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「それでも貴方を愛しているから…全97話完+α」
第二章 疑惑…掛違う運命の釦

それでも貴方を愛しているから034

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 実はあの塾は園崎さんの事件に出くわした公園にも近いところにあって、帰る方向とは別方向だとはいえ、場合によってはかなり夜遅くに帰宅することになることも、あたしには苦痛になっていのだ。
 最近の小中学生も、ずいぶん遅い時間に塾から帰ったりするんだよね。
 元々、道明寺にはいい顔をされていなかった。
 かろうじて、小学生が相手の学習塾ということでなんとかんとか宥めていたんだけど、帰りがたまにとはいえ、かなり深夜になることもあるとは伝えていなかった。
 深夜って言ったって23時前なんだけど。
 高校生時代の方がまだ深夜のファミレスバイトなんかで遅くなることもあったし、道明寺との付き合いでなんだかんだと朝帰り、外泊なんかも経験しちゃったから親の方がまだ煩くなかった。
 …そう思うと、あたしってけっこうとんでもない女子高校生だったんだね。
 でもまあ、それもすべて道明寺と付き合うことになってのことだから、何と言っていいのか、いやはや。
 今日は、高校時代のことも含めていろいろ話してきた優紀にだからこそ、先に意見を聞いてみたくて誘ったけど、ことがことだけにどう切り出していいか困ってしまった。
 そんなあたしの逡巡に気が付いたのか、
 「…なんか、深刻な話があるみたいだね」
 「え?あ…うん、わかる?」
 「なんとなくだけどね。少し、やつれたね、つくし」
 お茶を一口含むと、柔らかい温かさが体に染み入る。
 なんだか、柄になく涙ぐみたくなるのは寒さに凍えた体に温もりが嬉しかったからなのか、友の気遣うような優しい声が身に染みたからなのか。
 あたしと優紀が座っているカフェの座席は、奥まったところにあって、ちょうど込み合うような時間帯ではないからか、人もまばらだ。
 注文さえしていれば、煩く注文を取りに来たり、水のおかわりを気にするような店じゃなかったから、声音さえ落とせば、気兼ねする必要はなかった。
 まずは、事の始まり?は園崎さんのレイプ事件に出くわしたことだろう。 
 いや、もっと前にその根はあったのだということはわかっている。
 でも、あの時から、深く心の奥底に埋もれていたはずのことが浮上してきて、あたしと道明寺の間に立ちはだかったのは間違いない。
 他人のプライバシーにも関わるから、園崎さんのことについては『襲われていた女性』を助けた程度で流し、その後に頻繁に高校時代のことを夢にみるようになったこと、道明寺とベッドで夜を過ごそうとしたおりの拒絶感とそれによっての心のすれ違いを自分なりにポツポツと話した。
 優紀は合間に合間に聞いているしるしに小さく頷くだけで、特に口を挟まないでくれる。
 それがあたしの抵抗感を弱めてくれて、思いの丈を吐き出させた。
 あたしが口を噤み、最後に残ったお茶の一口を飲み干し終ると、優紀も飲み忘れたようにほとんど口をつけていなかったアイスティを啜った。
 「…そっか、そんなことがあったんだ。つくしったら、水臭いんだから」
 優しい声は穏やかで、気づかわし気だった。 
 大げさに騒ぎ立てるでもなく、茶化すでもなく、ただ熟考するようにゆっくりゆっくり口を開く。
 「あたしね、前々から、ちょっと引っかかってたことがあるんだ」
 「……?」
 無言で先を促がすと、ジッとあたしを見て一つ頷いた。
 「つくしって道明寺さんとの…そのベッドでの関係を頑なに怖がってたじゃない」
 いつもだったら照れくさくて無闇に騒ぎ立てるあたしだったけど、ただ黙って続きの言葉を待った。
 「別に結婚までプラトニックな関係を貫くってカップルもいないわけじゃないし、前々からつくしが言ってるように恋愛期間のほとんどが遠距離恋愛で、そういう雰囲気になるような機会がなかった…ていうのもわからないじゃなかったよ」
 「うん」
 「でもさ、つくしって奥手だったけど、そんなにお堅い貞操観念の持ち主ってわけでもないよね」
 「どうかな…」
 優紀の言葉の行き着くところがわからなくて、曖昧に首を傾げる。
 「桜子さんや、滋さんの体験談とかにも拒否反応示すってわけでもないし、そういう意味では美作さんや西門さんなんて、理解しがたい存在のはずじゃない?」
 「…いえ、いまだに理解しがたい相手ですけど」
 特に西門さんの博愛主義?には時々、宇宙人をみるような気がする。
 だからといって不倫に走る美作さんが理解できるかと言ったら、理解したいとも思わないけれど。
 まあ、どっちも単なる女好きなのかもしれないけどね。
 「うーん、というかガチガチな人は、あの二人と友達になるのも嫌なんじゃないかな。そういうところを隠しもしないし、不潔というか」
 「まあねぇ、不潔…と捕えてたら、あの人たちとは友達やってられないわね、確かに」
 「…つくし、道明寺さんが…というより、男の人が怖いんじゃないの?自分にそういう意味での行為を求めてくる男性ってことかな」 
 「……」
 俯くあたしに、優紀はどこまでも穏やかに話し続ける。
 けっして急がないし、同意も求めてない。
 「でも、ただそれだけじゃない。その元凶である道明寺さんが赦せない。ずっと離れていて目を背けていたことだったけど、道明寺さんが日本に帰って来て、身近にいるようになってからそのことが大きくなってきたんじゃないかと、あたしは思うのよ」
 あたしは顔をあげた。
 「つくし、昔、道明寺さんに酷い事されそうになったよね?」
 優紀は、昔あたしが道明寺にレイプされかけたことを知っていた。
 でも、まだ話してないこともある。
 隠していたわけじゃないけど、あたしにだって言いたくないことの一つや二つあって、道明寺にレイプされそうになったことも衝撃的ではあったけれど、その前に起こったことは未遂だったとはいえ、もっとショックだったし、怖かった。
 ううん、当時はわかってなかった。
 毎日が戦いと緊張の連続で、正直なところ、それどころじゃなかった。
 そして、時が過ぎて、緩やかで平穏とまでは言えなくても、あの頃の怒涛の日々が終わってみると、優紀に話せないというより、口に出すことが気持ち悪かった。
 その後も、桜子にハメられて集団暴行を受けたり、道明寺を呼び出すために監禁された時も、下手をすれば園崎さんと同じ目に合っていたのだろう。
 どちらも道明寺が助けてくれたから…そう思うには元々の元凶が道明寺だったのだから、割り切れないものが残ったのは仕方ないことなのではないだろうか。
 今思うと、あの異様な体験の連続に慣れて、麻痺してしまっていたのかもしれない。
 情緒不安定なあたしは、またも涙がこみあげそうになって、片肘をついた掌に額を押し当て、グッと唇を噛みしめる。
 「…あたし、まだ、優紀に言ってないことがあるの」

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