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「それでも貴方を愛しているから…全97話完+α」
第二章 疑惑…掛違う運命の釦

それでも貴方を愛しているから031

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 妙に親しげで、ネットリとした揶揄を含んだ言い方に、怖気が走る。
 あの時と同じ。
 「道明寺さんが赤札貼って、居残ってるって…もしかして、西門さんに取り入ったからなんだ?」
 「…何が言いたいんですか?」
 「ん~別に?」
 あたしの周りをグルリと回り、頭のてっぺんから爪先まで舐めるように眺める加納浩輔の視線は、まるで人を見ると言うより物を値踏みするかのようで、屈辱に体が震えた。
 「ふうん、西門さんもホント、守備範囲広いって言うか…まあでも、高校生の頃に比べたら見違えて、ずいぶん可愛くなったね、牧野さん。けどさあ、彼女って言っても、不特定多数の一人だよね?まさか、高校時代から続いてるってことないんだろ?」
 あたしのこと、真面目に西門さんの『彼女』の一人だと思っているのだろうか。
 確かに、F4の中では学園内に残っているのは西門さんだけだし、そのせいでわりと一緒にいるからそう見られてもおかしくはないのかもしれない。
 西門さんに普通の女友達…なんて、当事者のあたしじゃなければあたしだって信じられないくらいだ。
 そして、あたしもこの男に、その誤解を解こうとはしなかった。
 それはなんで?
 「道明寺さん、君にはずいぶんムカついてたみたいなのに、西門さんのおかげで許されたんだ~。な~んだ、運がイイねぇ」
 その言葉で、ふとなぜ自分が西門さんの彼女と勘違いされているのに訂正しなかったかに気が付いた。
 目の前のコイツと同じ。
 西門さんを盾に、こいつをかわそうとしてたんだ。
 虎の威を借る狐。
 それに気が付いたとたん、恥ずかしさに唇を噛みしめ、無理やり言葉を絞り出した。
 「…西門さんの彼女なんかじゃないわ」
 「ふうん?単なるセックスフレンドの一人って自覚あるんだ」
 とんでもない誤解に、カッと頭に血が上る。
 「違うって言ってるでしょっ!?」
 「そう?じゃあさ、俺とも仲良くしない?」
 あまりに思わぬことを言われて、とっさに思考が働かない。
 なに?
 「だって、西門さんの彼女じゃないんだろ?…あの時の続き、しようよ?」
 最後の言葉だけ、まるで二人の間に何か秘め事でもあったかのように、声を落とし小さな声で囁きかけられた。
 その揶揄る視線に、カッと頭の中がわけのわからない熱に占められ、ぶわっとあの時の光景が胸に甦る。
 『よー、もったいぶんなよ。おジョーさんでもないくせに、遊んでるんだろ?』
 「…人の女に、何コナかけてやがんだ?」
 突然あたしたちの間に割入ってきた低く唸るような声に、あたしと加納浩輔がバッと振り返った。
 肩にかけられた手に、加納浩輔が顔を青ざめさせ、ギロッと冷たい視線を浴びせかけてくる道明寺に向かってペコリペコリと頭を下げる。
 「あ、いえ、院の方ですが、僕もいま、英徳に在学しているので挨拶してただけなんですよ」
 引きつりつつ、後退るように愛想笑いのまま、踵を返す。
 「で、では、失礼します、道明寺さん」
 道明寺とすれ違いざま、もう一度頭を下げ、後は逃げるようにその場を去っていった。
 一度は顔を見上げたものの、とっつきにくい無表情を張り付けた道明寺の顔にあたしも黙り込んでしまった。
 いつものように怒鳴られればあたしも言い返せるのだけれど、だからと言ってこの時、そんな事態になれば、言わなくてもいいこと、思ってもいないことを言ってしまい、今度こそ完全に終わってしまうかもしれない緊張をお互いに感じているのかもしれなかった。
 「…知り合いか?」
 「っ?!」
 え?
 「さっきも、お前、あいつのことジッと見てたよな?」
 茫然とあたしは、道明寺を見返した。
 「お…憶えてないの?」
 怪訝な顔であたしを見返した道明寺が、首を傾げ少し考えるようにしたけれど、その口から出た言葉はやはり同じものだった。
 「…ああ、なんたら商事の社長の息子だったか。親父について挨拶された憶えもあっけど、あんま見ない顔だったな」
 「…つい最近まで、イギリスにいたらしいから」
 そう答えたものの、ショックだった。
 何がショック?
 加納浩輔のことを道明寺が憶えていようと、憶えていまいとそんなことどうでもいい。
 でも、あの男は、あんたの手下だったヤツなんだよ?
 あんたがあいつを使ってあたしに何をしたか、あんたは本当に欠片も憶えてないと言うの?
 でも、そういえば、西門さんも加納浩輔を憶えていなかった。
 加納は道明寺の手下だっただけで、もしかしたら西門さんたちは面識がなかったのかもしれない。
 それに、確か西門さんとは同じクラスになったことがなかったって言ってた気がする。
 けれど、そう思い起こしてみれば道明寺とは同じクラスだったこともあるって言ってたんだ。
 あたしだって、クラスメイト全員の顔と名前を憶えているかと言われれば、自信はないけど。
 でも、こんなことってあるのだろうか?
 「あの人、道明寺が英徳の3年だった時、3年生に在学してた人だよ。クラスメートだったこともあるって。見覚えない?」
 意外そうに片眉を吊り上げる道明寺の顔が歪んで見える。
 「そうだったか?まあ、そういうこともあるかもしれねぇけど、一々全員憶えてねぇよ。言われてみれば、そうかくらいな感じか。あの頃は、総二郎とあきら、類、それにお前と桜子、あとはせいぜい和也くらいしか関係ねぇつーか、どうでもいい奴らばかりだったからな。そんなことより、お前だよ、いったい、あの男とどういう…って、なんだよ、お前?何泣いてんだよ」
 最初何を言われているのかわからなかった。
 泣いてる?あたしが??
 別に哀しくもないのに目に涙が溜まり、勝手に流れ落ちてゆく。
 「おいっ、手でこするな。目が傷つくだろ?!」
 さっきまで冷たい顔してあたしを睨み下ろしていたのに、おかしいくらいにあたふたして胸ポケットからチーフを取り出してあたしの顔にあてようと差し出してくる。
 でも、それを煩く払い落として、今度はクスリと笑みが零れる。
 けれど、涙はとまらないまま。
 なんだか、おかしい。
 だって、ここのところ情緒不安定だものね、あたし。
 「なんだよ?泣いたと思ったら今度は笑いだしやがって?」
 戸惑った声が、道明寺の正直な気持ちなんだろう。
 お前、わけわかんねぇ…そんな声が聞こえてくる。
 あたしだって、わからないよ。
 でもさ、こんなことってある?
 あの加納浩輔でさえあたしのことを憶えていた。
 あの揶揄に満ちた視線は、おそらくあの時のことを思いだしたのだろう。
 あたしの驚きと哀しみ、憤り…そして怯えを愉しんでいた。
 愉しんでいたのだ。
 あの時のことは道明寺とあたしの間で話題になったことはない。
 あたしももちろん普段から拘っていたわけではないから、たまに悪夢を見るくらいでは口に出すことはなかった。
 でも、けっして忘れたわけじゃない。
 ただ、あの時のことよりもその後に起こったさまざまな波乱万丈な出来事や、当事者である道明寺を好きになってしまったこと。
 好きになった後も、とてもじゃないけどいろいろなことに頭を振り向ける暇も、余裕もなくってうやむやのまま、道明寺自身がNYへ行ってしまい、深く考えることもなく顔を合わせることがなくなっただけだったんだ。

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