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「夢で逢えたら…全207話完+α」
第五章 ここより永遠に

夢で逢えたら194

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 いよいよ大詰めです。
 皆さんも、お気づきのことと思います。
 さあ、つかつくの運命やいかに!?
 そろそろクライマックスに向けてカウントダウン~っ!
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 いつか見た光景だ。
 青い空、港には報道陣が詰めかけていて、一際賑わいを見せている。
 何機かのヘリが、船の周りを周回し、少しでも目的の人物たちの動向を映し出そうと待ち構えていた。
 「うわあ、すごい、壮観~。集まってるねぇ」
 「…そりゃ、そうだろうよ。音に聞こえた道明寺財閥次期総帥の司だけじゃなく、俺らまで…って久々のF4勢ぞろいだぜ。その上、滋だろ?来るなっつー方が無理」
 「しっかし、どっから洩れたんだ?情報」
 「あ、ごめ。それ、あたしかも」
 全員が一斉に滋を凝視する。
 「…実はさ、今回の旅行ダーリンに反対されちゃって~。すぐに戻って来いっていうから、頭来て家出しちゃったの」
 ペロリと舌を出すさまは相変わらず子供みたいだ。
 「で?」
 青筋浮かべている司を伺いつつ、あきらが問い返す。
 「秘書には所在地と日程報告してるから、たぶん、そこらへんかなあなんて?」
 「…それを言ったら俺ら全員、秘書や代理人には連絡とってっから、滋ばかりが原因とは言えねぇよ」
 イラつく司を宥めるように、総二郎が肩を叩く。
 それに司も溜息を一つつき、
 「ああ、そうだな。立場上仕方ねぇ。うぜぇことはうぜぇが、こっちはバカンスできてんだ、誰にも咎められる筋合いねぇし」
 「ああ。けど、お前らこのまま、船で引き返した方がいいんじゃねぇの?」
 あきらの提案に、司が即座に首を振る。
 「そういうわけにもいかねぇ。ギリギリの日程で来てんだ、これ以上さすがに休めねぇ。車呼んで、そっこう邸に戻ってジェットでトンボ帰りだな」
 「類は?」
 「…俺はこのまま日本に足止め。たぶん、そのままヨーロッパ駐在勤務の辞令下りると思うしね」
 つくしがハッと類を見上げる。
 「牧野…顔、真っ青だよ?」
 類が気づいて、顔を顰めた。
 「え?そ、そう?」
 「え~、本当だっ。今にも倒れそう?気分悪いの?」
 「なんだよ、言えよ。今頃、船酔いか?」
 慌てて司がつくしを覗き込んで、額に手をやる。
 さりげなく、類の傍から引き離すのは無意識の行動だ。
 「あ…、どうだろ、特には気持ち悪いって感じではないんだけど」
 そうは言うものの、先ほどから血の気が引いていくのが自分でもわかる。
 そして、原因も…。
 つくしは誰にも心配をかけたくなくって言いだしはしなかったが、その場の状況が恐ろしいほどに18年前のあの日に重なり、動悸が抑えられない。
 神様仏様、なんでもいいからお願い、これからあたし達が乗ろうとする小舟を、嵐で揺らさないで。
 胸が痛むほどにあの時祈った願いが、何度も何度も脳裏をリフレインする。
 「…気持ち悪い」
 「おいっ」
 「うわっ、避妊失敗か?ハネムーンベイビーならぬ、バカンスベイビーってのは、早すぎねぇ?」
 「いや、18年越しの化石だからな、遅いくらいだろ」
 年をとっても万年相変わらずのお祭りコンビの頭を殴り飛ばし、司がつくしを支えて抱きしめる。
 「少し休め、まだ接岸するまで時間があるから」
 「つくし、大丈夫?」
 「…先輩、もしかして…昔のこと思い出してらっしゃるんじゃありませんか?」
 後ろでつくしの様子を見守っていた桜子が、ポツリと口にする。
 司と、総二郎、あきら、滋、18年前その場にいた人間が、ハッと司とつくしを見比べた。
 「…桜子」
 「私は当時その場にいたわけではないので詳しくは知りませんが、確か当時も、クルーザーが接岸するとき、マスコミに囲まれて、騒然とした隙をつかれて道明寺さんが暴漢に襲われたんですよね?」
 そして司は命に係わる傷を負わされ、奇跡的になんとか一命をとりとめたが、以来つくしの記憶を失って、2人の恋は壊れてしまった。
 当時のことが、つくしのトラウマになっていてもおかしくはない。
 「…ちょっとね。別に、船が苦手ってわけでもないんだけど、この状況はちょっと…キツイかな。あんたは平気なの?道明寺」
 「…ああ、俺は、な」
 司にしてみれば、その後のつくしを思い出すまでの数年の虚無、つくしを亡くしたと思っていた十数年間の闇が深すぎて、自分が暴漢に襲われたことなどそれほどのものではない。 
 ただ、その時の傷がもとでつくしを忘れたのだと思い起こすたびに、道明寺という家に生まれた運命と数奇な巡り会わせに絶望しただけだった。
 「…つくし」
 滋の顔が泣きそうに歪む。
 司が生死を彷徨っている時に何度も見た、苦悩の表情。
 それに気が付き、つくしが青い顔に無理に笑みを浮かべる。
 「大丈夫だって、滋さん。ちょっと、嫌な感じなだけ、気にしないでよ」
 謝らないで、滋さん、私は大丈夫。
 今もあの時も、滋さんに感謝しこそすれ、恨んだことなどない。
 どの道、滋やF2に連れだされなければ、諦めていた恋だった。
 元々、夢幻、最初から叶うはずがない想いだとわかっていて、続けることを選んでしまった。
 そして、そのしわ寄せが、あの時、一気に噴き出した。
 司はつくしを忘れ、忘れられないつくしは日本にいることができなかった。 
 「…夢で逢えたら、それだけだったのにね」
 「え?」
 滋が怪訝に問い返す。
 「ううん。とにかく、平気。まあ、ちょっと、ここのところ過労気味だったせいもあるよ、きっと」
 「…?そうなの?」
 バカンスに来て過労?
 何気につくしの睨み付けるような視線を負って、滋が笑い出した。
 視線の先にはニヤニヤ笑いの司がいる。
 「やだ!もうっ、つくしったら」
 「…言うなあ、つくしちゃん。やっぱ、年食って大人になったっていうか、スレたっていうか」
 「スレた、言うな、西門」
 「俺は、牧野が年相応になっていてくれて嬉しいぞ。いつまでもカマトトじゃあ、恥ずかしいからな。いくら元鉄板女でも」
 あきらのしみじみとした言い様に、さすがのつくしも羞恥心が蘇る。
 「…何気に、美作さん、けっこう一言多いわよね」
 「え?そ、そうか?」
 そこへ、優紀が広間に入り、港に着岸したことを伝える。
 「…どうしますか?少し、落ち着くのを待って出た方がいいでしょうか?」
 司の判断を皆が、待つ。
 しばし、フェンスに寄りかかりながら自分たちを撮影しまくる記者たちを見下ろし、司が顎をしゃくる。
 「車、来てんだろ?いつまでもここにこもってても仕方ねぇ。遠山、SPの連中は?」
 「大丈夫です、準備万端でスタンばってます」
 「そうか、…じゃあ、行くか」

 
 「道明寺さん!先日の記者会見から間を置かず、再びの来日の理由は?」
 「かつてF4と言われた皆さんでの会合の意味は?なにか、経済的な談合を?」
 「ここのところの道明寺財閥の中南米への働きかけはいかなる意図で?主力を移すと言うお考えがあるとの噂ですが?
 「おいっ、押すなっ!」
 「下がってくださいっ!取材は受けられませんっ」
 押すな押すなのへし合いの中、SPや優紀たちが作る通路を司を筆頭に、つくし、レン、類などが続き、優紀、滋、桜子を挟むように、あきら、総二郎が周囲に目を配る。
 「後ろにいらっしゃるのは、もしや、噂の女性では?」
 記者の一人が司の影のつくしに気が付いて、つくしへとマイクを向けようと手を伸ばす。
 パシッ。
 司がマイクを叩き、つくしの傍によって来ようとする記者とカメラマンを阻止した。
 「…さわんな。こいつは関係ねぇ、さわんじゃねぇ」
 底光りする獰猛な視線に、見据えられた記者が怖気づいて後ろへと下がる。
 だが、その後ろから次から次へと人が押し寄せ、司の威圧感さえも数の暴力で押し切る。
 「これまでのスキャンダルを金銭で解決されてきていますが、ウィンチェスター次官夫人との不倫スキャンダルも持ち上がり、次官から損害賠償を求められるのではとう噂もありますがどうですか?」
 「…好きな方がいらっしゃることが、洲崎さんとの別離の一因になったのではという質問を、記者会見で一蹴なさってましたが、その好きな方というのはもしやっ!?」
 「くそ、次から次へと」
 「答えられません!下がって!下がって!!」
 「今回はバカンスでの来日ですっ!完全なプライベートなのでノーコメントです。下がってっ」
 SPやあきらたちも必死で、応戦するが多勢に無勢。
 ドキン、ドキン、ドキン。
 つくしの心臓が、破裂しそうな勢いで鼓動を刻む。
 「…おい、牧野、しっかりしろっ」
 よほどひどい顔をしていたのか、前を歩く司がつくしの腕を掴んで、励ます。
 その時…。
 パパパパパパパパパンッ!パンパンッ!!
 鋭い破裂音が響き渡り、つめかけていた人々の間で悲鳴が上がった。
 「牧野っ!?」

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