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「昏い夜を抜けて…全483話完」
第一章 再会

昏い夜を抜けて006

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 数年ぶりに再会した桜子は、昔から美しい少女だったが、より一層輝きを増していた。
 見た目の美しさだけでなく、磨かれた内面の美しさや立ち振る舞い、そういったものすべてが『イイ女』そのもので。
 連れだってタクシーで降り立ったのは、数年ぶりに訪れたメイプル・ホテル。
 司と付き合っていた頃にはそれなりに馴染みがあったものの、やはり司と別れて以来、つくしがこの場所を訪れる機会はまったくなかった。
 あきらたちとはラウンジで待ち合わせることになっているので、そのままエレベーターへと向かう。
 う~ん、他人ごとながら周囲の視線が痛い。
 自分は自分と、卑下したり他人を羨望したりするのはらしくなかったけれど、桜子のようないかにもな美女と並んでいると、平凡な自分がさすがにちょっと気が引ける。
 「先輩だって、磨けばそれなりに…ですよ」
 頭で考えていたことがそのまま返事で帰って来て、つくしはギョッとする。
 「そんな驚かなくったって、先輩って何年たっても進歩ありませんねぇ。昔から、思ったことがそのまんま顔に出てましたけど、そんな呆けた顔で私の顔に見惚れちゃって。いくら同性でも、私の美しさに傾倒しちゃうのは仕方がありませんけど、前はしっかり見てくださいね」
 言われた端から、前から来た人にぶつかりそうになる。
 相手の顔がムッとした顔に歪むが、桜子のニッコリ振りまいた愛想に悩殺されてその場は事なきを得た。
 「ホント、なんなんですか、その服に、そのメイク」
 憮然と自分の服装を見回すも、つくし的には特に外したつもりはない。
 無難なチャコールグレーのパンツスーツに、水色のブラウス、キャリアウーマンらしく髪は結い上げて。
 いつもはファンデーションとリップくらいでほとんどスッピンに近い化粧も、一応会う相手を考えて、それなりにアイシャドーやマスカラなど、普段は使わないアイテムだって使用している。
 「子供じゃないんですから、ほとんどスッピンって…。それに、それじゃあ、リクルートですよ!」
 「…これでもけっこう濃い目に色入れてるんだけど。あんたがリキいれすぎなのよ?」 
 「これだからホント、普段潤いのない生活送ってる女は。パサッパサに乾きすぎてますね、先輩の人生」
 「ほっとけ!」
 あまりの言われように、昔はさんざん馴染んでいた毒舌も、久しぶりに聞くとかなり小面憎い。
 それでも、桜子は思ったままに言っているだけで、その言葉の裏にはつくしを傷つけようと言う悪意や陰湿さがないから、憎めないし、苦笑しつつも許してしまう。
 「それをいうなら、あんたも変わらないわよ。見た目はまあ、確かにあんたが自信もっちゃうのも仕方がないくらい、ますます綺麗になってるけどさ」
 素直な称賛に、桜子の唇にも優しい笑みが浮かぶ。
 どこかはにかんだような嬉しそうな笑みは、彼女のつくしへの好意が顕わで、つくし的にはちょっとだけ気恥ずかしかった。
 


 あきらとの再会を果たしてから2週間。
 てっきり社交辞令だと思っていたあきらの『F3との会合』へのお誘いはどうやら本気だったらしく、かつての女友達である桜子を通して、今日この日と指定でのお誘いが入った。
 一応、つくしの都合も聞かれたが、世界に名だたる企業経営者たちに合わさせる都合などあるはずもない。
 激務につぐ、激務のあきらたちによく会合する余裕などあるものだと思ったが、F3自体も皆で顔を合わせるのは数年ぶりのことで、どうやら類のフランスからの帰国祝いを兼ての会合だったらしい。
 「…でも、道明寺さんはいらっしゃらないんですよねぇ」
 禁句だった名前が桜子から意図も容易くでて、ドキッと心臓を鳴らす。
 「先輩、まだ、道明寺さんとのことこだわってるんですか?」
 問われて図星だったので、返答のしようもない。
 「…まさか、未練がまだあるとか?」
 伺ってくる桜子の顔にあるのは、純粋な心配だけだ。
 それに、ほんのりとした温かみを感じつつも、天邪鬼なところのある女友達にそのことを指摘すれば、手痛いしっぺ返しをくらうのはわかりきっているので、つくしも何もいわない。
 けれど、せめて真摯な想いには正直にな言葉で答える。
 「未練はないよ、さすがに。もう何年もたってるんだしね」
 「年月は関係ありませんよ、あの、道明寺さんですもの。未練を感じたって可笑しくはありません」
 未練か…正直つくしにはわからない。
 熱く求められ、熱く愛された。
 そういう意味では、忘れがたい男だ。
 けれど、つくしの中では司を想う時、愛しさよりも戸惑いと申し訳なさが先に立つ。
 司を好きだと思わなかったわけではなかった。
 愛しいと思えないということもなかった。
 けれど、司の想いほどに自分は果たして彼を想うことができたのだろうか?
 司の母の妨害に合って、結果、別れることになった時、彼の哀しみに比例するほどに自分も彼への哀切を感じることができたのだろうか。
 「そうだね、道明寺はすごく魅力的で、忘れがたい男性ではあったよね」
 「ええ、最近の雑誌の記事などでも、ますます男ぶりが上がられて。友人でしかなかった私でさえ、思うところがいろいろあるんですもの、元カノだった先輩なら、もっと複雑な気持ちがあっても不思議ではないと思います」
 「…不思議じゃない、か」
 そういわれると、このもやもやして、いつも感じる司へのわだかまりは当然のことなのだろう。
 けれど、一方でこうしてF3や桜子、高校時代に関わった人たちに再会するようなことさえなければ、胸の片隅でそんなこともあったな、とセピアに色褪せ特に感慨にふけるようなこともなかった。
 どちらにせよ、司にとっても過ぎし青春の1ページだろう。
 ただ、懐かしいだけなのかもしれなかった。
 それよりも…。
 「お、牧野!桜子も」
 声をかけられ振り返ると、ボーイに案内さえ、こちらへと歩み寄ってくるあきらと、武者人形のような凛々しい美貌の青年と視線があう。
 「へえ?桜子とはたまに、パーティとかで会うけど、牧野とは!?」
 ニヤリと笑った顔がセクシーで。
 相変わらずの洗練された色男に挨拶をしようと声をあげかけ、つくしは言葉を呑み込んだ。
 総二郎の後ろから現れた美しい夢の具現。
 茶色のサラサラの髪と、ビー玉色の瞳、つくしが子供の頃夢見た童話の王子様がそのまんま抜け出したような美貌の青年が、つくしを見て不思議そうに眼を瞬かせ、ふわりと柔らかく微笑んだ。
 「久しぶり」
 「…花沢、類」

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