FC2ブログ

「それでも貴方を愛しているから…全97話完+α」
第三章 暗転…目に見えないもの、希求する魂

それでも貴方を愛しているから054

 ←それでも貴方を愛しているから053 →それでも貴方を愛しているから055
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ
【君を愛するために】オススメ作品!?
ランキングもよろ(・ω-人)
ブログランキング・にほんブログ村へ
いつも応援ありがとう♪
**************************************

 「…ちょっと、ちょっと!今週発売のPeople(アメリカゴシップ誌)見た!?」
 バンッとドアを壊さんばかりの勢いで、滋さんが店内へと駆け込んできた。
 店内のお客さんがまばらだとはいえ、長身でスタイルの良い美女が、派手なリアクションで騒ぎ立てているのだから目立たないはずがない。
 桜子が額に手を当て呻く。
 「滋さん…」
 「うげっ、つくし!?」
 肝心の滋さんの方は、桜子の非難の声にはまるっきり気が付かず、あたしの顔を見て、振り上げた丸めた雑誌を頭の上に翳したまま固まってしまった。
 あたしがここにいてびっくりしてるんだよね。
 今日はちょうど校門をでたところで、車で帰宅する桜子と出くわして、急遽桜子と滋さんのお出かけに便乗。
 だから、当然、滋さんはあたしがこの桜子との待ち合わせの場所に居合わせていることを知らなかったし、いつもだったら…別にあたしが予告もなく二人の間に混ざらせてもらったとしても、歓迎されこそすれ、こんな風な態度に出ることはなかっただろう。
 あたしの視線の先、滋さんの持った雑誌を見るともなく見ていたあたしの関心から逃れるように、滋さんが今更ながらに、何気なさを装ってその雑誌を後ろ手に隠してしまう。 でも、滋さんが隠す前にチラリと見えた雑誌の表紙は確かに、道明寺…ホンの一か月半前まであたしの彼氏を名乗っていた男で。
 大学の構内で見たゴシップ誌とは別の雑誌で、また噂になっているのは話題の人気モデルとやらとはまた別の女性のようだった。
 「…滋さん、座ったらどうです?」
 「う、うん」
 桜子の冷静な指摘に、滋さんがあたしの顔色を見ながら恐る恐る、椅子へと腰を下ろす。
 「ごめん、気を使わせて。道明寺の記事?」
 下手に知らないふりをするのもわざとらしいので、気が付いたことがらを素のままに問い掛けた。
 「あ、うん、そ、そうなんだ。えっと、もちろん根も葉もない噂だと思うけど」
 滋さんが席に着いたのをどこからか見守っていたウェイトレスが近寄ってきて、お水を置いてくれた間、しばしの沈黙が一同の間に流れた。
 全員そろったので、とりあえずは、ティータイム。
 あたしと桜子はハーブティ、滋さんはコーヒーを頼んで、とりあえず、滋さんの持っている雑誌を見せてもらうことにした。
 …道明寺、やっぱり誕生日パーティ、NYでやってたんだ。
 招待状はともかくとして、なんの連絡もなくなっていることが、ひどく空虚で寂しい。 特に、パラパラと捲る記事に写る道明寺は、煌びやかな世界でも特に燦然と輝きを放っていて、いまこうして雑誌の記事なんかで目にすることしかできない男が酷く遠く…まるで非現実的であることが哀しかった。
 道明寺がNYに行っていた遠恋時代…何度か出たスキャンダル記事を目にするたびに、感じた想い。
 当然、その頃はそういった雑誌が出る度に、道明寺から釈明の電話が入って、根も葉もない噂だと真摯に説明をしてくれたものだった。
 「…すごいね。見開き使って、道明寺といま旬で噂になっている女性たちが並んで掲載されているよ」
 △×興産の令嬢、なんたらコーポレーションの令嬢、ハリウッドでもトップを張る女優に、政治家一族の令嬢、果ては西欧貴族の姫君まで。
 どの人が並んでも、何もかもがあたしよりは遥かに道明寺に相応しい。
 「…先輩にも、道明寺さんから連絡ないんですか?」
 「ん、…完全に音信不通かな」
 あたしの返答はわかっていたことだろうけれど、その場の空気が重い。
 「ま、仕方ないよ。距離置こうってことなんだし。連絡を密にとってたら、距離置いたことにならないものね」
 距離を置いてるだけなのか、それともヤツの中では完全に終わっているのかは知る由もないけど。
 「距離を置くって…完全に連絡を発つのとは全く違うじゃん」
 ドンと滋さんがテーブルを拳で叩いた。
 「滋さん、先輩のせいじゃないんですから」
 「そりゃそうだけど。司がこんなに卑怯な奴だとは思わなかった」
 卑怯…か。
 まあ、あたしも多少思わないことはない。
 別れたいなら別れたい、それなりにハッキリしたけじめをつけて欲しいとは思う。
 実際に、ズバリとそんなことを言われてしまったら、自分自身が冷静でいられるか、それどころかどうなってしまうのかという不安がないではなかったけれど、なんというか、まるで気圧の違うところへ行って耳を塞がれてしまった時のような、曖昧な感じに嫌気がさしていた。
 だからこそ、実感が湧かないと言うか、痛みに鈍くなっていたのかもしれないけれど。 もう、終わりなんじゃないかということが。
 「道明寺さんだってご多忙なんですよ。連絡がないことなんて、いままでだって珍しくなかったんでしょう?」
 「…まあね」
 とはいえ、ああ見えてあたしにはマメな奴だ。
 電波の届かないような未開の地にでも行くと言うのならともかく、ホンの一言程度のメールであっても、少しでも暇を見て、時間の隙間を掻い潜るようにして必要最低限…それでもあいつのあたしへの気遣いが常にあった。
 道明寺が見えない。
 ああ…そういえば、あたしが別れてもいいよ、って言ったんだった。
 あの美作さんのパーティの日…あたしが距離を置きたいって、言ったんだっけ?
 ふと、気が付いた。
 あたしが言ったのは時間をちょうだいっていっただけで、距離を置こうなんて一言も言ってないっ。
 「先輩?」
 「ど、どうしたの、つくし?」
 「え?」
 問われて目を瞬かせると、仰け反るように引いている桜子と滋さんがシゲシゲとあたしの顔を引き攣った顔で見つめていた。
 「先輩、怖いんですけど、その顔」
 「ム、ムカついちゃったなら、盛大にもっとキーッ!ってそれ破いちゃっていいからっ」
 いつの間にか、滋さんから借りた雑誌に爪をたてて握りしめていたらしく、ページの何枚かは一部破れて、澄ました顔で女と身を寄せ合っている道明寺の顔がクシャクシャになっている。
 うげ、嫉妬して我を忘れてる…とか思われたんじゃ、もしかして。
 は、恥ずかしい~あのバカ男のせいで。
 まったく見当はずれな見解なわけでもないけれど、そんな顕わな感情をいくら親友だからといって見られたくはない。
 急いで丁寧に、クシャクシャにした部分を手で押して、真っ直ぐに伸ばす。
 「いいよ、そんなことしなくって。あたしだってムカつくんだから」
 「いや、こんな雑誌にあたっても仕方ないし。それに、実際、道明寺から連絡来ない以上、あいつがどういうつもりかはわからないけど、少なくても本人が何も言わないのに、こういうことで疑いたくないかな…って」
 かなりのやせ我慢だけどね。
 「…先輩。本当のところどうなんです、滋さん。滋さんは道明寺さんのNYでの誕生パーティにも招待されたんでしょ?」


◇交流・意見交換 『こ茶子の部屋』へ
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ

↓ランキングの協力もよろしくです♪
ブログランキング・にほんブログ村へ 💛 
いつも応援ありがとうございます^^!

web拍手 by FC2


関連記事


総もくじ 3kaku_s_L.png イベント
総もくじ 3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ 3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ 3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ 3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ 3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 倉庫
総もくじ  3kaku_s_L.png イベント
総もくじ  3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ  3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ  3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話+
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ  3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話^
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ  3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ストック
もくじ  3kaku_s_L.png R短編集
もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ R
もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛の品格 R
もくじ  3kaku_s_L.png 愛妻生活 R
  • 【それでも貴方を愛しているから053】へ
  • 【それでも貴方を愛しているから055】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【それでも貴方を愛しているから053】へ
  • 【それでも貴方を愛しているから055】へ
にほんブログ村 小説ブログへ💛
スポンサーリンク