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「百万回の微笑みを愛の言葉にかえて」
第一章 忘却は罪?

百万回の微笑みを愛の言葉にかえて002

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司SIDE)
 「あの、すいません、清掃会社の者だけど。発信履歴から電話したんだけど、牧野さんが困ったことになって…」
 それは、焦って上擦る見知らぬ相手からの電話から始まった。
 その日も分刻みのハードな一日の始まり。前日も午前様で疲れた体に鞭打って、コーヒー一杯ゆったりと飲む時 間もなく、慌ただしく、屋敷を出発していたリムジンの中。
 会社への移動のわずかな時間の間にでも、牧野の声を聞きてえなと思って、取り出した携帯電話。
 NYと日本の時差約11時間。
 今頃、あっちは夕食が終わった頃か。
 バイトが入ってなければ、帰ってるはずだが…。
 ったく、牧野名義の通帳作ってやって、毎月それ相応の金も振り込んでやってるつうのに、一円も使った形跡がねえ。
 類の奴はそんなところも好きなんだろうと、からかいやがったが、俺の多忙に加えて牧野の相変わらずのバイト三昧に、すれ違う日が多かった。
 ただでさえ、直接に会うことのできない遠距離恋愛。
 牧野不足で俺の心も体も干上がっちまって、時々、ひどい虚無感に襲われることが多くなってきた。
 海千山千の腹黒じじいどもとの掛け合いも、腹の探り合いも牧野との未来があると思えばこそ、耐えられる。
 そんなこと、当の牧野はわかってくれてるんだか…。
 ん?牧野から留守電入ってるじゃねぇか、珍しい。
 牧野から電話が入ること自体稀だ。
 ほぼ、俺からの一方通行。
 たとえ、着信が入ったにしろ、俺がそれにでれなければそれまで。
 留守電に声を入れておいてくれるなんてことはまずない。
 たとえ、俺に大した用がないにせよ、声くらい残せよ、とごねた俺に、
 『だって、独り言みたいでなんだか気恥ずかしいんだもん』
 と、お断りされてしまった。
 まあ、俺も留守電に独り言入れるっつうのも、苦手だけどよ。
 その牧野がわざわざ留守電に伝言残すなんてなんかあったのか?
 心配半分、伝言聞いても保存しておいて、時々牧野不足になったら繰り返し聞くか、なんてニヤけながら留守電を聞く。
 で、
 「昨日の雪で牧野さんが滑って転んで、頭から階段落ちて救急車で運ばれたもんで。牧野さんのご家族とも連絡とれなかったんで、伝言聞いたら病院の方にお願いします。場所は…」
 なにい!?
 「おい!寺島。すぐ、午後の予定のキャンセルだ。俺はこれから明後日の朝の会議まで昼休みに入る。それまで、俺がいなくてもマズイもんはないよな?」
 「は?いえ、しかし、今日の会食はD&Yコーポレーションの会長たっての…」
 ギロリと睨んでやると、慌てたように目を伏せ、「ただいま、調整いたします!」と慌ただしく関係各所に予定変更のTELを入れだした。
 こいつは、西田仕込みだけあって仕事の能力は悪くはないんだが、今一腹が据わってないというか、臨機応変さに乏しいというか。
「すぐ飛ばせるように、ジェットの用意もしておけ」
 さすがに、至急準備させたとしても、搭乗まで多少の時間はかかる。
 急場凌ぎにになっちまうが、いま日本に飛べば当分の間、帰国することなんかできるはずがない。
 ち、しょうがねぇか。前々から、婚約だけでもしておこうと思っていたんだ。
 ジェットの待ち時間に、急遽、牧野に贈る婚約指輪を用意するべく、ミラノで行きつけの宝飾店へと連絡を入れた。

 長い12時間だった。
 NYでの仕事をフケて、日本へ帰国するため、飛行機の中でもできうる限りの仕事をこなす。
 移動する間も、油断すると牧野の容体への不安で、もやもやととした気持ちが抑えきれず、所構わず物や人間に当たり散らしたくなる。
 さすがに、俺もガキだった頃と違って、直情的に行動することも減った。
 代わりにヤケクソのように、手元に積み上げられた書類に頭を集中させるのは、気持ちを紛らわせるのにちょうど良かった。
 くそっ、牧野の奴!俺にこんなに心配かけやがって。あいつは、俺に心配かけるのが趣味なんかっ!
 いつもだったら、空路での移動はちょうど蓄積した疲労回復のための、ちょっとした睡眠時間にあてていたが、
 さすがに牧野への心配と、実質的な仕事の滞納で気が付けば、日本まで一切の休憩もとらない強行軍となっていた。
 「司さま、間もなく日本に着陸です」
 ほぼ2年ぶりの日本。
 ジェットの小さな窓から覗く景色は、そこに牧野がいると思うだけで懐かしい。
 本来、どこにいたってかまわねぇタチなんだけどな。
 苦笑一つもらして、着陸に備えてそっと目を閉じた
 牧野、待ってろよ。大きなケガなんかしてるんじゃねぇぞ。
 ちらほらと、雪が降り注ぐ眼下に広がる滑走路を眺めながら、遠く牧野の笑顔を思い描いた。


つくしSIDE)
 「ど、道明寺…」
 司。
 花沢類が友達だと言っていたことから予想していた気もする。
 だけど、実物が現れるインパクトは凄まじい。
 ええ~~、嘘!本当に現れたよ!!ってなものである。
 看護師の制止も押しのけ、CT室のドアをブチ破らんばかりに飛び込んできた道明寺は、よほど急いで来たのか肩で息をしている。
 この寒い季節に汗びっしょり、仕立ての良さそうな高級スーツがよれて、着崩れしてしまっている。
 まさか、こいつまで友達だとか言う?花沢類でさえ晴天の霹靂だというのに、道明寺司なんて想像の範疇外だ。
 ありえないっつうの!
「大丈夫か!?牧野」
「えっ、あ、な、なんで、道明寺がここに?」
「おま…え、案外、元気そうだな。誰かからパニッくった声でお前が階段を頭から落ちたっつう留守電もらったから、急いで来たっつうのに…。俺の12時間っていったい」
 脱力している。
 心配して、駆け付けてきてくれたってことだよね…なんでまたこいつが。納得はいかないものの、心配をかけてしまったのは申し訳ない、と思う。なんか、遠方から来たみたいだし?
 「えっと、一応、半日くらい意識がなかったみたいなんだけど…」
 開いたままだったドアの影から花沢類が顔を覗かせる。
 「牧野、家族と連絡ついたよ。夕方までにはこっち、来るって」
 「あ、はい。ありがとう…ございます」
 「あ、司、来てたんだ」
 「おう、久しぶり。類がついててくれたんか。それなら安心だな。悪いが家族が来るまで、牧野についていてやってくれよ。俺、ちょっと昼休みに抜けてきただけだから、1時間ぐらいで折り返し戻らないといけないんだわ」
 「え、そ、そんなのあたし一人でもう…」
 正直、この状況下で一人は心細いけど、にわかに友達だなんて信じがたい花沢類と二人というのも気まずい。
 な、何、話していればいいのよ~~、こんな人と。
「ば~か、俺が心配なんだよ、一人になんかできるか」
「俺はかまわないんだけど。ただ、ちょっと問題がね…」
「あ?まさか、打ち所が悪くて、牧野のやつ深刻な状態なんじゃ…」
道明寺はサッと青ざめると、一気にあたしとの間合いをつめて顔を覗きこんでくる。
 ち、近い!
「司が心配しているような命に関わるような怪我ではないようだけどね、今の所」
歯切れが悪い花沢類の言葉にすがめた道明寺の目の眼光がますます鋭く尖ってくる。
 こ、怖~い。
 なまじ整った綺麗な顔をしているだけに、凄い威圧感だ。
「ど、道明寺…さん?」
「…さん?」
 「あ、あの、すいませんけど、近いんでもう少し下がってもらえます?」
 怖々、要望を出してみる。
 ますます、いぶかしげに鋭くなってゆく眼光。
 指図なんかして、いきなりキレだしたりしないだろうな…。
 道明寺司の印象なんて、キレた猛獣みたいなもんだ。
 パンピーでとことん常識人なこのアタシが!あらゆる意味でこんな特殊な人(たち)と友達なんてとても信じられないよ~。
 「お前、なんだかおかしいぞ。やっぱり、打ちどころ悪かったんじゃ…」
 どうゆうことだ、と道明寺が花沢類を見やる。
 その視線に花沢類は、困ったように軽く肩を竦めた。
 「記憶が退行しているらしい。牧野の中では、俺たちが出会う前、英徳の高等部1年生までの記憶しかない。つまり、お前も俺も赤の他人。顔と名前くらいは知っているらしいけどね」
 「はあ?」
 眉根を寄せた道明寺が、あたしの顔を凝視した。

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