「それでも貴方を愛しているから…全97話完+α」
第一章 悪夢再来

それでも貴方を愛しているから008

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 お昼を食べて、二人で歩き出してすぐイチョウ並木に差し掛かかった。
 どうやら、あたしたちが入った入口より東側にあった入場口付近の方が本数が多かったみたいだけど、こちらも十分すごい。
 100本近いイチョウの木が道の両サイドを彩り、訪れる人々の足元に赤や黄色の絨毯を敷き詰めてゆく。
 「わあ、綺麗だねぇ」
 ぽか~んと上向いたまま自然の美に魅せられていると、駆け出したあたしの後ろを悠然と歩いていた男がクスリと微笑を洩らす。
 「あんまりでっけぇ口開けてっと、葉っぱが入っちまうぞ」
 「え?わ、ぷっ」
 言われて振り返ろうとした途端、言わんこっちゃない?口元に黄色と赤のグラデーションに染まった葉がヒラリと落ちてきた。
 「ぶっ!おま、面白すぎ。ガキかよ」
 クスクス笑いながら追いついてきた道明寺が、あたしの手から葉を取り上げて木漏れ日に翳す。
 「今日、一枚目の収穫だな」
 そして、改めてあたしに手渡しながら、不思議そうに首を傾げた。
 「…なに?」
 「え、あ、ううん。な、なんでもない」
 慌てて銀杏の葉を受け取って、歩き出したあたし。
 紅潮したあたしの首筋に気が付いて、男がニヤリと笑う。
 「なんだよ、俺に見惚れてたか?」
 「ば、ばかっ!自惚れんなっ」
 振り向けないあたしの内心なんて、とっくにわかっている男の機嫌よいクツクツ笑いが余計に恥ずかしい。
 コイツの容姿がいいなんて、昔からわかっていたことだけど、こうして穏やかな日々を過ごすようになるまで、あまり意識したことがなかった。
 カリスマ的なオーラやその完璧な美貌が人を惹きつけ従わせたけど、あたしにとってそんな男の一面はなんら魅力的ではなく、こいつの純粋さや子供っぽさ、一途さにいつしか絆され、気が付けば好きになっていた。
 ジェットコースター的な恋の逃避行の連続だった高校時代を終え、遠恋を経験し、こうして二人でいるようになって、道明寺はあたしにこの男のまた別の一面を見せるようになっていた。
 穏やかさや、柔らかい気遣い、優しさ。
 もともと不器用ではあるけれど優しい男ではあったんだよね。
 でも、そんなこの男に似つかわしくないはずの表情を、時とともに多くあたしに見せてくれるようになって、
ますますあたしばかりがこの男にハマってゆくのが面映ゆく、時々ひどく苦しいような気分にさせられた。
 「こっちも見事な紅葉だな」
 頬をかすめた柔らかい感触は…まさか?
 あたしが我に返って怒り出す前に、何事もなかったかのようにあたしの手をとり、さっさと歩き出した。
 「せっかくデートしてんだから、一人でさっさか行くなよ。俺の手を放したら減点」
 「ぷ。いったい、なんの減点よ」
 ただ、歩いているだけ。
 それがこんなに楽しくて、心が満たされるのはどうしてなんだろう。
 大好きな男の横顔を見ながら、ただ歩いてゆく。
 それがこの上なく、幸せで。

 その日は結局、園内を走行するパークトレインに乗って(人一倍デカイ道明寺には、狭すぎて居心地が悪そうだったけど)、展望台に昇って、都内最大のコスモスの丘を鑑賞したけど、訪れたときに乗ろうと言っていたあひるボートには乗れなかった(道明寺は、普通のボートならともかく絶対!?にあひるボートにだけは乗らないと言い張った)。
 それでもあたしは大満足で、まだまだ見どころがある公園に未練を残しながら、次回は絶対にあひるボートに乗るという野望を抱きつつ、
園内を後にした。
 楽しい時間はあっという間に過ぎて、夕暮れ時。
 今度は街中に戻り、道明寺御用達のブランドブティックの駐車場へと降り立つ。
 「買い物するの?」
 「ああ、この後、ホテルでディナーを予約してっからな。お前、そのカッコじゃ、なんだろ?」
 て、あたしの服かい!?
 一応、最初から恋人に逢うつもりだったのだから、いつものようにジーパン、コットンシャツなんて格好じゃあないけれど、道明寺のここのところのスケジュールから行って、きっと疲れているだろうから、てっきりお邸デートだと思っていた。
 だから、ベージュのキュロットとニットのアンサンブルというきわめて庶民的なカジュアルそのものな装い。
 一方、道明寺の方は、いつものカッチリとしたスーツ姿に比べればカジュアルといえるけれど、ジャケットも持参しているから、それを羽織れば十分セミフォーマルな場にも対応できる。
 「え~、いくら久しぶりだからって、何も外で食事しなくても。もし、どうしてもっていうなら、一度お邸に戻ればいいじゃん?」
 「面倒くせえ。つうか、最初からそのつもりだったし。ほら、グダグダ言ってねぇで、さっさとついてこいよ」
 まだ、ブツブツ言っているあたしを、
 「男に恥かかせんなっ」
 の一言で押し出し、ファッションショー。
 相変わらず入口に道明寺が現れただけで、揉み手のお店幹部が脇につき、数人の専属販売員がそばでつきっきりで、次々に衣装をあたしに着せ掛けてゆく。
 道明寺が気に入ったのは淡いピンクのカシュクールワンピースで、シンプルなデザインがあたしの凹凸の少ない体も逆にスッキリ見せてくれる。
 胸元が大きく空いているので、首元に大ぶりの真珠のアクセサリーと純白のティペットをあしらった。
 なんだか、いつもながら、そうやって道明寺チョイスの洋服を身に着けると、あたしも良いところの御嬢さんに見えるから不思議だ。
 にわか仕込みのシンデレラ。
 「あとは、邸の方に運んでおいて」
 相変わらず、試着した分はすべてお買い上げらしい。
 はあ、とため息をついて、一応いっても無駄だとは思うけど、一言言わずにはいられない。
 「ねぇ、今日は誕生日でもクリスマスでもないんだけど?」
 「あ?また、それかよ」
 「だって、わたし、こういうの嫌だって言ってるじゃない?今日の分は、まあ、あんたに恥かかせるわけにはいかないから、しょうがないけど…」
 チラリとあたしを見下ろしたものの、お店の店員に真っ黒なカードを渡し、さっさと支払いを済ませ、あたしの手を取り店をでる。
 昔のあたしだったら、いるいらない、と店前でもぎゃあぎゃあ反発するところだけど、さすがにこの年になって、あまり目立つ派手なことはしたくない。
 高校生の時以上に、顔の知れ渡った道明寺の顔を潰すわけにはいかないし。
 大人になったってことなのかな…。
 「俺の稼いだ金で、俺が買いたいもん買ってんだ。文句言うなよ。今日は、お前、楽しかったって言ってたじゃねぇか?」
 「ああ、うん、それは、本当に楽しかったよ?」
 「じゃあ、今度は俺を嬉しがらせてくれ。俺がお前を着飾らせて、そこら中の男どもに見せびらかしたいんだ。俺を楽しませてくれねぇの?」
 そういう言い方をされるとズルいよね。
 だいたい、あたしを着飾らせたところで、あんた以外の男性にはなんの効果もないと思うけど。
 こいつは嫉妬深い癖に、あたしに対して不思議にこういう顕示欲も持っている。
 そして、誰も見てやしないというのに、わけのわからないことでまた嫉妬するという…。
 黙り込んだあたしに了承を得たと思ったのか、道明寺は車の助手席のドアを開けてあたしを座らせる。
 道明寺も続いて車に乗り込んでくるのかと思っていたら、
 「ああ、ちょっと5分くらい待ってろ」
 と、言い置いてどこかへ歩き去ってしまった。
 なんだかな~。
 プレゼントも豪華なディナーも、こういったお姫様扱いも嫌なわけじゃない。
 あたしも女の子だもん。
 いっぱしのシンデレラ願望くらいある。
 子供の頃の夢は王子様のお嫁さんになることだったくらいだし。
 でも、実際に、世間の人からみていわゆる玉の輿といわれるだろう男を捕まえて、いままでの自分と180°違う生活や待遇を見せられると戸惑いばかりが先に立つ。
 道明寺自身がそういう生活を送っている分には、別にかまわないというかもう慣れたんだけどね。
 実際には、かなり道明寺もあたしに歩み寄ってはくれているとはわかっているんだ。
 やつの辞書の中に、公園デートやお昼は弁当もってピクニック!なんて本来はないもんだろうに、いつの間にかあたしたちのデートでは違和感なく四季折々の行事として織り込まれるようになっている。
 まあ、あの男自身はそういう場所に激しく浮き上がっていること甚だしいけど、幸い気にしない性格だし。
 そんなことをつらつらと考えつつ、外観の居住性の悪さとは裏腹に、やっぱりというか高級車。
 とても座り心地のよいシートに埋まるように座っていると、前方から道明寺が戻ってくるのが見えた。
 …て、あれって。
 「ほれ」
 運転席をあけながら屈みこんで、差し出してくる大量の…薔薇。
 「…」
 「?何してるんだよ、さっさと受け取れよ」
 「え?て、くれんの?」
 「ああ?こんなもん、やるんじゃなけりゃあ、俺にどうしろっていうんだ?」
 思い出されるのは、高校生の時に部屋いっぱいに贈られた1000本は軽く超えるんじゃないかという花の山。
 あれはいい思い出というより、花の匂いが強烈過ぎて、当分見たくないという後遺症を残した事件だった。
 久しぶりに見たけど、この程度なら、素直に綺麗だと思えるな。
 そうはいっても、あたしが抱えたら両腕から溢れそうなくらい大きな花束だけど。
 受け取りもせずにじ~と花束を見つめていたら、やばい、道明寺がイライラして額に青筋が浮かびだす。
 「おまえ、早く…」
 「はいっ!ありがとうございます。謹んで、いただきます」
 なんだよ、それ。
 と、道明寺は苦笑しながらも嬉しそうに花束をあたしに渡し、運転席に乗り込んだ。
 「…どうみても、あんたの方が似合ってたけど」
 「はあ?」
 「ううん、なんでもない。イイ匂い~」
 「そっか。じゃ、出発すっか」
 荒っぽい性格に似合わぬ丁寧な運転で、道明寺は車を発進させる。
 花沢類のような、いかにもお伽噺にでてくる王子様とは正反対な男な癖して、やっぱりこいつって王子様なんだよねぇ。
 額に青筋立てて、目を三白眼に怒らせた猛獣王子を脳裏に思い浮かべ、吹き出しそうな口を気づかれないようにそっと抑えた。

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今日はたくさんコメントくださった鍵コメの方へ^^

いつもコメントありがとうざいます^^
マトメてお返事しちゃいますね~。
お体の調子が悪かったとのこと、大変でしたね。
ここのところ急に寒くなって、風邪のひきやすい季節、大事になさってください。
朝のコメントですが、実はとても嬉しいです^^
私的に、「夢で逢えたら」は司の苦悩を描きたいお話でしたので、哀しく思われる方には「うう、申し訳ない」
と思いつつ、文章能力にあまり自信がありませんので、果たして可哀想に思われるように司の心情が伝わってるかな、というのが一番の心配なのです。
自分で書いてると、自分の中にはすでに悲痛なイメージがあるので、それが文章に表れてるのかまったくわからず^^;とりあえず、成功してるのかな?
私はハッピーエンドじゃないと絶対いや!な人なので、こんなお話でも最後は?ハッピーになりますのでご安心を。と、いうか、このところは次の章への切り替えなので、司君の暗さばかりがクローズアップされてますが、
ここをすぎると、また第二章からはしばらく、呑気なお話も出てきます。
実は、他の方にも「明るい短編を!」というコメをいただいていて、私も書きたいのですが、処理能力が追い付いていず^^;一応、一作ほど、ガーーっとあらすじ考えまして、3~5話(え?短編じゃない?)くらいで書き上げたいのですが、脳をいったん明るくしちゃうとこの「夢で逢えたら」が書けなくなっちゃいそうなので、とりあえず第一章終了まではご容赦くださいm_ _m 拍手も思わぬほどいただいて感激してますので、拍手お礼短編とかも書きたいとか野望が…。やはり、一応カラーを変えた作品を目指しているので、同時期に違う話の更新は難しかったり^^;すいません、「百万回~」も忘れてません。
「それでも貴方を愛している」は「百万回~」よりは重めですが、そんなに司君ケチョンケチョンとかいう話ではないのでご安心を。こっちは他の二つより半分以下で仕上げる予定ですので、できれば先に完成させたいという思いも抱きつつ…。
これからもおつきあいくださいませm_ _m
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