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「中・短編」
with F4(Love つくし)…完

女友達05

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 総二郎に指定されたカフェへと到着すると、総二郎の座る4人掛け席はすでに前後左右埋まっていた。
 見るからに総二郎狙いの女たちは、それぞれが獲物を狙う雌豹のような敵対心を燃やし、それをわかっていて堂々とハーレムしている総二郎にそれぞれが手練手管を展開していた。
 その一角の異様さを除いても、そこかしこで注目を浴びているのは自明の理。
 見るからに心臓に悪そうなその場に混じるなんて、間違ってもつくし的には遠慮したい。
 うわあ、やだやだ。このまま、声かけないで帰ろうかな…。
 店内に足を踏み入れた瞬間には、すでに後退って踵を返しかけているつくしの念が通じたらしく、総二郎がふっと顔をあげた。
 「…あ、連れが来たみたい。牧野こっち」
 げ、声かけんなよ。
 もちろん、つくしの心の声なんてお見通し。
 それでも、にこやかに必要以上の艶を含ませているのは確信犯。
 ギギギと一応は顔を向け、引きつった顔を向けるつくしにニヤリと笑い、自分の腕に取りすがる女性の手はさり気無く外して伝票を手にとった。
 「残念、タイムリミット。ありがとう、楽しい時間だったよ。ここの払いは済ませておくから、君たちはゆっくりして?」
 「ええ?西門くん行っちゃうの~?楽しかったのならあたしたちともう少し一緒しましょうよ?連れの人も一緒に?」
 どういうつもりか…嘲りを浮かべている目の意地悪気な輝きから、どういうつもりかなんて一目瞭然だったけれど、言葉じりだけ捕えれば殊勝だった。
 「…またね、みきちゃん、真里菜ちゃん、晶子ちゃん」
 ヒラヒラ手を振り、それでも振り返らないのはキッパリとした意志の表れか。
 不機嫌に睨み上げるつくしの横をすり抜け、会計に立つ。
 レジの前に立つ、ウェイトレスの顔も心なしか紅潮し、おそらく気のせいでなくうっとりと呆けているのは、この男たちに限っては珍しくもないデフォルト。
 「…あたしに遠慮しないで、みきちゃんたちと残れば?」
 うんざりとした声音にも今更、総二郎は怯まない。
 「ん?いいよ。お前を待つ間の暇つぶしだったから。今日はお前とデートするって、約束しただろ?」
 「はあ?なにそれ?デートするなんて、あたし一言も聞いてないし、承諾もしてないんですけど?」
 「まあまあ、たまには付き合えよ。ベッドを介在しない関係の女なんて、家族を除けば司の姉ちゃんと静、それにお前くらいなんだから、たまには珍しい体験もしないとな」
 「…なによ、それ。なんだか微妙に失礼しちゃう言い回し。そんな体験の片棒担ぐほどあたし暇じゃないんですけど?」
 ぶーぶー言うつくしの手首を掴むとそのまま、店を出る。
 「ちょっと!」
 「いいじゃねぇか。どうせ、お前、今日はもうバイトもないって言ってたじゃねぇか?愛するダーリンの司君と会う約束も取り付けてないんだし、俺らの他にはロクに男友達もいなくて潤いない人生送ってんだから、たまには付き合えって」
 「…道明寺と、そんなに気軽に約束できる距離じゃないでしょ?つーか、結局やっぱり暇なんじゃん、西門さん」
 「まあ、そうとも言えるし、そうじゃないとも言える」
 謎めいた言い回しだったが、いくらなんでも暇ということはないだろう。 
 だが、この男には読めないところがある。
 司たちとは立場がまた違うかもしれなかったが、茶道家元の次期後継者としての立場や職務、その他さまざまな責任も負い、つくしには想像に難い歴史という重いものも背負ってけっして気軽な身分ではないだろうに、総二郎自体はいつも自然体だ。
 店を出ると、そろそろ午後の日差しも、西日に変わりつつある。
 だが、夏の暑さは太陽の位置とは裏腹に、アスファルトにこもった熱気でますます不快な暑さを照り返していた。
 「…どこいくつもりよ?」
 「そうだなあ。健全なお子ちゃまのお前と行くとなると、俺の常の行動範囲とは違うんだよな」
 「だ・か・ら!誰も頼んでないって!悩むくらいなら、帰ろうよ」
 「よし、海行くか、海」 
 「はあ?」
 総二郎からおよそ出るとは思わなかった健全な遊び場の代名詞に、とっさにつくしは聞き間違いかと思って聞き返す。
 「お前、今年まだ海行ってないんだろ?」
 「…今年っていうか、そういえば、ここ数年行ってないわね」
 思い起こせば勤労学生で過ごした数年。
 夏休みといえばバイトにつぐバイトで、友人と言えば総二郎を含む、F3や桜子たちばかり。
 庶民でありながら、不可思議なことにセレブの集う社交場にはいつの間にか慣らされてしまったが、中学生時代には普通に馴染んでいたそれらの場所とはかなり縁遠くなっていた。
 …そういえば、海なんて、高校生の時にこいつらに道明寺ん家の島に無理やり連れて行かれた時以来か。
 そう思い起こすと、つくしもムクムクッと行きたい気持ちになってくる。 
 「でも、今から~?」
 この時間ならまあ、確かにそれほど遅いと言う時間ではないかもしれないが、泳ぐには中途半端だし、ちょうど家族連れの海水浴客たちが犇めき、そろそろ帰ろうかと混み始める頃あいだ。
 「まあ、別に泳がなくてもいいじゃん。つーか、さすがに有象無象の中で泳ぐつもりにはなんねぇな。どうしても泳ぎたいつーんなら、ホテルのプールでもいきゃあいいし」
 「…いえ、けっこうです」
 「なら、潮風にあたって、沈む夕日でも見るのもいいだろ?」
 なんか、無駄にロマンチックなのが、気恥ずかしいような気もするけれど。
 ま、いっか。
 確かに、急いでこなさないといけないレポートがあるわけじゃなし。
 特に決まった予定があったわけじゃない。
 デートだなんだと言っても、結局のところ総二郎にとっては自分は恋愛の範疇にはまったく入っていない女友達にすぎず、色っぽい話とは真逆の関係だということは十分にわかっている。
 そうとなれば、つくしにとっても総二郎は気のおけない仲間で、ちょっと軽めの兄のような立場の楽しい男友達だった。
 「…焼きトウモロコシ、一緒に食べてくれるならいいよ」
 「げっ。せめて、かき氷くらいにしておけ」
 う~んと、悩み、まあ、確かに総二郎が焼きトウモロコシに齧りついてる様は本人的にありえないだろうと思う。
 別にあたし相手にカッコつけなくてもいいと思うけど、人目もあるか。
 納得。
 「ま、妥協しましょう。約束だよ?」
 「おう。そうとなれば」
 なぜか、つくしの頭から足先までを、舐めるように視線を上下させる総二郎。
 「…ちょっと、何いやらしい目で見てんのよ!」
 「アホか。誰がそんな色気ねぇかっこうしてるガキに発情するか」
 「は、発情って、あんた!」
 色気がないと言われ、別にいまさら総二郎に色気を感じて欲しいわけではなかったけれど、確かに今日の格好は自分でもないなあと思っていたので、グザリと胸に突き刺さる。 「…学校に勉強しに行ってんだもん。誰がそんな派手な格好していくか」
 「まあ、お前ならそうだろうな。でも、海行くのに、そのかっこ、あまりにはじけなさ過ぎてんだろ?」
 ジーパンにスニーカー、シンプルなカットソー。
 持ってる鞄はパンパンに教科書のつまったトートバック。
 確かに、ちょっと暑苦しいかもしれない。
 「ちょっと、来いよ」
 「え?な、なんなのよっ!?」




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