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「愛してる、そばにいて」
第1章 泡沫に沈む月①

愛してる、そばにいて0001

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 「お母さんっ!」
 長大な黒塗りのリムジンからつくしが降りると、途端に飛びついてきた小さな体を、横から司が抱き上げる。
 「こら、いきなり飛びつくな。お母さんが怪我するだろうが」
 注意しつつ、秀麗な顔の位置の自分そっくりな息子の顔を見つめる司の顔は慈愛に満ちて穏やかだ。 
 「だって、早くお母さんに会いたかったんだもん!」
 「…会いたかったって、昼飯ん時まで一緒だっただろうがよ。俺なんて、毎日会えない時もあるんだぞ」
 愚痴なんだか説教なんだか、大真面目に4歳児を諭す司につくしが苦笑を零す。 
 「なに子供にそんな駄々っ子みたいなことを、大真面目に言ってんのよ。戒はまだ4才なんだから、ママが恋しくて当然でしょ?」
 「んだよ、幼稚園行ってんだろ?俺なんて、物心ついた頃から、母親が傍にいたことなんてねぇつーの」
 ハッとつくしが司を振り仰いだものの、司の方は特に当てこすったわけではなかったらしく、自分の顔を引っ張って悪戯しようとしていた4才児を相手に、逆さづりにしたり振り回したりして遊んでいる。
 両親の愛情を知らない…そんなことが信じられないくらい、司は子煩悩で愛情深い父親だ。
 時折、つくしべったりの一人息子に嫉妬めいたことを言うこともあったが、その言葉とは裏腹に、つくし以上に戒に甘く優しい。
 時間がある限り戒の遊びに付き合ったし、煩くしてもけっして邪険にせず真剣に向き合っている。
 キャアキャア言いながら、司に高い高いをされて喜んでいる戒は、すでにこまっしゃくれて、普段は幼い遊びを「ガキっぽい」と忌避していたが、こうして大好きな父親に遊んでもらえるのにはいつも素直で、全身で喜びを表している。
 …司、いつも忙しくて、頑張ってくれてるけど、中々起きている間には会えないものね。
 そうは言うものの、そろそろ時刻は23時を回っている。
 夫婦同伴の政治家主催のパーティに参加する前に、戒つきのメイドに指示してあった就寝時間はとっくに過ぎていた。
 親子の団欒を困った顔で見ていたそのメイドが、つくしが時計を気にしたのに気が付き、そっと傍に歩み寄って謝罪する。
 「…奥様、申し訳ございません」
 「いいのよ、どうせ、戒がまたダダこねて、言うこと聞かなかったんでしょ?ごめんなさいね」
 「いいえ、坊ちゃまは今日一日とても良い子にしてらしたんですよ。ただ、明日のお父様のお休みのことが気になって、眠れなくなってしまったみたいで」
 明日は久々の司の丸々一日オフの日。
 現在、欧州統括本部の頂点に立つ司は、NY本社の辞令を受けて、来週から日本支長に就任する手はずになっていた。
 その挨拶回りも一段落し、今夜のパーティを最後の仕事に5年間過ごしたヨーロッパを発つ。
 その前にも中国で2年、NYに3年駐在していた。
 戒などはフランスで生まれて、ヨーロッパ各地を司の転勤に合わせて転々としていたから、かなり国際色豊かに成長している。
 目まぐるしい環境の変化に、つくしのストレスも相当なものだったが、夫の司の献身的な愛情と、一粒種の戒のいじらしい愛らしさがつくしの心を慰め、鼓舞した。
 そして、明日明後日の司の休日を家族三人水入らずでここスイスで過ごし、日本へ帰国する予定。
 「…ほら、戒、司も。そろそろ、子供は寝る時間だよ。明日は朝からお出かけする予定なのに、これじゃあどこにもいけなくなっちゃうよ?」
 さりげなくプレッシャーを与えてくる母に、戒がビクンッと反応する。
 「やだ!お出かけするっ。お父さんの牧場で僕に馬をくれるって約束だったよね?乗り方も教えてくれるんでしょ?」
 「おう。すげえカッコイイやつ用意してるからよ。ガシガシ乗らせてやるよ、任せておけ」
 「…ガシガシって、初めて乗る子が、そんなに急に上手になるわけないでしょ」
 呆れて言うつくしに、司が肩を竦める。
 「いけるんじゃね?俺のガキだぜ?俺も2,3度乗ったら、あっという間に乗りこなせたし、ようはカンだな。お前だって運動神経悪くねぇんだから、やればできるさ」
 「う~ん、まあ、せっかく行くからには楽しみたいから、私も教えてもらいたいけど。無理はさせないでよ?あんただって、頑張りすぎて怪我なんてシャレにならないんだからねっ!昔取った杵柄はあくまでも昔!もう、デスクワーク10年なんでしょ?」
 「誰に言ってるんだってーの。俺様を舐めんな。俺には総二郎やあきらだって叶わねぇんだからな?せいぜい、俺よりうまく乗れる奴なんて類…」
 言いかけて、司がハッと言葉を呑み込む。
 だが、司の腕から手を伸ばして、抱っこしてくれと強請る戒に気を取られてつくしは気が付かない。
 「はいはい、わかってますよ。運動神経抜群のF4でもピカ一だっていいたいのよね?もうっ、どっちが子供だかわからないんだから」
 戒をつくしに渡して、密かに安堵する。
 類の名前に反応しないつくしに満足し、その反対側で怯え恐怖する司の内心など、つくしには永遠にわからないだろう…わからないで欲しいと震えるほどの切望をこめてつくしを見つめる。
 神など信じていない。
 何者も畏れるものなどない。
 ただ一人、つくし以外の何者も…。
 「なに?司」
 「いや、戒、3人で寝るか」
 「え?本当?」
 戒が3才になった時、司の切なる希望で、司とつくし夫婦の隣の部屋に子供部屋を作り、別に寝かせていた。
 これだけ子煩悩な父親である司がそうさせた理由は、ただ一つ。
 「そのかわり、今日だけだからな。男がいつまでもお袋べったりでどうする。つくしは俺のもんなんだから、少しづつでも自立しろ」
 「…やだもん、お母さんは俺のものだよっ」
 「俺のものに決まってんだろっ!お前はお前の女見つけて、その女を抱いて寝ろっ!」
 ガンッ!
 「いてっ!」
 「ば、バカ、何言っちゃってんのよ、子供に向かってっ!」
 アホなことを言いだした司に蹴りを一発入れ、憤慨した(狼狽か?)つくしが戒を抱いたまま、さっさと邸の中へと足を勧める。
 毎度のことながら、夫婦漫才が人目に恥ずかしく、居た堪れない。
 「待てよっ!俺を置いてゆくなっ」
 足早に追いついて懐いてくる司は、まさに戒とどちらが子供なのかわからない。
 照れ隠しに、キッと睨み上げるつくしの視線に、自分の方を見てくれたと司が得も言われぬ美しい顔で嬉しそうに微笑む。
 何年見続けていてさえも、見慣れない。
 司の魂を抜くような美貌に、つくしはボウッと見惚れ、肩を抱く温かさに無情の幸せを感じ、そっと頭をもたれかけた。




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※このお話は、丸々猫様(xxx丸々猫の妄想。xxx)の『歪んだままで。』から着想を得て創作しております。
丸々猫様には快く、更新継続の了承をしていただきありがとうございますm_ _m 
かなり被る設定もあるというか、過去の設定がまんま…という感じなので、丸々猫様の3次だと思っていただければ近いかも?
ただし、丸々猫様のお話はまだ完結しておりませんし、このお話はこういう感じで進んだらこうだろうなあ…という妄想からできた話なので、実際には方向性は違うかもしれません。
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いつもお邪魔してます

今回の新作、こ茶子さんのコメント読んで、これは先に丸々猫さんちにお邪魔して、そっちを先に読ませてもらわねば!!と昨日よりあちらにお邪魔してました。あちらにも、ご挨拶させてもらうつもりですが、とりあえずこ茶子さんにご挨拶。
基本つかつく派で、多少(?)鬼畜な司も最初は抵抗ありましたが、結構大丈夫なもんだとこ茶子さんと丸々猫さんのおかげ(?)で気づきました。
できるだけ、優しい司くん希望ですが、これからも楽しみにしてます。
いろいろ途中のお話の完走も期待してます。

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