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「それでも貴方を愛しているから…全97話完+α」
第二章 疑惑…掛違う運命の釦

それでも貴方を愛しているから033

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 道明寺の吐き捨てるような言葉に、あたしは被せるように言葉を継いだ。
 「ううん、今日はやめとく」
 「はっ!?」
 怒気を孕んだ道明寺の視線にも怯まない。
 「ごめん、道明寺には悪いと思う。でも、あたしの中でやっぱり答えはまだ出てない。どう話せばいいのかも。でも、話したいと思うし、話さなければならないんだと思う。だから、少し時間くれないかな?」
 冷静に話せてるよね?
 「…答えってなんだよ?俺は絶対に別れないって言ったよな?」
 確信めいた言い方に、道明寺の中でも別れの二文字があたしの口から出る可能性を予測しているのがわかった。 
 思わず類を見上げると、優しく頷いてくれる。
 「司、少しくらい時間あげなよ?お前なんて4年も待たせたんだろ?今だって忙しくって、1週間2週間顔も合わせないことなんてザラなんだろうし?」
 「それとこれとは話が違うだろっ」
 「どちらにせよ、ごり押ししたって牧野は折れないよ?かえって意固地にさせて、拗れるだけだ。牧野だって別れ話に困って言い逃れしてるわけじゃないんだよね?」
 ギョッとあたしを見る道明寺の目が不安に揺れているような気がするのは気のせいじゃないはずだ。
 ごめん、本当に。
 でも、これはあたしには必要なことなんだ。
 一人になって、ちゃんと自分と道明寺の関係を見つめなおして。
 「うん、それは違うよ。…どういう結論になるかはわからないけど、あたしは道明寺と別れたいわけじゃ…ないと思う」
 ホッと空気が緩んだ気がする。
 「本当だな?」
 「…たぶん」
 緩みかけていた道明寺の額に青筋が浮かんだ。
 「たぶん!?」
 「…司、やめなって。で、俺らには話してくれるわけ?あんたの中で何が起こって、いま司とこんなふうになってるのか?」
 「あ…う、ん」
 あたしは迷っていた。
 グルグル考えてたって、どうしようもないのはわかっていたけど、かといってどこまで人に話せることなのだろうか。
 でも、確かに、このままじゃ埒があかない。
 道明寺に話せない。
 自分の中の答えがまとまらない。
 もうすでに、かなりの時間グルグルと考えても、考えても解決できなかったんだから。
 「…話せると思う。でも、今日は無理」
 類がポンポンと頭を軽く叩いてくれる。
 「んだよ、それ。俺には時間くれ、で他の奴らには話すのかよ」
 拗ねたような口調が、それでも少しは安心してるような気がする。
 「ホント、ごめん、道明寺。待ってて、なんて言えない。だから、あんたから別れてくれてもいいよ?」
 つい視線が合わせられなくって、視線が俯けてしまう。
 「アホ」
 道明寺が、ハアァッーと大きく息を吐いたのが聞こえた。
 いろいろな鬱憤や遣る瀬無さを吐き出すように。
 「別れねぇって言っただろ?待ってやるよ、お前が俺に話せるっていうのを。俺はお前を無くしたくねぇ。だから、諦めたんじゃないからな。待ってやるだけだ」
 「…うん」
 一瞬だけあたしに向かって手を伸ばしてきたけど、無意識のうちにあたしが一歩後退ったのが見えたのだろう、道明寺の顔が辛そうに歪んで背けられた。
 そして、そのままパーティ会場の方へと踵を返す。
 「じゃあ、またな。考えがまとまったら連絡しろ。携帯…番号変えてねぇよな」
 「あ、うん」
 先日、道明寺に携帯電話を壊されて、どうしようかと思ったけれど、結局同じ電話会社で番号もかえなかった。
 痛い出費だけど、番号を変えた場合知らせなければならないのは道明寺だけじゃないし。
 「…電話壊したの、悪かったな」
 あるかなきかの小さな声で道明寺がそう謝罪して、後はもう振り返らないで歩み去っていったのを、あたしはただ見つめていた。



 道明寺との「冷却期間宣言」を告げた美作さんのパーティから数日。
 不思議に心は穏やかだった。
 冬休みに突入して、加納浩輔と合わなくてすむようになったということもある。
 鳴らない電話は当然のことで…。
 なんだか、いつも寂しくて、苦しくて、ここ数年の鬱屈さえもが嘘みたいだ。
 そういえば、あいつと出会う以前の高校生の頃のあたしはこんなんだったなあ、と思う。
 恋も知らなかったし、自分以外の誰かに気持ちを奪われて、会いたい、ただそれだけで心を揺らして一杯に占められてしまうなんてことがまったくなかった。
 自分一人…それはなんて自由で楽なことなんだろう。
 道明寺や花沢類との約束は忘れていない。
 でも、今のあたしは、疲労した心を休めて正直、ホッとしていた。
 ここのところ、例の夢も見ないで、夜の時間も穏やかに過ぎていっていた。
 でも、ふと、街角で、ふと何気なく見上げた先で、そこかしこ溢れた情報の中で、道明寺のことに触れる機会がある。
 こんな時、一般市民なんかじゃなく、その身辺が常に取りざたされる超有名な男が相手だと言うことが、恨めしくなった。
 道明寺の顔を見れば蘇る恋しさ。
 自分でもそこのところはよくわからないんだけど、なぜか液晶画面の向こうにいる道明寺にはあの苦しいほどのイラつきや、嫌悪感はまったくわかなかった。 
 遠距離恋愛の時の4年間のような感覚なのだろうか。
 確かに付き合ってる恋人のはずなのに、どこか現実味がなくって。
 遠距離恋愛当時も、もしかしていままでのことはすべて夢で、道明寺とつきあってるということ自体が自分の妄想なんじゃないかと思うこともあった。
 一度だって夢見たことなんかないはずだけど、あれだけのスペックとあれだけの背景をもつあいつが、平凡を絵にかいたようなあたしを誰よりも好きだと言って、熱く求められたことなんて、本当のことじゃないんじゃないか…と。
 そうした現実味のなさが、あたしを英徳時代に引き戻すことがなかったのかもしれない。
 確かにあった苦しい記憶。
 それでも、こうした穏やかな時間は、限定された期間に許された心の安息であって、いつまでもこのままではいられなのは十分にわかっていた。
 だから、道明寺と正面から向き合うために、力を借りたかった。
 「あ、こっち」
 お互いに久しぶりに予定が合って、今日の日となった。
 「驚いたなあ、優紀ったら。いつの間にか、柏原君と交際してたなんて」
 「う…ん、まあ」
 照れ照れと頬を染めてはにかむ優紀が、すごく可愛い。
 優紀の座った座席の向かいに座って、あたしも温かい紅茶を頼む。
 「つくしこそ、どう?あれから、バイト辞めちゃうんだもん、以前はずっと毎日のように会ってたのに寂しかったよ」
 実は、私はあの園崎さんのレイプ現場を出くわしてしまってから、塾の講師のバイトを辞めてしまっていた。
 しばらくは、そのまま続けていたのだけれど、ここのところのあたしは、夜道を歩くのが苦手になっていたからだ。
 妙に背後が気になって、電信柱の影、物陰、そこかしこから、誰か知らない人間が飛び出してくるような錯覚に苛まれていた。

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Fumee様

こんばんは。
お返事が遅れてしまってすいません。
少々体調を崩しておりまして、パソコンから遠ざかっておりました^^;

人生の変転…だけでは言いきれぬ、大変な事態に陥ってしまいましたね…。
たくさんの人がいて、それこそたくさんの想いがある。
その中で、思わぬ大変な事態に陥ってしまい、Fumeeさんにはなんとも言葉のかけようがありません。
せめて、二次の世界や、その他さまざまな息抜きの出来るところで、少しでも大変な気持ちを発散させて、前向きに立ち向かっていける力を得てくださればな、と願っています。
これからが、大変だとは思いますが、どうか頑張りすぎない程度に頑張って、この苦しさも、長い人生の中でホンの一時、いつかは落ち着くとそんな気持ちでいらしてくださらばな、と。

パス付掲示板の設立(有志での)場所を当方の掲示板で呼びかける、という件ですが、管理人としては規制するつもりはありません。ただ、ネット上のこと、さまざまなトラブルの発生もあり得ること。後押し、という形はできませんが、そこは互いに大人の常識の上で用心され、楽しんでくだされば、と思っています。
ただFumeeさんに限らず、他の呼びかけもまた入るようになった場合、それがどのような人による呼びかけなのか、とまでは私も関知できません。そのため、その時々の対応になるかと思いますが、とりあえず、「花男関連の内容であること」、「営利目的でないこと」を公示した上で、それぞれの責任に置いてくだされば、管理人としては規制いたしません。

何やら、このところ、ブルーな方々のコメントをいくつかいただき、ここらで、楽しいお話を私の方でも更新して、少しでも日常のうさを晴らす一助になればな…と思う今日この頃。

では、また、改めて。
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