は驚いたぜ。周りに壁作って静以外を拒絶してた類が、お前に反応したのにはもっと驚いた」
 「……」
 「一生懸命怒って、俺らを怒鳴りつけてるお前見てたら、つまんなかった平凡な毎日って奴も悪くないもんだって思う様になって…そうしたら、俺ら以外の人間もそうやってつまんねーとか思ってたり、悪くないって思ったり…苦しんだり、哀しんだりするんだって、気が付いた」
 「あんたら、遅いんだよ。高校生にもなって」
 つい憎まれ口を叩くと、ぶっと西門さんが噴出した。
 でも、ゲラゲラ笑う感じではなくって、噴出したものの、すっきりとした目元を伏せ、真摯な態度を崩さなかった。
 「本当だな。…それでも、今も他人の痛みをわかってるかって言われると、あんま自信がねぇ。お前とダチになって、毎日が楽しくなって、互いのテリトリーを侵さないことが暗黙の了解だった俺らの関係が変わって…お前や司、類やあきら、滋や桜子、優紀ちゃんなんかを大事にしたい、守りたいって気持ちが湧くようになっても、それ以外の赤の他人なんて守りたいとはいまだに思えねぇ」
 「西門さん」 
 「でも、お前らのことは大事なんだよ。そう思ったら、俺らが痛めつけてたやつらにも、そう思ってくれる誰かがいたんだよな、って思えたよ」
 「…そうだね。あたしもそう思うよ」
 英徳には友達がいなかったというかすみさんにも、心配するお母さんがいた。
 大事に思ってくれる誰か…なんて回りくどい言い方してるけど、西門さんが痛みを感じていることは伝わる。
 確かに、あたしが提起するまでこの人は気が付いてくれていなかったのかもしれない。
 それでも、あの頃のこの人とはまったく変わったとあたしは思う。
 もう無邪気に道明寺の主催した赤札遊びを傍観して楽しんだりしないだろう。
 卑劣で陰湿な自分たちを自覚して。
 誰だって自分の大切な人以外の赤の他人を守りたいなんて思わない。
 けれど、他者を虐げることで心の隙間を埋めようとしたところで、何の解決にもなりはしないのだから。



 類と会うのは、花沢物産の専務室でということになった。
 正直気後れするもいいところなんだけれど、去年から続く仕事上のトラブルだとかで、日本全国、海外にまで飛び回っている類の時間を確保するのが難しかったのだ。
 なんとしても時間をとると言う類だったけれど、改めて長々と時間をとってもらうというのも何か違う気がした。
 類としてはもちろん、真摯な気持ちを伝えるために、せわしない時間の中で…というつもりは到底なかっただろうけれど。
 もし許されるなら、類の家にでも…と言ったあたしに、『うちにはほとんど帰ってないから、よければ会社にきてくれないか』ということでの会談となった。
 類のことも加害者の一人だと言い切ったし、実際傍観者であっても罪はあるとあたしは思っている。
 けれど、彼は同時にあたしを何度も助けてくれた人で、あの敵だらけ、味方一人いない中で唯一あたしを守ってくれた人でもあった。
 曲りなりともあたしがこうして道明寺の根性を叩きなおして、真っ直ぐたっていられるのだって類のおかげだと言い切れる。
 さすがのあたしも、集団レイプの被害者になって、まともな精神状態を保てたとは思えない。
 その後も、何度となく悩み、苦しむあたしを救ってくれたのだ。
 「ごめん、待たせたね」

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