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「夢で逢えたら…全207話完+α」
第五章 ここより永遠に

夢で逢えたら200

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 長かったようで早かった200話!
 いやあ、ホントあっという間でしたねぇ。
 なにげに、当サイトも立ち上げてまだ一年たっていないのですが、このお話を書き始めたのはその立ち上げて間もない頃。
 まあ、『百万回の~』が一番先だったんですけどね、たしか。
 そんなこんなで、この200回目。
 100回目は司君がつくしちゃんに気が付いた記念日!?
 200回目も記念日になりそうです^^
 今日のお話はいつもコメントを下さる方に『タマさんにも、幸せな二人を見せてあげたい』というリクエストをいただき、ちょっと意味合いが違うかもしれませんが、ご登場願いました。
 きっと、いつも見守っていると思いますからね^^!
 話はかわりますが、昨日は、「始まりは突然に」をスキップしてしまい、すいません。
 もしかしたら、お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、またも、よけいな?ことをしだしまして、そっちに手がかかって書けなかったんですねぇ^^;(『美男ですね』二次を再開しちゃいました…しかも別ブログで)
 ごめんなさい。
 まあ、初めて使うブログタイプ(FC2専属だったんですが、この度忍者デビュー)使い方が今一わからんかったのと、いろいろ環境整えてたらなんだかんだと時間がかかっちゃったんですねぇ。
 なんとかなりそうなので、今日は、「始まりは突然に」二話更新を目指します!(昨日の分と)
 では、お話をお楽しみください。
**********

 真っ暗な空間に、司は一人佇む。
 椅子も何もない暗闇に座り込む司が見る先には、高校生の時の自分が。
 何も怖くなかった。
 何も必要じゃなかった。
 牧野つくし…彼女以外には。
 虚ろで荒んだ目が、突然暗闇の中に現れた光を見て輝きだす。
 肩先に揺れる黒髪、大きな生き生きとした勝気な目が印象的な彼女。
 『道明寺…』
 彼女が、司の名を呟き、振り返る。
 途端に、病んだ目の少年は嘘のように明るく満面の笑顔で少女の傍らへと歩み寄る。
 『牧野っ!』
 まるでガラスでも間にあるかのように、幸福な一枚の絵を形作っている二人の少年少女…在りし日の司から遠く隔たったその眩しい光景に、いつの間にか熱い涙が頬を伝い、組み合わせた両手の上へと滴り落ちる。
 …泣くなんて、何年ぶりのことだろうか。
 いや、いつも慟哭していた。
 ただ、こんなにも熱い涙が自分にまだ残っていたことさえ気が付かないくらいに、涙は枯れ果て内にこもった絶望にのたうちまわっていた。
 少年と少女は手を絡ませあい、微笑み合って明るい笑い声をあげている。
 『…どうして、戻ってこないの?』
 掠れた女の声が涙する『今』の司へと語り掛ける。
 「戻りたくねぇから、な」
 出ないかと思っていた声だったが、どうやらその暗闇の空間でも話すことはできるらしく、疲れた男の声が絞り出された。
 目の前の光景は、あまりに眩し過ぎ、幸福で…だから。
 「戻っても、お前がいねぇ」
 再び呟いた瞬間、司の足元に、顔、顔、顔。
 そのどれもが、司を恨み憎み、怨嗟の声をあげ司を引きずり込もうとしている。
 それら人々は、直接司が関与せずとも、財閥の維持という名のもとに切り捨てられ、絶望し死を選んだ人々や、生きながらにして人生を奪い去られた人々だった。
 そうした巨大な力によって叩き潰された人々に比べれば、司が少年の日に踏みにじった者たちなど物の数にもならない。
 だが、そうは言っても、司自身は憶えていなかったが、かつて英徳時代に彼が虐げ忘れ去ってきた者たちも確かに存在した。
 そして、恭子、麻紀乃、冴子、その他、壊れたおもちゃのように捨て去った女たち…司自身の息子・要さえも哀しみと憎しみに満ちた顔をして司を睨み付けている。
 だが、その我が子の憐れな怨嗟に満ちた視線にさえも、司の無感動は拭われることがなかった。
 「ふ、ん。俺を恨む奴らがまとわりついてやがる」
 つくしがいなければ、人間でさえなかった。
 凍てついた心は、どんな愛情も憎悪も、悲哀さえも届かない。
 つくしだけが、彼を人間にし、彼を光の中へと留める。
 走馬灯のように司の罪が通り過ぎ、再びガラスの向こう側へと視線を戻した司の表情が一変した。
 夢が悪夢へと変わり、つくしが涙にグチャグチャの顔を司へと向ける。
 それは高校生の時の司へではなく、今現在の司への断罪の視線だった。
 『どうして、あたしを忘れちゃったの?道明寺。あんたがあたしを忘れちゃったから、あたしはたった一人で寂しく死んじゃったんだよ』
 火がつくしを取り囲む。
 つくしの絶叫。
 「牧野っ!牧野ぉっ!!」
 司は立ち上がり、慟哭しながら懸命に透明な仕切りを叩き続け、叫び続ける。
 『助けて、道明寺っ。熱い、痛い、苦しい。怖いよぉ!!』
 永遠に続くかとも思える苦痛が、司の魂を焦がし、切り刻む。
 だが、つくしの悲鳴も次第に小さく間遠くなり、その小さく華奢な体はやがては火の中に埋もれ、黒い塊となって崩れ落ちた。
 「うおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ~」
 しきりを叩き、ズルズルと崩れ落ちた司はひたすら号泣する。
 誰をも恐れず、どんなものにも興味を抱かないはずの男が、たった一人の小さな少女の死に転げまわって泣き叫んだ。
 「夢よっ!道明寺、すべては過ぎ去った過去の夢なのっ。道明寺っ!」
 すぐそばに立つ現在のつくしが、懸命に宥めようと声をかけるのにもまったく気が付かない。
 小さな子供の用に丸まり、震える男の背中を撫で、頭を抱え込んで慰めるものの、司はつくしの存在を無視し続けた。
 その憐れな男の顔をそっと両手で包み込み、つくしはそっと上げさせる。
 涙に濡れ絶望に虚ろになった男の瞼にそっと口づけを落とし、頬擦りを繰り返す。
 「…あたしは生きてるわ。傍にいる。あれはただの悪夢にすぎないの」
 「嘘だ。お前は死んだ。そうだ、俺が殺したようなもんだっ」
 頑なに言い募る司に、つくしは何も言えずただひたすら頬を撫で、頼りなげな大きな背を優しく叩く。
 そうこうしているうちに、つくしの体が霞み、彼女もまた司の前から消えていった。
 再び、涙が司の無表情な頬を伝い落ちる。
 すべては無に還った。
 たった一人、この苦痛ばかりの生を生き続けなければならない理由がどこにあるというのか。
 死したとて、天へと上ったに違いないつくしの元へ自分が辿り着けるとは思えないが、そうかといってもうこの世に何の未練もなかった。
 地獄まで…よくも言ったものだ。
 その地獄になど、つくしが行くはずもないというのに。
 それでも、もうここに留まりたくない、たった一人で。
 真っ黒な穴が足元に現れ、そこから無数の手が司を引きずり込もうと絡みつく。
 『坊ちゃん』
 だが、再び今度は淡い光が司の前に現れた。
 『坊ちゃん、坊ちゃん、この子はもう』
 「タマ?」
 腰の曲がった優しい目をした老婆。
 司を実の孫のように愛し、いつも見守り続けてくれた老婆が、半ば穴底へと引きずり込まれかけた司を見やって呆れたように首を振っている。
 『あんたはいくつになっても弱虫な子なんだから。好きな女を泣かせちゃダメじゃないですか』
 「うるせぇよ」
 子供の頃のように司はムクれて、吐き捨てる。
 『あんたが、守ってやらなくて、誰がつくしを守ってやるんです?』
 「…あいつは、死んじまったんだ。お前と同じ天国って奴にいるんだろうよ。もう、俺には手が届かねえんだよ」
 『バカだ、バカだと思ってたけど…ホント、まさか本物のバカだったとは』
 「なんだとぉっ!?」
 気色ばむ司に、タマがゴンと頭を一発ひっぱたく。
 『本当にあの子はあんたの傍にいなかったのかい?あんたが死んじまって、あの子は大丈夫なのかい?また置いていったら、もう二度とあの子はあんたを許してはくれないよ?』
 タマの言葉に司は目を瞬かせ、ふと無意識のうちにその名が零れだす。
 「…キャサリン?」
 パーマをかけて緩やかなウェーブの栗色の髪、緑と薄茶色の目、ケロイドの傷を持つ鮮やかで勝気な女。
 似ても似つかぬその容貌に宿る魂は…。
 『戻らないとダメですよ。あの子の傍にいてあげなきゃ。ホント、手がかかるんだから。だからタマは死んでも死にきれなくってあっちにもうかうか行けないんですよ』
 「さっさとくたばっちまったくせに、相変わらずうるせぇババアだ。そんなこた、わかってんよ。てめぇは、さっさと三途の川渡ってあの世で隠居しやがれ」
 司の顔には生気が戻り、足元の闇はすでに消え去っていた。


 涙に濡れた司の頬を撫でる感触を最後に、つくしはふと目を覚ました。
 驚いて飛び起きると、どうやら傍についている間に眠ってしまったらしく、相変わらず目の前の司は土気色の顔色のままに機械に繋がれ、横たわっていた。
 無菌室の外に待機している司の家族や友人たちも、いつの間にか疲労に突っ伏し、座ったまま眠ってしまっているらしい。
 そっと遠慮がちに触れる、ビニール手袋越しの頬がほんのりと温かい。
 …まだ、生きている。生きているんだ。
 ぶわっと溢れそうな涙をそっと堪え、上を向いて目を瞬かせる。
 「…私は生きてるんだよ。なのに、あんただけが死んじゃう気?今度、私を置いていったら、もうあんたなんて知らないから。今度こそ、あんたよりイイ男掴まえて、あんたのことなんか忘れてやるっ」
 強がる声がみっともなく震えて、掠れてしまう。
 その声に答えるように、司の瞼がそっと震えた。
 と、ピ、ピ、ピピ、ピピピ、ピーピーピピッツー。
 司の心拍数が上がり、脳波計に乱れが生じ、生体情報モニタが警告音を発しだす。
 つくしが立ち上がり、機械を確認しようと手を伸ばした瞬間…。
 ピクッ、ピクッ。
 司の瞼が再び震え、うっすらとその瞼が開かれてゆく。
 「…っ!道明寺っ!?」
 「…の」
 かすかに唇が動き、空気の動きだけの声がつくしの名前を呼んだ気がした。
 だが、すぐに司の瞼は閉じ、再び眠りの世界へと旅立ってゆく。
 「道明寺さんっ!?」
 「…何がありましたっ!」
 次々、担当医や看護師たちが到着し、ベッドの周りを取り囲みだす。
 つくしは邪魔にならないように脇へとどき、続き部屋で固唾を飲んで見守る友人たちへと向き直った。
 「ま、牧野…」
 ごくりとあきらが唾を呑み込み、問い掛ける。
 さすがの鉄の女も唇を震わせ青い顔を隠せない。
 「つ、つくしちゃん」 
 つくしは自分を見つめる一同を順番に見回し、ゆっくりと頷く。
 「…峠は過ぎました。一命を取り留めたのよ」
 神様…感謝します。
 いま、この時、これほど愛する人を失わずに済んだ奇跡を…。

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最初から… 3日程かけて、一気に読みました!!
途中、1晩は徹夜してしまうくらい( ´艸`)

相変わらずな2人に懐かしくて…

ハッピーエンドにならなきゃ、ならない2人なんだけど、終わりが近づくのがちょっぴり寂しいですが、楽しみに待ってます!

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祝!!200回!!

こ茶子さま

こんばんは!!
記念すべき200回にて、司の目覚め(?)があり、とてもうれしいです!
そしてタマさんの登場もとてもうれしい!!
登場、ありがとうございます!!
やはり二人の幸せを見守ってほしかったので!(誰よりも司の幸せを願っていた人だと思うので!!)

皆様のコメントの通り、幸せが嬉しいけど終わりが近い事はさびしいですね。
いえいえ、まだ番外編のラブラブもありますが(笑)。

仕方ない事とは言え、冴子さんがお亡くなりになったのはやはり心残り・・・。
こうなると、山之内さんはどうなるのか?
冴子さんには司やつくしへの償いをして自分なりの幸せを見つけてほしかったけど後は山之内さんの自白ですかね?ちょっと掲示板でもコメントしま~す!!

ではでは。二人の新たなる出発のエンディングまで頑張ってください!!


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