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「愛してる、そばにいて」
第1章 泡沫に沈む月①

愛してる、そばにいて0002

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 つくしが戒の子供部屋から絵本をもって寝室へ戻ると、家族3人で寝てもまだ余る巨大なベッドに戒が大の字になって眠っていた。
 司もつくしも交代でシャワーを浴び、その間に双方、子供を寝かしつける努力をしたのだが、努力は実を結ばず。
 絵本を読んでくれなきゃ寝ないと言い張る一人息子に、仕方なくつくしが絵本を取りに行ったのだ。
 それが、数分前のこと。
 横で添い寝をして、自分にそっくりなクルクルの巻き毛を悪戯していた司が、つくしの気配に顔をあげ、肩を竦める。
 「なに?もう寝ちゃったの?」
 「ああ、お子ちゃまはあっけねぇな。さんざん、絵本を読んでくれなきゃ、寝ねぇなんて言っておいて、ベッド入ってお前の後ろ姿見たら、すぐにバタンキューだ」
 「…もう、あんたに似て我が強いったら。自分の欲求が通って満足したんでしょ」
 溜息を一つついて、サイドボードの上に絵本を置く。
 ほんの少しの喉の渇きを覚えて、つくしは横たわる夫へと視線を戻した。
 「な、なによ?」
 ジ~っと舐めるように自分の全身を見る司の視線は卑猥だ。
 つくしのアップにしてあらわにしたうなじ、首筋、通った背筋、子供を産んでもなお華奢な腰。
 ほっそりとした手足を眺め、引いている最愛の妻へと淫靡に微笑みかける。
 「お前鑑賞」
 「…はあ?何言ってんのよ、今更」
 「今更もなにもねぇだろ?俺はお前にメチャクチャ惚れてて、いつでもどこでもお前を鑑賞するのが俺の趣味。…と、見るだけってわけじゃねぇけどな」
 呆れて隣室にあるミニバーに行こうとして、手首を掴まれる。
 「…ちょっと」
 「どこ行く気だよ?」
 「ん?喉湧いたからお茶でも飲もうかと思って。あんたもなんか飲む?けっこう嫌な話されて、お酒飲んでたでしょ?あんたもお茶でも飲んで酔いを醒ましたら?」
 見ていないようで、いつもつくしはきめ細やかに司の態度や心を見守っていて、さりげなく柔らかい心遣いでフォローしてくれる。
 自分ではそんな心配性な妻によけいな気苦労をさせないように、この10年のビジネス生活で培ったポーカーフェイスで隠しきったつもりだったのだが…。
 「…あれくらい飲んだうちに入るかよ。俺には水みてぇなもんだ。…茶、飲みてぇの?」
 「う~ん、別にミネラルウォーターでもいいんだけどね。なんとなく、口に含みたい程度だから…って!?」
 グンと力任せに引っ張られ、そのままベッドに倒れ込む。
 「ちょっ!?」
 痛くはないものの、唐突な乱暴な扱いに抗議の声を上げかけるつくしの体に覆いかぶさってきた男が、突然唇を押し付けてくる。
 突然のことに驚いて抵抗するつくしの唇に強引に割り入った舌が、歯を舐め、上顎を舐め回し、息もつけぬほどの濃厚なキスを仕掛けてた。
 最初は戸惑っていたつくしも、慣れた愛撫に次第に緊張が解け、素直にその舌での求愛に答え、絡め合う。
 やがては溢れてきた唾液がつくしの喉へと流し込まれ、自分の唾液と司の唾液がまじりあったなんとも甘い甘露をコク、コクと飲み干し、飲み切れぬ滴を司が舐めとった。
 「…美味かったか?」
 「な、何考えてるのよっ!」
 「…だから、お前のことだって。なんか飲みてぇって言ってただろ?」
 真っ赤になったつくしが、バンバンと伸し掛かっている男の背中を叩きまくる。
 「アホッ!誰がこ、こんなもん飲みたいって言ったのよっ!やだ、このバカッ!」
 顎下からつくしの白い肌に吸い付きながら、
 「クソッ、あんな背中が丸あきのドレス着やがって。俺がどれだけ、ヤキモキしたかわかってんのかよ」
 司は一人、数時間も前のことを思い出して憤慨しだした。
 「ヤキモキって」
 目をパチクリさせるつくしに、何を思い出しているのか青すじをたてた司がつくしのほっそりとした首筋に齧り付く。
 「痛いって!」
 「あのハゲ親父、お前を舐めるように見やがって!だからイタリア男は油断ならねぇんだっ」
 イタリア男というと、あの銀行家とかいう紳士のことだろうか。
 顎下に、首筋に、鎖骨へとキスの嵐を受けながら、ぼんやりとつくしは思い浮かべる。
 つくしをパーティに連れ出し、着飾らせ見せびらかすのは大好きなくせに、きまってこの男はそのたびに猛烈に嫉妬し、言いがかりとしかいいようのないダダをこねだす。
 それを面倒臭いと思いつつ、一方で愛されている実感を感じて幸せにも、こういう人に羨まれるような男が見せる独占欲を可愛いと思うのは己惚れだろうか?
 ひとしきり好きなようにさせ、胸元に手がかかったところで、つくしがぺシリと司の手を叩き落とす。
 「なんだよ」
 すねたように上目使いで見てくる男の艶を含んだ眼差しに、内心うっと息を詰まらせながら、視線で隣の子供を指し示した。
 「…ダメだよ?」
 「起きねぇよ」
 実際、一度寝てしまえば、雷が降ろうと、地震が来ようと起きそうもない熟睡度だが、そう油断した時に限って起きだしてくる。
 さっそく…。
 「ムニャ…おしっこ」
 ビクッ。
 夫婦そろって固まり、そろそろと喋ったとうの子供へと視線を移した。
 「…もう、いった…も、ん」
 しばらく固まった姿勢のまま見守るも、戒の様子は寝入ったまんま。
 「はあああぁぁ、なんだ、寝言かよ~」
 さすがの司も萎えたのか、脱力してつくしの上に突っ伏した。
 それを邪険に横に押し出して、掛布を肌蹴ている息子と一緒に、子供みたいな最愛の男の体にもかけてやる。
 「…ほらね?子供の前で邪なこと考えちゃダメっていう、神様のお達しだよ?もう、今日は疲れてるんだから、明日に備えて寝なさいよ」
 「神様…?そんなもんいるわきゃないだろ。第一、邪つーのはなんだよ?俺は極めて真剣に、純粋に、お前を愛したいていう望みを持ってるだけで」
 延々と気恥ずかしい口説き文句を言いだしそうな夫に照れて、つくしは戒を挟んだ向こう側へと移動する。
 「もうっ!そんなこといいから早く寝て!私はもう寝るからねっ」
 「おいっ!移動すんなっ。お前は俺の隣だろうがっ」
 「バカ言ってない。今日は戒と一緒に寝てあげるって言いだしたのはあんたなんだから、起きた後戒に文句言われるようなことはダメじゃないの」
 つくしの横で寝たがる司だったが、戒もまたご同様で、それならそれでつくしを挟んで寝ればいいようなものなのだが、戒は父親の司も大好きなのだ。
 必然隣にお父さん、反対隣にお母さんというのが、戒にとってのベストポジション。
 ブーブーいう司も仕方なしに、大人しく横になるのかと思えば…。
 「なによ?」
 掛布を被って寝に入ろうとしていたつくしが、片肘をついて自分をジト目で、なおも見下ろす司に首を傾げる。
 「…忘れ物」
 ん、とキスを強請って顎を突き出す男の相も変らぬ甘えたぶりに、呆れるつくしだったが、それでも放っておいたらずっとこのままぶーたれ続けるのだろう。
 しょうがないわねぇ…と困った笑み一つを浮かべ、チュッと触れるだけのキスを落として、すぐにまた横になる。
 横になってそっぽを向いたつくしの、それでも赤く染まった耳が楽しくて、嬉しくて、司もつくしの方を向いて横になった。
 「おいっ、そっぽ向くなよ。手っ!」
 「…もう、いいかげん、飽きないわけ?あんた」
 「飽きる?ありえねぇだろ。俺はいつでもお前を見ていてぇし、触りたい。お前は違うのかよ?」
 戒の頭越しに差し出された手に、そっと自分の手を差し入れ、握られる手の感触がつくしを幸せだと感じさせ、つくしの心を優しく包み込む。
 つくしが司の望み通り振り向いて、目と目を合わせ、微笑みあって。
 「私も…私も飽きない。あんたを見ていたいし、触りたい」
 「…愛してる、つくし」
 ギュッと司の手をつくしは握り、
 「おやすみ、司」
 「…なあ、もう一人、今から子供作らねぇ?」
 バスッ!
 つくしの投げた枕が司の顔に思いっきりヒットした。
 「さっさと寝ろっ!」
 もうその夜、つくしは一切司の会話に応じてくれなかった。




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