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「中・短編」
with F4(Love つくし)…完

女友達06

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 さすがに女性というものを知り尽くしている総二郎は、司のようにつくしが苦手に感じるようなあからさまな買い物の仕方はしない。
 来訪するような店こそ、やはり司御用達の店とそう変わらない高級ブランドのブティックでも、来店するなり飛んできた支配人を片手で制して、店員たちを遠ざけた。
 あとは、ざっと展示してある洋服にサッと目を通し、一瞥で選んだ衣類をつくしへと手渡してゆく。
 「ちょっと、サイズも聞かないで渡されたって、困るんですけど」
 「良く見てみ?それでジャストフィットだろ?」
 言われてみてサイズのタグを見てみれば、確かに仰せのとおり。
 なんで、あたしのサイズ知ってんのよ?
 うろんな目で見るつくしに対しても、どこ吹く風。
 「深く考えるな。…なんなら、この場で3サイズ当ててやってもいいけど?」
 「け、け、けっこうです!」
 ようは、そういうことなのだろう。
 見ただけで女のサイズ当てちゃうなんて、さすがスケコマシ!おそるべし…ケッ。
 ラフなデザインの衣類は一見つくしの普段着る服とそう変わらないのに、さすがに指先に触れる手触りは化繊のものとは雲泥の差だ。
 …そしてサイズを見るついでに値札をチェック。
 げ、マジ?
 予想通りというべきだろうか、0の数がつくしの常識とは違う。
 それでも、この連中にしてはリーズナブルな方なのは、多分につくしの性格を考慮してのことなのは、鈍感なつくしにもわかった。
 「…はしたないぜ、つくしちゃん。値段なんて見るんじゃねぇよ」
 さすがにカサノバはいろいろと目敏い。
 一応、周囲の店員の目を気にして、小声で訴える。
 「ちょっと、こんな高い服、あたし買えないんですけど?」
 「バ~カ、俺が連れてきて、女に財布なんて出させると思うのかよ?」
 「やだ、それこそ、あんたにあたしの服を買ってもらう筋合いないから、遠慮するわよっ」
 つくしの相変わらずな頑なな態度にはあ~っと溜息一つ。
 両肩を掴んで、無理やり方向転換させて、試着室へと追いやる。
 「いいから、試着してこい。そんな服の1着や2着、俺の懐にゃあ何の痛手にもなんねぇよ?」
 「そういう問題じゃない!!」
 「そういう問題。第一、俺の方がつまんねぇーんだよ。どうせ、デートすんなら、みすぼらしいガキより、少しでも磨いてやった方が俺が楽しいだろうよ」
 「なによ、それ。なんだか、愛人に物買い与えるヒヒ爺みたいな言い草じゃない」
 失礼な言い草に、口元をヒクヒクさせ、往生際悪くジト目で睨んでくるつくしを試着室に押し込め、無理やりにドアを閉めた。
 「…てめ、いつまでもごちゃごちゃ言ってっと、この間、同期の学部生にコクられてたこと司に告げ口すっぞ」
 「うげっ!」
 ただでさえ嫉妬深い司だ。
 NY-東京間の遠距離恋愛になって、必要以上に心配性になり、日頃から口煩い。
 もうそれこそ監視されてるんじゃないかと思うほど。
 もっとも、総二郎にしても、よけいなことを司に吹き込めば、割りを食うのは自分の方だとわかっている。
 気配さえもない煙にさえ、朝も夜もなく、迷惑を顧みない電話攻撃にさらされる始末なのだから、うっかりそんな余計なことを言えば、首が締まるのは総二郎の方だった。
 



 総二郎がセレクトした衣類は、バイクに乗るのを意識したジーンズ生地の短パン。
 それに、トップスは七分袖ボレロとキャミソールのアンサンブル。
 ボレロは柔らかな色合いの細かい花を象っていて、細かいフリル調のデザインが可愛らしいキャミソールが丈の短い短パンにガバッと被っていて、超ミニなワンピにも見えた。 襟ぐりもかなり開いていて、土星のネックレスがすごく引き立つ。
 フェロモン系の美女たちを連れ歩くことを好む総二郎にしては、妙に可愛らしいセレクトだった。
 …可愛いけど、けっこう恥ずかしいな。
 「へえ、いいじゃん。お前、元は十人並だけど、けっこう頑張れば化けるんだよな」
 「よけいなお世話です。あたしのことは、気にしてくれなくてけっこう」
 ツンとソッポを向くつくしの憎まれ口は流し、総二郎が店員に元々つくしが着ていた方の服の包装を頼む。
 「ちょっと!西門さん、本当に」
 「いいから、着てけ。今日一日、俺に付き合うお駄賃だと思っておけばいいだろ?どうしても俺からのプレゼントが嫌だっていうなら、司につけとくから心配するな」
 「…いや、道明寺に払わせるのも違うでしょ。お駄賃でいただくには高すぎると思うけど、じゃあ、今回は出世払いということでありがたくいただきます」
 ペコリとお辞儀をするつくしに、綺麗に微笑む。
 そうしていると、司や類といった劣らぬ美貌を見慣れたつくしでもドキリとする。
 イイ男ではあるんだよね。
 色気もあるし。
 おそらく女を惹きつけるといったフェロモンではピカ一。
 それでもつくしに見せる笑顔は美しくはあっても、どこまでも自然で、まるでごく普通の青年のように年相応だった。
 「…いつもそうやって、笑ってればいいのに」
 「あ?」
 「あんたの笑顔はやたらと厭らしくてスケベったらしいけど、そうしてると悪くないよって、いたたたたっ!ちょっと、離せっ!」
 いきなりヘッドロックをかけられ、グリグリと拳でこめかみを抉られる。
 「あんた、それでもフェミニストなのっ!か弱い女性に暴力ふるうなっ!」
 「どこがか弱いんだよ。平気で俺らを殴るお前に言われたくねぇぞ」
 案外あっさり腕を離され、憮然と乱れた髪を直す。
 「もう、どっちがガキなのよ」
 「そりゃ、お前、お子ちゃまに俺だって合わせてやってんだろうよ。察しろ」
 「……」
 ああいえばこういう、こういうところは司とはまるで違う部分だった。
 「と、あと、これ履いて見ろ」
 促がされ、近くのソファに腰を下ろすと、総二郎がすかさず足元へと腰を下ろした。
 そして、おもむろにつくしの片足をとり、スニーカーを脱がせてくれる。
 「やだ、西門さん!」
 「騒ぐなって。服まで脱がせようっていうんじゃねぇんだからよ」
 「…そんなさせるわけないでしょ。蹴り殺すよ?」
 怖ぇえ~、と言いながら、掌の上に足を置いてくれて、靴下を脱がせ、丁寧にサンダルを履かせてくれる。
 さしものつくしもあまりに恐れ多いやら、恥ずかしいやら。
 「…なんつーか、お前が相手でも靴下脱がせるのって、けっこうエロイ気分にって、いってぇっ!マジに蹴るなっ、この凶暴女っ」
 「当たり前でしょっ!もう後は自分でやるからいいよっ!」
 足を奪い返してみれば、すでにふくらはぎまである編上げのサンダルのリボンが綺麗に結ばれている。
 「あ、ありがと」
 「おう。やっぱ、俺の見立て最高」
 「へいへい」
 でも、言われて嫌な気分じゃない。
 確かに、総二郎のセレクトしたガーリッシュなコーデは、華奢で童顔なつくしによく似あっていた。
 「でも、意外な趣味だね、西門さん、本当はこういう服が好みなの?」
 「…好みって、まるで俺が変態みたいじゃねぇか」 
 「いあ、そういう意味じゃなくって、こういう感じのファッションセンスの女の子が好きなのかなって」
 思い起こしてみれば、総二郎の初恋の女性は、彼の普段連れ歩くタイプとは正反対。
 どちらかといえば、まさに、総二郎がセレクトした感じの服装が似合いそうな少女だった。
 確かにつくしにも似合うコーデだったが、どちらかといえばつくし自身は好んで着るような感じではないので、やはり総二郎の好みなのだろう。
 「ん~?どうだろ。でも、お前に俺の好みなんて求めてもな。単純に、ここにある服の中ではそれがお前に似合うつーか、これから行く先のTPOにもあってたし」
 「あっそ」
 まあ、確かに深い意味はなさそうで、つくしもあっさり頷く。
 「でも、まあ、普段は靴なんて女には贈らねぇな」
 「ふうん?」
 特にそれが重要なことには思われなくて、サラリと流したつくしに総二郎がニヤニヤと笑った。
 「お前、司に靴ももらったことあるだろ」
 「…そりゃあね。いらないっていうんだけど、何かというと非常識な数をくれようとするわね」
 もちろん非常識なのは数だけではない。
 「まあ、靴に限らないけど」
 うんざり言うつくしが可笑しくて、苦笑が洩れる。
 普通は資産家の彼氏にプレゼントをもらえば、喜びはすれ、つくしのように迷惑そうにする女などほとんどいないだろう。
 「…司も、報われないよな」
 言葉の意味が十分すぎるほどにわかって、つくしも困った様に曖昧に顔を顰める。
 「あたしだって、嬉しくないわけじゃないよ。でも、あいつの場合は過剰すぎるのっ!」
 「いいじゃねぇか、黙って受け取ってやれよ。それが男の楽しみなんだから」
 「……あんたも似たような価値観の持ち主だったわね、そういえば」
 「俺は、そこまでやらねぇよ。一人じゃねぇのに、そこまでマメにやってられっか」
 「女の敵め」
 睨み付けるつくしの正直な気持ちなのだろう。
 「ぶっ!女の敵上等!…って、それはともかく、靴だよ、靴。どうやら司のやつ、ジンクス知らねぇな」




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