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「それでも貴方を愛しているから…全97話完+α」
第一章 悪夢再来

それでも貴方を愛しているから007

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 普段は運転手付きのリムジンで移動をし、滅多に自分で運転などしない道明寺も、ごく普通にこの年頃の若い青年の大多数と同様に車好きだ。
 何台かスポーツカータイプの高級外車も所有していて、もっぱら使用するのはあたしとのデートのみというもったいない使い方をしている。
 本日のお車はフェラーリ458スペチアーレという先日?発表されたばかりのニューモデルで、まだ正式販売にいたる前に道明寺がぜひにと入手した
ものだそう。
 道明寺の車の趣味は本人の性格がかなり反映されているのか、とにかく派手!高い!やたらとカッコつけ!なスポーツカータイプばかりで、見た目の多少の差異以外どうでもいいというか、どうせめったに乗らないんだから、せいぜい一台で十分だろうと思うんだけど、いまのところコイツとのデートで同じ車にお目にかかったことはまだない。
 「で?この後、どうするの?わざわざ、いつもの運転手さんつきのダックスフンド車じゃなくって、アンタが運転してくるなんて、どっか遠出でもするわけ?」
 よほどご機嫌がいいのか、道明寺がふんふん♪珍しく鼻歌めいたリズムをとっている。
 「どうすっかな、もう昼時間だし、お前も腹減っただろ?どっかでとりあえず飯にすっか」
 「うん、でも、てっきりお邸にいったん戻ってお昼を済ませてから出かけるのかとばかり思ってたから、あたしあんまり格式ばったところで食事できるような格好してないよ?」
 自分の超!普段着な格好を見回してため息をつく。
 「ああ、お前のことだから別に期待してねぇよ。どのみち、店で食うつもりないから邸で弁当作らせてきたし」
 道明寺が後ろをしゃくったので、覗き込んでみると高級感あふれる革張りの漆黒のシートにちょこんと乗った重箱が入っていると思しき薄紫の大きな風呂敷袋が目に入る。
 「今日、天気いいだろ、紅葉狩り?紅葉ってやつを見に行こうぜ。お前、そういうの好きだよな」
 一瞬キョトンとしてしまったけど、ふつふつと嬉しさが湧き上がってくる。
 憶えていてくれたんだ、道明寺。
 ちょうど、2週間くらい前の週末、ちょうどこいつが忙しいときに交わした電話の最中、テレビで放送されていた紅葉を見るともなしに見ながら、
 『そういえば、そろそろ紅葉が綺麗なシーズンだよね。今年はまだ見に行ってないなあ』
 『高揚?ば、ばか!他人のそんな場面、見てどうすんだっ』
 『はあ?椛や銀杏の葉の衣替えのことなんだけど…?』
 『…。そ、そうか』
 どんな場面、想像したんだろう…。
 まあ、それはともかく、そんな日常の他愛無い会話の一つだった。
 赤信号に差し掛かり車を止めた道明寺が、ハンドルに載せた両手の上にその端正な顔を預けて、こちらを窺い見る。
 「紅葉の下でピクニックしようぜ、いい?」
 あたしの反応を阿るように見る道明寺が、なんだか、とっても可愛い。
 俺様男のくせに。
 「うん、嬉しい」
 いつもは意地っ張りなあたしの素直な返事に、道明寺は嬉しそうに笑うと、視線を戻して車を発進させた。
 滑るように走るスポーツカーに乗って40分。
 いつもはこんなド派手な車で、似合いの派手男の横の助手席という妙な緊張をさせられるあたしも、あたしの些細な言葉を真に受けて忙しい中でも忘れずに憶えてくれたことが嬉しくてあまり、気にならない。
 毎度のことながら、赤信号で停まるたびに通行人や交差点を渡る女の子たちの視線は痛いけど、そろそろウキウキ感が落ち着かない気分に戻ってしまう前には高速道路へと進んでいた。
 そして高速を抜けると、都内とは思えない閑静な一帯へ。
 そのまま、広大な駐車場へと車を駐車させ、促されるままに道明寺にドアを開けてもらって外へと足を踏み出した。
 「わあ、ここって」
 日本最大の国営公園。
 広大な敷地面積と色濃い自然をを包括した公園は、平日の昼間のためだろう人影もまばらで、ちらほらと年配のご夫婦や、小さな子供を連れた若い女性たちが何組か見えるばかり。
 まあ、それでも切れ間なく人通りはあるので、これほど大きなところでなければ、平日の昼間!だというのい盛況だといえるのかもしれない。
 「お前、ここに来たことある?」
 「あ、ううん、あたし初めて。道明寺は?」
 「俺は、小等部の頃、何度か来たことあっかな」
 「へえ、ここって複合的な公園だから、都民の休息の場っていうほかに、子供向けの巨大な遊具やプールもあるんだよね、確か」
 「ああ、らしいな。俺らはガキの頃、連れられてきたっつうても社会見学の一環だったから当然、SPつきだし、ごく限定した場所しか滞在してねえんだよな」
 「て?つまり、子供が遊ぶような遊具とかで遊ばせてもらえなかったってこと?」
 「まあな、警備の面とかの問題があるから、まさか一般の奴らと入り混じって遊ぶなんてさせられねぇし、第一ケガとかの心配もあっからな。一通り、周遊させられて季節おりおりの花や木々の鑑賞つうのがメインで、あとは展示場見学。情操教育ってやつ?」
 「うわあ、つまんないねぇ、そりゃあ」
 そんな話をしながら門を抜け、手を繋いで少し歩いてゆくと、ヒガンバナが咲き乱れる花畑。
 その向こう側には、何艘かのボートが浮かぶ人工の池があり、明るい歓声が時々流れてくる。
 お年寄りや子ども連れのママさんしかいないのかと思ったら、あたしたちみたいな若いカップルもそれなりにいるんだ…。
 見るともなしにボートを眺めていると、
 「なんだよ、お前も乗りたいの?」
 「え?」
 「ボート」
 言われてみて、もう一度光を反射する水面を見てみると、普通のボートのほかに、あひるのボートを漕ぐ楽しそうな風景が。
 そういえば、昔子供の頃、あひるのボートに乗りたいと親にダダこねて、パパが泳げないもんだからダメだと結局、乗せてもらえなかったことがあったっけ。
 貸出料金がけっこう高いし、進も乗りたがったから二人用のあひるボートじゃあ2度借りなきゃいけなくって、本当はそのせいで却下されたんだろうな、と今では思う。
 「後で乗ってみるか?」 
 「本当?」
 「ああ、俺もこういうとこじゃ乗ったことねぇけど、前にカナダでカヌーなら多少遊んだことあるしな」
 「わあ、嬉しいな。あたし、初めて。二人で頑張って漕ごうね!」
 「二人でって…」
 「あひるボート」
 「…却下」
 「なんでよっ!」
 ぎゃあぎゃあ騒ぎながら歩いてゆくと、多少したばえの芝生の色合いが黄色く変色し始めた広大な広場に出た。
 「ここからだと、花も一望できるし、この辺で飯にすっか?」
 すぐそばにはコスモスが咲き乱れ、先ほど通った道沿いに植わった金木犀の甘いイイ匂いが漂ってくる。
 「あ、もう少し、直接日が差さないところでお弁当を広げた方がいいよ。今日はわりと暖かいし、ずっといるとこういうあけたところだと、日差しがキツくなってきちゃうかも」
 そうか、と素直に頷く道明寺の手を引いて、ひときわ大きな木の下に移動する。 
 道明寺がお邸から持ってきた紙の手提げ袋から、大きなレジャーシートを取り出すと、パアッと広げて荷物を置いた。
 「しっかし、よくあんたが、レジャーシートなんて思いついたわね?」
 「あ?外で弁当食うっつたら、タマが一式揃えてくれたんだよ」
 なんだか、レジャーシート一枚とってみても、普通のビニールシートなんかじゃないわね。
 そんなことを思いながら、靴を脱いで上がりこむと、道明寺も脱いだ靴を揃えて長い足を投げ出した。
 「疲れた?」
 「うん?」
 「昨日も…その、思わぬことで寝るのが遅くなっちゃったじゃない?」
 チラリと昨夜の出来事が脳裏に浮かび上がって、わずかに言いよどむ。
 風呂敷包みを広げながら3重になった重箱を開けると、これっておせち料理?と言いたくなる豪華な内容。
 まあ、おせちにしたら洋風メインだし、伝統的な日本のお正月料理はまったく入っていない。
 「ああ、別に。お前は?」
 「う、ん、あたしはちょっと起きた時には昨日のお酒が残っちゃってたみたいだったんだけど、お邸のシェフさんが酔い覚ましのスープを出してくれたからね。大学についた頃にはスッキリ?」
 「お前、うちの車乗って行けって言っただろうよ」
 「はは、駅までそんなに遠くないし、歩いた方が目も醒めるよ」
 できたら、あんな目立つ黒塗り車での登校は避けたいもん。
 いくら坊ちゃん、嬢ちゃんが通う英徳学園とはいえ、あたしが庶民の一女子学生だっていうことは広く知れ渡っているんだもんね…誰かさんたちのおかげで。
 「道明寺はたっぷり、朝寝できた?」
 「あ~、ちょっと朝っぱらから仕事の電話が入っちまってな。目ぇさめたから、ちょっと持ち込みの仕事してきた」
 「ああ、そうなんだ。相変わらず、大変だね」
 休日だというのに、道明寺に本当の意味での休暇なんてあるのかな。
 「つうかさ、お前、起こして行けよな。朝だってガッコまで送ってやるつもりだったっていうのに」
 「やめてよ、学校くらい自分で行けるって」
 寝そべって片手を目の上に置いていた道明寺が肩肘をついて起き上がってきたので、割り箸を割って差し出す。
 チラリとも箸に視線をやらず、あたしの片手首を掴むと、下から甘えるように覗き込んでくる。
 「少しでもお前と一緒にいてぇんだよ?」
 ちょ、ちょっと、何、こんなところでそんな色気だしてるのよっ!?
 思わず、前後左右、誰かに見られてるんじゃないかと周囲を見回す。
 あたしたち以外にも確かに何組かの人たちがレジャーシート広げてお弁当を食べていたけど、あたしが自意識過剰なのかこちらを見ている人なんて皆無。
 「お前は、俺と一緒にいたいと思わねぇの?」
 徐々に上半身を起き上がらせて来る男はいつの間にか、あたしに覆いかぶさるような体勢になってきていて、あたしは大きくのけ反る。
 「い、いやあ、も、もちろん?ご一緒するのはやぶさかではないんだけど…」
 「けど?」
 「ちょ、ちょっと!近い!」
 ついにはのけ反りすぎて倒れこみそうになったあたしの腰を支え、道明寺の高い鼻が触れそうなほどに近づいてきて、長い睫に覆われた瞼を閉じだす。
 ガッ!
 「げっ!」
 とっさに出てしまった自由な方の片手が、道明寺の顎を押し上げていた。
 「いってえ!舌かんだっ」
 本当に痛かったらしく、涙目で口元を抑えている。
 「てめぇ、なにしやがんだっ!」
 「な、何って、あんたこそ、こんなところで、何してくれちゃっおうとしてんのよっ」
 「何って、もちろん、キ」
 「ば、ばか!」
 デカイ声で臆面もなく言い放ちそうな恥知らずな男の口を手でふさぎ、再度周囲を見渡す。
 「アホ、誰も見てやしねぇよ。こんなところで人のこと一々見てるかっての。お前は気にしすぎ」
 気にするよ~。厚顔無恥なアンタとはわけがちがうんだから。
 違う意味で涙目になりながら、手に持ったままだった箸をねじ込むように渡すと、まだ舌が痛いのか、舌を出したり引っ込めたりしながら、やれやれと首を振っている。
 「たく、これから飯食おうってのに…」
 ぶつぶつ言いながら重箱に手を付けた道明寺を見て、あたしを空腹を満たすべく公園にそぐわない豪華なおかずに箸をのばした。

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