「それでも貴方を愛しているから…全97話完+α」
第一章 悪夢再来

それでも貴方を愛しているから003

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 「ゆ、優紀?」
 低木の合間に見え隠れしていた白い影は、3人の男たちに取り囲まれ、白い裸体をさらす一人の女性だった。
 顔を真っ赤に腫らし、ぐちゃぐちゃな涙にぬれた顔を上げた虚ろな目の女性は…優紀ではなかった。
 「ひゅっ!」
 思わず両手で口元を隠してしまったものの、あまりの光景に喉が鳴り、硬直してしまう。
 いつかの光景をまるで再現したかのような、フラッシュバック。
 伸し掛かる男に揺さぶられ、力なく素足を揺らしていた女性の目から、再び滂沱の涙が溢れ出した。
 た、助けて…。
 音にならない掠れた小さな声が、確かに聞こえた。
 「ん?なんだ、俺らに混ざりたいの?」
 あまりのショックに、次の行動を起こすこともできず、茫然と目の前の光景の前に立ちすくんでいたあたしに気が付いた
男たちが、下卑た笑いを口の端に浮かべて、向き直る。
 こちらに背を向けて、壊れた人形のようにぐったりとしていた女性を覗き込んでいた男がゆっくりと立ち上がり、
立ち尽くすあたしの方へと腕を伸ばす。
 と、その瞬間、シュッと風を切るような鋭い音を響かせ、あたしの背後から伸びてきた長い足が、
あたしの腕を取ろうとした男を回し蹴った。
 「ガッ!」
 瞬時に殺気立ち、女性の頭上から彼女の両腕を抑えていた男も立ち上がり、道明寺に掴み掛ってきた。
 「牧野、下がっていろ」
 鋭い冷徹な光を浮かべ、眉根を寄せた道明寺が、威嚇するようにゆっくりと周囲に視線を撫で、あたしの体を自分の背後に押しやった。
 一撃必殺。
 掴み掛ってきた男の手に触れさせもせず、伸びてきた拳を難なくよけ、そのまま左ストレートで
殴り飛ばし、そのまま倒れこんだ男の鳩尾に靴底を食い込ませ、昏倒させる。
 「ひっ!」
 女性に伸し掛かっていたために、とっさに対応し遅れた最後の男が、突然の状況変化についてこれず、左右に倒れ伏す仲間を見て、腰をぬかす。
 女一人に男三人で、こんな卑劣なマネしておいてっ!
 思わず、拳を固めたあたしに気が付いた道明寺が、実際に行動を移す前に、あたしの握りしめた手を大きな手で包み込んで、
首を振った。
 「やめておけ、お前の手が穢れるだけだ。こんなゲス、お前が殴る価値もない」
 「う、うわっ、なんだ、お前らっ!!」
 局部だけを無様にさらし、腰を抜かしたまま真っ青な顔で、うわごとの様に仲間を呼び続ける。
 呼ばれた仲間のほうは、白目をむき、気を失ったまま起きてくる様子もない。
 そんな様子に、熱い怒りを感じていたあたしも、
 大丈夫でしょうね、コイツったら、うっかり殺したんじゃ…。
 と、いらぬ心配が湧き上がってきた。
 「…それより」
 道明寺が上着を脱ぎ、あたしに差し出しながら、黙って顎をしゃくる。
 あたしは、周囲の男たちに警戒しながら、震えたまま力なく裸体をさらす女性にそっと近づき道明寺の上着を体にかけると、なるべく驚かさないように
丁寧に抱き起した。
 隣の男が、道明寺の鋭い眼光に怯えながら、あたしから遠ざかる。
 道明寺は、今にも獰猛な肉食獣がとびかかってくるような、凶暴な威圧感を全身で発し、男を威嚇しながら懐の携帯電話を取り出した。
 「ギャッ!」
 女性の涙をぬぐおうと、手元のハンカチに気を取られた瞬間、腰を抜かしていたはずのレイプ男の悲鳴があがった。
 チラリチラリとあたしたちの様子を伺いながら、その場を逃げ出そうとしていた男の手を、道明寺が思いっきり踏みつけたのだ。
 「ひ、ひ、ひ~」
 片手を抑えながら、道明寺の足の下から手を引き抜こうとする男の顔を、無造作に道明寺が蹴り上げる。
 「ちょっ!あんた、やりすぎよっ」
 白目をむいて倒れ伏した男の様子に内心では、あたしもざまあみろと舌を出して溜飲を下げてやりたい気がしたけれど、さすがに無抵抗の人間の顔をボールか何かのように躊躇もなく蹴り上げるのは、どうかと思う。
 けれど、あたしのそういった、ごく常識的な建前と内心の正直な気持ちに気づいていた道明寺は、ニヤリとして、あたしの上辺だけの抗議を無視した。
 「いま、車呼んだから。お前、病院まで付き添ってやれ。こんな夜中に救急車呼びつけるよりは、騒動にならずにいいだろ?ついでに、警察も呼ぶから、そっちは任せておけ」
 「うん、でも、一人で大丈夫?」
 チラリと伸びている男たちに目をやり、道明寺を見上げる。
 「ば~か、誰に物言ってるんだよ?こんな連中、3人が5人いたって、俺がやられるか」
 まあ、そうだよねぇ。
 ちょっと、言ってみただけだよ。
 「ああ、あんた、ちょっと向う向いててよ」
 道明寺はなるべく、あたしたちの方に視線を向けないようにはしているようだけど、あたしの腕の中の女性は、ほぼ全裸。
 女性のほうは、さきほどからショック状態なのか、茫然自失していて壊れたようにすすり泣くだけで、あたしたちの会話に反応しない。
 だからと言って、いくらなんでも見もしらない男に、こんな無残な姿を見ていられたくはないだろう。
 「そうしたいのは山々だが、さすがにコイツらから目を離すのはな。まあ、心配すんな。お前ならともかく、そもそも興味もねえし」
 「ばっ!」
 どういう言い草よ。
 こんな時に笑えない。
 でも、間違いなく道明寺の正直な気持ちなのだろうし、元々こういう奴なんだから咎めてもしようがない。
 頭痛を憶えながらあたしも、羽織っていたニットのカーティガンを脱ぎ、ほぼ剥き出しの女性の下肢にかけた。
 寒さにではないだろう震えに、ずっと自分の両肩を抱いたまま、俯いて泣き続ける女性の姿に、なんだか、あたしのほうが薄ら寒いものを感じていた。
 こんなところで、こんな場面に出くわして。
 一見、普段とかわらない道明寺も、実はそれなりに動揺している証拠に、口数が少ない。
 ましてあたしは当たり前のことに、相当ショックで動転していた。 
 なんだか、すごく嫌だ。
 できることなら、このまま、この被害者である女性も、加害者である男たちも、そしてなぜか、道明寺でさえ見ていたくなかった。
 わずかに、せり上がってくるような吐き気に、口元に手を当てた瞬間。
 「…きたな」
 危惧していた警察のパトカーのサイレンの音ではなく、道明寺家の見慣れた黒塗りのリムジンが、音もなく公園の入り口に停車した。
 よかった。
 パトカーが先に来ていたら晒し者になっていたかもしれない。
 ある程度の事情を含められていた道明寺家の運転手さんが、女性の体をすっぽりと覆えるような大きな膝掛を手に駆け寄ってくる。
 「安心して?いま、病院まで連れてゆくから。とりあえず、車に乗りましょう?」
 なるべくやさしい声で促すと、女性は虚ろな目のままコックリと頷き、素直に立ち上がった。
 よろめく傷ついた体を抱き寄せるように寄りかからせると、間近に迫った顔が殴られて腫れ上がっているのがよくわかる。
 首には絞められたような、わずかな手の赤い跡。
 たぶん、くるんだひざ掛けに隠れた体にも無数の暴行の跡があるのだろう。
 酷い…。
 「こいつら警察に引き渡したら、俺も警察と病院へいくわ。それまで、一人で大丈夫か?」
 「うん、平気。永田さんもいらっしゃるし、なんとかなるよ。この人のご家族には、後で、もうちょっと落ち着いてから聞き出して連絡する。
じゃあ、また、後で」
 「ああ」
 道明寺が薄く微笑み、手を振る。
 近所の人たちに異変を悟られる前に、足元も覚束ない女性を乗せ、一路、病院へと車を走らせた。

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