「それでも貴方を愛しているから…全97話完+α」
第一章 悪夢再来

それでも貴方を愛しているから011

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 本日微Rです?それとも微Rへの入り口?
 まあ、よくわかりませんが、ちょっとばかし、風雲が起こり始めております。
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 コーヒーをサーブしに来たギャルソンの気配に、道明寺が抱き抱えていたあたしの腰を離し、何食わぬ顔で席に戻れと顎をしゃくる。
 まだ食べ終わってなかったケーキも、さっきまではあんなに美味しかったのに、砂を噛むみたいに何にも味を感じない。
 道明寺が一口食べて、後はあたしにくれたけど、正直無理やり口の中に詰め込んでいるようなもの。
 コーヒーをがぶ飲みして、最後のマカロンは一口で食べられるのに、いつまでもグズグズ食べあぐねていた。
 「…さすがに、腹いっぱい?」
 「え?あ…うん。もう、無理っぽい」
 あたしなんて頭グルグルになっているのに、道明寺の方はさっきの言葉はあたしだけの妄想だったとでもいうように、何食わぬ顔で、そうか、とあっさりと頷くだけ。
 でも、テーブルの上に置かれたカードキーの存在が、全然妄想でもなんでもなく、道明寺が本気で上に泊まる気であることを知らせていた。
 もちろん…あたしが本気で嫌だと言えば、道明寺は絶対に無理強いしたりなんかしない。
 でも、NYと東京との遠距離を含めれば出会って5年。
 付き合い始めて4年にもなるんだ。
 初めてそういう雰囲気になって(無理強いではなく)、5年待ってもらうかも…と伝えたタイムリミットまでもう少し。
 なんだかんだと、道明寺がNYから戻ってきて半年になる。
 そういう雰囲気になったことは、いままでもそれなりにあった。
 でも関係が進まなかったのは、道明寺の激務のせいもあったけど、あたしの逡巡が原因の大半だった。
 嫌なんじゃない…と思う。
 道明寺のことは好きだ。
 愛してる…んだと思う。
 だけど。
 ぐるぐるといつまでも答えの出ない問いが、自分の中で渦巻く。
 『好きなら当たり前』
 昔優紀が言っていた言葉が、何度も頭の裏側で鳴り響く。
 残酷…って、そうも言ってたな。
 あたしもさすがに20才を過ぎて、いつまでも初心な少女じゃない。
 男の人に我慢させることがどれほど辛い事か、それなりに想像もできる。
 西門さんや美作さんならともかく、あたし一筋できて、浮気なんて絶対にしない。
 …されても、嫌だけど。
 そんな道明寺に我慢させることに、あたしもいい加減プレッシャーを感じていた。
 だけど、そんな急に?
 ううん、きっと急なんかじゃないんだろうな…。
 俯いてマカロンをフォークで突きまわしていたあたしを、微妙な顔で見ていた道明寺が立ち上がる。
 「あ?えっと…」
 「…もう、出ようぜ。それ、もう食いたくないんだろ?」
 「…ごめん」
 「いいって。無理して全部食べなくてもいいんだから。会計済ましたから」
 そう言って差し出された手を、躊躇しながらとり、立ち上がった。
 ギャルソンがすかさず椅子を後ろへと引く。
 会計…いつの間にか済ませちゃったんだろう。
 そういえば、ギャルソンもさっき、プチフール(コーヒーの後に出るデザートその2?)を出した後、一度退席してたよね。
 道明寺の逞しい腕に手をかけ、今度は来た時と逆の道筋で、店外へとエスコートされる。
 さっき飲んだ食前酒が今頃回ってきたのか、ふわふわと気持ちの悪い酩酊を運んでくる。
 …なんだか、あたし吐きそう?
 でも、これはきっとお酒のせいの吐き気じゃない。
 意識したくなかったけれど、緊張と…戦きで貧血が来ているのかもしれなかった。
 けど、そんなこと道明寺に言えない。
 もう、誤魔化して拒否し続けることの無理を、あたし自身ずっと感じていたから。
 『好きなら当たり前』
 「牧野…」
 「えっ」
 エレベーターの前で突然話しかけられ、あたしは思わず弾かれたように顔をあげた。
 「…今日は俺、やめねぇから」
 「……」
 「恋人同士なら当たり前のことだよな?お前、俺のこと好きなんだよな?」
 「…うん」
 釘を刺されて退路を断たれたような閉塞感。
 でも、道明寺の言っていることは間違ってない。
 好きなら…。
 

 緊張で無言のまま、連れてこられたエグゼクティブ・スウィート。
 メイプルじゃないけど、基本構成は似ていて、一般客室では望むべくもない豪奢な空間。
 いくら道明寺邸で見慣れているとはいえ、いつものあたしだったら、入った途端、探検してはしゃいで、せっかく訪れた非日常空間をそれなりに楽しんでいたと思う。
 けど、道明寺もそんなあたしにつられて緊張しているのか、お互い無言。
 さっきまであんなに楽しかったのがウソみたいに、張りつめた気まずい空気が二人の間に横たわっていた。
 「…お前、シャワー浴びる?」
 「あ、え、…うん」
 「そこの使えよ。俺は寝室の方のバス使うから」
 俯いて頷くしかできないあたしの肩を道明寺が抱いてきて、思わずビクリッと震えてしまった。
 「そんなに緊張すんなよ。取って食おうってんじゃないからさ」
 「…うん、ごめん」
 軽く掠めるだけのキスをあたしの頬に落とし、あっさりと手を離して道明寺が寝室へと消えてゆく。
 バタンというドアの音の後、すぐにシャアッーという水音が微かに聞こえてくる。
 あたしも、たった一人でその広い空間にいるのが居た堪れなくて、足早にバスルームへと入った。
 洗面台の鏡に映った自分の顔が、酔いもすっかり覚め、病み上がりの病人みたいに青ざめているのが目に入る。
 …あたし、なんでこんなに嫌なんだろ。
 嫌…その時初めて、自分のこの気持ちの悪いもやもやとした気持ちが、拒絶感なことに気が付いた。
 なんで?どうして?
 4年前、あたしは確かにあの南の島のコテージて、道明寺と一つになりたい。
 心だけでなく、肌や体温でお互いの気持ちを確かめ合いたいと思った。
 ううん、あれからだって。
 NYにいる道明寺を想って空を見上げるたび、土星のネックレスを握りしめるたびに、道明寺が恋しくて、逢いたくて。
 それなのに、なんで、今になって…。
 思わず顔を両手で覆って、溜息をつき、ズルズルと背中をドアに押し当てたまま、座り込む。
 「あたし、ホント、どうしよう」


 一応シャワーを浴びて、念入りに…念入りすぎるほどに体や髪を洗う。
 でもいくら引き延ばしたって、永遠にバスルームにこもっているわけにはいかない。
 あまりに長く居座り続けたら、道明寺だって心配するだろうし。
 と、
 ドンッ。
 ビクッ。
 「おいっ、大丈夫かっ?」
 案の定、心配した道明寺がバスルームの外から声をかけてきた
 ガラス扉ごしに、背の高い男の影が映っている。
 やだ、こっちが見えるってことは、あっちからも見えるよね。
 思わず周囲を見回して、パイプ棚の上に置いてあったバスタオルを体に巻いて体を隠す。
 「へ、平気。ごめん、今出るから」
 そうは言っても、道明寺が外にいる限り、出れない。
 「…酒飲んでるんだから、あんまり長風呂だと心配すっだろ?」
 「う、うん。そうだよね」
 あたしにしたら度数の強いお酒だったけど、かなり水も飲んでいたし、時間をかけてゆっくり食事と一緒に飲んでいたのでとっくに酔いは冷めていた。
 道明寺も長居するつもりはなかったのか、もう一度「早くでろよ」と注意だけして、あっさりと外へ出てくれた。
 よ、よかった。
 このまま押し入られたらどうしようかと、正直やきもきしていたから。
 性格野獣だけど、あれで紳士だもん。そんなことするわけないか。
 取り越し苦労に大きく息を吐いて、肩の力を抜く。
 さすがにもう覚悟を決め、洗面所の脱衣棚に置いてあったバスローブを羽織ると、ソロリソロリと、浴室を出て洗面所のドアを開けた。
 「…っ!?」
 途端、腕を引かれて、大きな胸に抱きしめられた。
 甘いコロンの香と熱い体温があたしの体を包み込む。
 首筋を大きな手で撫でられ、頭を持たれると、優しく仰向けさせられた。
 熱くほてった頬に、意外にもひんやりと冷たい唇が降ってくる。
 「あ、ちょっと、いきなり…ん」
 すぐに唇を唇で塞がれ、そっと唇を舌でなぞられる。
 小さな震えが小刻みに体に走って、無我夢中で道明寺のバスローブの襟首を掴みよせていた。
 そのあたしの手を大きな手が包みこみ、片手を取られて道明寺の下肢へと押し当てられる。
 「…やっ!」

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