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「愛してる、そばにいて」
第10章 贖う④

愛してる、そばにいて0986

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 人工物ではない彼女の甘い清潔な匂いを胸いっぱいに吸い込んで…癒され、和まされるのに、真逆の衝動に身悶えて、何度も寝返りを打つが、昂ぶった神経が女の柔肌と温もりを求めて、彼の体内を荒れ狂い、ランランと目が冴えてしまって、一向に彼を眠りへと陥らせてくれない。
 さすがに抱きついて眠ることは理性に自信がなくて、それだけは控えていたのに…。
 …触りてぇ。………抱きたい。
 これ以上、この場に留まっている危険にやむなく司は起き上がってシャワーへと向った。




*****




 「もう2時か」
 6時には部屋を出るつもりだから、もう今から寝たとしてもせいぜい3時間ほどのことか。
 それなりに自分自身の手で欲望を誤魔化して、冷たいシャワーでそうした欲求は散らしたつもりなのに、どうにもこうにもまだつくしの横に戻る気持ちになれず、結局今日も寝酒を煽っていた。
 今からではアルコールが残る危惧もあって、そう深酒もできず、ニューヨークに来てから憶えたタバコと併用してなんとか昂ぶった神経とストレスの軽減を図る。
 過剰なストレスが不眠を招き、不眠がまた体と神経に疲労とストレスを蓄積させている悪循環に自覚はあっても、さすがの司も自分ではどうしようもない現状だ。
 …力が足りねぇ。
 自分にはのんびりとそうした力を養い、呑気に学んでいる時間などないのだ。
 いまのところ、静観しているように見える両親も、実のところいまだつくしの存在を認めたわけではないことはわかっている。
 …さすがにガキができれば、諦めざるえねぇとか思ったのはやっぱ甘かったか。
 おそらく子供が無事生まれていたは生まれていたで、また新たな画策がなされるだけで、あの両親ならば永遠に諦めそうにもないことだ。
 司自身が力を持って、自分の意思を押し通す環境を作れないかぎり。
 「あちっ」
 つい物思いに耽っていたらしい。
 口に咥えたまま吸うこともせずにいたタバコの灰がいつの間にか落ちて、遊ばせていた手の甲に落ちて、一瞬感じた熱さに慌てて灰を払う。
 幸い火傷になるようなものではなかったが、それでも顔を顰め舌打ち一つで、タバコを灰皿に押し付け、ふと何気なく顔を上げた先に、見慣れた女の顔を見つけて驚きに目を見開いた。
 「……つくし」
 「あ……」
 「なんだよ、お前、起きちまったのか?」
 ぐっすり眠っているとばかり思っていたし、なるべく物音を立てずに起こさないようにと気を使ったつもりだった。
 …こいつもけっこうまだ眠りが浅いっつーか、けっこう敏感だよな。
 それが彼女の元々のタチなのか、あるいは司が病ませてしまったことによるものなのか、司にもわかりようはなかったけれど。
 ドア口に立ったまま、どうしようかと逡巡しいるらしいつくしに苦笑してしまう。
 馴染んだようで、まだまだ彼女は自分に遠慮がちだった。
 ポンポンと彼に言いたいことを言い返していたかつての彼女を懐かしむ自分の身勝手を自嘲する。
 「まだ2時だぜ?寝てろよ」
 「……司は?」
 「俺?」 
 「うん」
 もちろん寝るつもりであるが、今すぐ…というのはどうにも難しそうなあんばいだ。  ましてや、
 …やべぇよな。
 起きて動いて、自分に話しかけている彼女の甘やかな声を聞いているだけで、一度はそれなりに収まっていた欲望がムラムラと沸き立ってくるのを自覚する。
 疲れている時ほど男の性欲は高まるものだという。
 ましてや司は、もっとも性欲の強いと言われるさかりの10代だ。
 「……ちょっと神経が昂ぶっちまってるみたいで、眠れねぇんだよ」
 それでもうつくしも寝室に戻るものかと思っていたのに、まだ迷っているらしい彼女の様子に、自分の隣を指し示す。
 彼女を大事にしてやりたい気持ちと、彼女と一緒にいたい自分の欲求と、ーーー抑えがたい本能の疼きとが天秤の振り子のように司の心を揺さぶり苛んでいた。
 「まだすぐに寝ないつもりなら、こっちへ来ねぇ?」
 振り子が傾いだ。
 それでも理性が、荒れ狂う欲望に轡をハメることに成功していた。
 …大丈夫だ。今度は絶対に失敗したりしねぇ。
 「こうやって起きて顔合わせられたのも久しぶりだし、少し付き合えよ?」
 司と違い、つくしの方には旅行中、普段の英才教育を休ませている。
 多少夜更かししたところで、次の日にやらなければならないことがあるわけではなかったから、いくらでも睡眠不足を取り戻すことはできるだろうが、それでももう真夜中の2時だ。
 「まあ、無理にとは言わねぇけど」」
 「いいの?」
 問い返され、ポンポンとソファを叩く。
 まるで臆病な草食獣のような慎重さで、ソロリソロリと司の間近まで歩み寄ってきたつくしが、指示通りに司の横に腰を下ろして、彼女の視線が灰皿へと流れた。
 「……タバコ」
 「あ……わりぃ」
 前々からタバコを吸うことは話していたけれど、それでもいままで彼女が同居している私室や彼女の前では吸ったことはなかったのだ。
 「煙いか?」 
 「……ん、そうでもないけど。もしかして、けっこう吸うの?」
 「いや、一日に数本くらい」
 責められているわけでもないのに、なんとなくバツが悪い気がして、吸殻を捨てた灰皿とほとんど空の箱をつくしから遠ざける。
 ウソではないが、ムラがあってやはりストレスが強くイラつく時には本数が増えがちだった。
 それでも、彼女に臭いと思われるのがイヤで、気をつけてはいたのに。
 「そっかぁ。…毎日忙しくて、気晴らしをする暇もないし、ストレスも溜まるものね」
 気の毒そうなつくしの言葉と表情に、思わずマジマジと彼女の顔に見入ってしまう。
 「な、なに?」




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