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「それでも貴方を愛しているから…全97話完+α」
第三章 暗転…目に見えないもの、希求する魂

それでも貴方を愛しているから043

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 桜子に連れられ、結局あたしは家族犇めく我が家ではなく、久しぶりの桜子邸への訪問となった。
 桜子が優紀と滋さんにも連絡を取り、優紀は彼氏とのデートを終えてからこちらへ、滋さんも仕事場から道明寺の見舞いに回って、そのまま桜子の邸へ直帰することと相成った。
 美味しいハーブティーを片手に優雅な午後の一時。
 もうハイティーにも遅い時間だったけど、温かいお茶の優しい香りが、張りつめていた緊張を解きほぐし和ませてくれる。
 「…とりあえず、F3の皆さんも道明寺さんを見舞われたそうですよ?先輩、そういえば、道明寺さんの病状詳しく聞きました?」
 「あ…、睡眠不足と過労って、本人が言ってた」
 追加のお茶をあたしのカップに継ぎたしながら桜子が吐息を一つつく。
 「あと栄養失調だそうですよ」
 「栄養失調~っ!?」
 贅沢を絵に描いたような男がよりによって栄養失調って…。
 「道明寺さん、NY時代もそうだったそうですけど、仕事がつまってくると昼抜き夜抜き、下手をすると翌日も食欲がないとかで一日何も食べずに、サプリメントかなんかで済ませてしまうこともあるそうですね」
 「ああ…」 
 思い当たり暗い気持ちで紅茶を啜る。
 「そのサプリメントさえも飲み忘れてしまうことが続いて…、お酒だけは摂取されていたようで、ね」
 忙しすぎるとストレスなのか、不眠症になることがあるとも言っていた。
 学生時代のことしか知らなかったあたしは、聞いた当初、冗談でしょ、と思ったものだ。
 けれど、日本に帰ってきた当初、久しぶりに見た道明寺が大人の魅力や精悍さを備えたことに驚くと同時に、元々贅肉一つない体がさらに痩せて、頬がこけていたのにはショックを受けた。
 元々、外見的に非の打ちどころのない男。
 どう変わっていようと、その男にとって新たな魅力になるばっかりで見た目的には損なわれるということはなかったけれど、どう見たって健康的な感じじゃない。
 それが日本に帰って来て、頻繁にではないものの、あたしと会う様になり、少しづつ健康的な生活を心がけるようになってくれていたと思うのは自惚れじゃないと思う。
 実際に道明寺の秘書の一人にも、そういわれていた。
 『牧野さまがお傍にいてくださるようになってからは、副社長は私の組んだスケジュールにも従ってくださって、健康にも留意してくださるようになったんですよ』と。
 これってどうなの?と思いつつ、会食のない日に道明寺に頼まれて、お弁当を会社に届けたこともある。
 あれほど贅沢に慣れて、舌も煩い男が、あたしの作る弁当だけは黙って完食してくれた。
 それがなんでかなんて、鈍感なあたしだってもちろんわかってる。
 昔から、その傲慢で我儘な男が、あたしにだけは見せる子供のような素直さと一途さ。 それなのに、その男の心をあたしはいつも踏みにじってばかりで。
 「先輩、そのお茶美味しいでしょ?」
 「え?」
 暗く沈みがちだったあたしの意識が、桜子の言葉で我に変えた。
 「うん、すっごく美味しい。温かくて落ち着く」
 桜子が綺麗に優しく笑う。
 「どんどん飲んでください。そのお茶はね、カモミールティと言って、心を静めて体を温める効果があるんですよ」
 「へえ?」
 「他にもいくつか良い効能のお茶がありますから、よかったらお分けしますよ」
 「ありがと」
 美味しいと、啜ってふと思いつき、尋ねてみる。
 「不眠症に聞くお茶とかある?」
 ニヤニヤ笑ってくる桜子を、お茶を飲むふりで交わす。
 「…ありますよ。道明寺邸にだってあるとは思いますけど、よければお持ちになってくださいな」
 そりゃそうか。
 ハイティー一つにしても、奴の家ではコーヒー、紅茶、日本茶まで数種類出すのが普通。
 もっとも、そんな優雅な午後を過ごす時間が今の道明寺にあるかどうかは甚だ疑問だったけれど。
 …って、それどこか、果たしてこの先、桜子からもらったお茶を道明寺に出せる機会があるかどうかさえも、いまのあたしたちにはわからない、か。
 たわい話を交わし、大学での共通の話題や桜子の男友達の話、新しくできたお店の話などで時間を過ごしている間に、少しづづあたしの気持ちもほぐれ、桜子の言ってくれたように、こんな時に一人じゃなくってよかった、と思えるようになっていた。
 一人だったら、いつまでも道明寺とのやり取りの余韻に鬱々とし、加納浩輔から受けた毒に苦しんでいたかもしれない。
 もう、加納浩輔を無闇に怖れる…そう怖れていたのだと今のあたしは認めることができる…ことはないとだろう。
 自覚さえすれば、あたしは戦うことができるのだから。
 それなのに、道明寺にも同じように対峙することができないのは…。
 いつの間にか夕飯の時間になり、滋さんがやってきた。
 「わあ!つくし~、ひっさしぶりだああああぁぁぁ」
 ドーンと抱き付いてくる滋さんに伸し掛かられて、半ば押し倒されながら、ドゥドゥと背中を叩いて抱きしめ合う。
 柔らかい~、温かい~。
 男の人の広い胸に抱きしめられると、まるで世界中から守られているかのような安心感があるけれど、女の人の柔らかさはホッとする優しさがある。
 この日はなし崩し的ではあるけれど、優紀の帰宅時間もあり、桜子の邸で宿泊させてもらうことになっている。
 女子会と言うには、いままで鬱屈と溜めこんできたことを告白すると言うあたしには軽くはないものだったけれど、一人で悩んで一人でドツボにハマっていたあたしは、戦々恐々としながらも不思議に晴れ晴れとしたような解放感も感じていた。
 何度も繰り返し話したい内容ではなかったので、優紀が戻ってくるまでは他愛無い話で時間を潰す。
 夕食も彼氏と取ってくるのかと思っていた優紀だったけれど、早めに切り上げてやってきてくれた。
 「ごめんね、優紀。せっかくのデートだったのに」
 「ううん。つくしこそ、ごめん。道明寺さん、大変だったんでしょ?」
 デート中にあたしと連絡が付かないと言う類から連絡が来て、心配していたらしいけれど、なんとただのデートだと思っていたら、彼氏の親御さんの実家へと行っていたらしい。
 「優紀ちゃん、もう結婚の話とかでてるんだ~」
 感心したような滋さんの言葉に真っ赤になって、両手を前に否定している。
 「え?ち、違いますよ。実家って言うか、田舎でお祭りがあるから観光がてら、そ、その一人暮らしのお婆ちゃんが会いたがっているからって」
 言っているうちに赤くなって困った様に俯いた優紀に、うりうり、と滋さんと桜子が両側から突っつく。
 ほえ~、お泊りデートだったのかあ。
 なんだか、展開早いな。
 さすが!?は彼氏は体育会系の柏原。
 確か、この前付き合い始めたばかりだったような。
 「ち、違うから。お泊りの予定じゃなくって、遅くなっても日帰りの予定だったんだよ!」
 「へ?」
 「先輩、思いっきり口に出してますよ。へえ?優紀さんの彼氏体育会系なんですかあ」
 滋さんが就職したこともあり、ここのところ全員そろっての女子会も間遠になっていたので、互いに関する情報が古い。
 しばし、情報交換を交し合い…。
 「…で、先輩。話してくれますよね?」
 桜子が口火を切って、あたしは唇を湿らせた。

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