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「それでも貴方を愛しているから…全97話完+α」
第二章 疑惑…掛違う運命の釦

それでも貴方を愛しているから025

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 午後から使う資料とお弁当を広げて、構内の芝生でのお昼御飯中、陰った手元にいやいや顔をあげる。 
 すると、案の定、…予想していた人物とはちょっと違ったけれど、それでもまあ想定の範囲の美貌の主がうんざりとした顔で、目の前に立っていた。
 「…たく、世界屈指の財閥御曹司の婚約者が、あいかわらず貧乏くせぇな」
 はああ。
 我知らず溜息が零れる。
 「暇じゃないんでしょ?いいの?こんな昼日中から、こんなところに現れて」
 「よくはねぇけど、これ以上安眠妨害されるのは御免蒙る」
 難しい顔であたしの横に腰を下ろした美作さんが、それでも肩を竦めて表情を緩めた
 「で?どうしたよ、お前」
 「どうしたよ、ってこっちの台詞なんじゃない?」
 「て、俺がここにいる理由くらい、想像ついてんだろ?鈍いお前にしても」
 ニブイは余計だよ。
 いつもだったらそういって噛みついてやるのに、さすがのあたしも参っていた。
 自分で自分の望みがわからない。
 道明寺にあんなことを言ってしまったけれど、本当は苦しかった。
 あのまま終わってしまったのだとしたら…。
 「お前、ずいぶん顔色悪いぞ。寝れてんのか?」
 「…う、ん、まあ。また、道明寺?」
 忙しいこの人が昼日中からこんなところへ来るなんて、それ以外にないだろうと思いつつも確認する。
 それ、一個くれ、と言われて弁当箱を差し出すと、卵焼きを選んで抓んでる。
 生まれながらのセレブのお坊ちゃまで、こんな庶民的なお弁当なんて縁のない人だったけれど、高校生時代以来、こうして何度となくあたしのお弁当のおかずを口にした。
 高校生の時に、初めて口にしたときはおっかなびっくりだった美作さんも、いまは平然と口にする。
 お気に入りは道明寺と同じく卵焼き。
 「懐かしい味」
 「そう?」
 「牧野の味ってやつだな」
 「はは、なにそれ~」
 食欲がなくって食が進んでいなかったお弁当に、箸をつける。
 「…何があったんだよ?」 
 唐突に切り出されて、身構えていなかったあたしは、言葉につまった。
 でも、どちらにしても、いまのあたしに美作さんを突っぱねる余裕も気力もなかったけれど。
 「なにって、道明寺から聞いてるんでしょ?」
 道明寺がよこしたんでしょ?
 「ふう、お前の予想は間違ってる。俺をここによこしたのは司じゃねぇぞ?」
 「え?」
 驚いて、目をパチクリさせたあたしにふっと優しく笑って、美作さんがあたしの頭を優しく撫でてくれた。
 いつもだったら、子ども扱いしないで、と邪険に手を払いのけるところだったけど、その感触があまりに優しくて、不覚にも涙が溢れそうになる。
 やだ、なんなのよ、あたし。
 ここのところ情緒不安定なのは自分で感じていた。
 鳴らない電話にホッとしながらも、それがまたあたしの屈託に追い打ちをかける。
 「桜子だよ。なんだか、ここのところ、お前の様子がおかしいつうて、朝も夜もなく、電話攻撃。俺は便利屋じゃねぇっつーの」
 「…桜子が」
 ここのところ桜子が心配そうに見ているのはわかっていた。
 実際、言葉にして聞かれることもあったけれど、あたし自身がよくわかっていないことを桜子に相談することもできなかった。
 なんでこんなことに?
 あたしが一番聞きたい。
 それでも、なにもなかったように道明寺と接することなどできるはずもなかったのだ。
 「まあ、桜子は類のやつを引っ張り出したかったみたいなんだけどな。類に声かけずらかったんだろう、せっつかれてな。俺から類に連絡とったんだけど、お前らもガキじゃねぇんだからほっておけって、ケンモホロロ。あいつ、けっこうドライなところあるよな?」
 花沢類は、さすがによくわかってくれてる。 
 もし、いま目の前に類が現れたって、何をどうして話していいかわからなかったし、さすがにいくら類とはいえ、あまりあからさまなことを異性に告白したりなんてできない。
 もう少し時間が欲しかった。
 「総二郎は総二郎で…」
 苦虫を潰したような顔で溜息をつく美作さんに不審が浮かぶ。
 「…なに?西門さん」
 「お前、総二郎と話しただろ?」
 「え、うん?」
 「なんか、お前に連絡させるって約束させただかしなかっただかで、司に責められて、切れて大喧嘩」
 あ…、そういえば、そうだった。
 西門さんが道明寺に派遣されてきて、あまり口出しをされたくなかったあたしは、苦し紛れに道明寺には自分から連絡をいれると約束したんだった。
 「えっと、ケンカになっちゃったの?」
 「…まあ、ああ見えて、けっこう総二郎も気が短けぇからな。ガキの頃からお前らのゴタゴタには巻き込まれなれてっけど、あいつ今、いよいよ家元襲名とかの根回しとかでいろいろあっからよ」
 「そうなんだ、あっちゃ…、西門さんには申し訳ないことしちゃった」
 そうだった。
 この人たちはただでさえ、普通の20才代の青年ではない。
 常に激務に追われていて、あたしや道明寺の恋愛ごとのごたごたにいつまでも巻き込まれているわけにはいかない立場にいる人たちなんだ。
 第一、道明寺自身が、そんなあたしとの関係なんていうプライベートの些末なことにいつまでもかかずらわっている場合じゃないのではなかろうか。
 あいつにとってはプライベートは二の次、三の次。
 元々、住む世界が違う。
 そうしたギャップがまた、あたしたちの仲直り?を難しくしてる。
 別に喧嘩してるわけじゃないんだけどね。
 もう…だめなのかもしれないな。
 ふいに、ふっとそんな考えが初めて思い浮かぶ。
 このまま別れてもいいのか、なんて自分の中の答えを探すので一生懸命だったけど、物理的に、あの男をあたしとの痴話喧嘩なんて小さなことで引き留めていることの無意味にやっと思い至った。
 「で、まあ、総二郎はここんとこ忙しいのもあって大学来れねぇらしいし、ムクれてんからな」
 「…落ち着いたら西門さんには謝るよ」
 「ま、そっちは適当でいいけど。…司、荒れてるぜ」
 心構えをしていなかったあたしは、とっさに言葉につまった。
 「先日も、道明寺との合同プロジェクトの関係で顔合わせたんだけどよ。お前もひでぇ顔してんけど、アイツの顔、最悪だぜ」
 「……」
 「一時期、うるせぇくらいに電話してきたのがプッツリ止んだから、なんだかんだとお前と上手くやってんのかと思ってたら…何やってんだよ、お前ら」
 何やってんだよ、と言われても。
 「人にさんざん迷惑かけておいて、いざこっちから水向けてやってもだんまりで、何も言いやがらねぇ」
 「…何も聞いてないの?」
 「ああ、あいつ、元々仕事中毒なきらいあったけどよ、なんだかもうヤケクソのように今仕事入れまくってるらしくって、ろくに話す時間もとれねぇんだよ。…ほれ、昔、司の母ちゃんについてた凄腕の秘書」
 「…西田さん?」
 「おう。あっちの方があの鉄面皮な顔で、司の体が心配だと零してたぞ?ま、スケジュールが次から次につまってんから、当然ついてまわってる秘書もそうそう時間とれねぇから、ちょっと立ち話くらいなもんだったけどよ」
 「…そっか」
 よほどのことがなければ、公式的には道明寺との関係は何者でもないあたしには、何の連絡も入ることはない。
 それでも、西田さん直通の番号ももらっていたから、その気なら道明寺の近況を知ることはできないことではなったけれど、やはり同じ理由であたしからの連絡はなるべく控えていた。
 一介の学生のあたしが、バリバリに企業の第一線で、並ならぬ重責を担っている人たちに、いったいどんな用事で電話なんてできるというのだろう。
 一度、引いてみると、いままでの自分がいかに身の程知らずだったのか、道明寺との関係がいかに異質な物であったのかが身に詰まった。
 「それで?」

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