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「愛してる、そばにいて」
第10章 贖う④

愛してる、そばにいて0985

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 司の両親が、決して彼女をそうとは認めてはいなくても、つくしは諦めたくなかった。
 司と結婚し、家族となり、彼を夫と呼ぶなら彼の家族も大切にしたい。
 自分のせいで、司と両親の間にこれ以上亀裂を生んで欲しくなかった。
 たとえつくしのことがなかったとしても、司と彼の両親の間に元々相克があったのだとしても。
 「よし!フランス語の課題、先にやっちゃお。せっかくフランスまで来たんだもん。司と一緒に行くパーティで、誰かとフランス語で会話してみたいよね」




*****




 ゴソゴソ、と身動ぎする気配に、ぐっすりと寝入っていたはずの意識が急浮上する。
 ふわりと香った馴染んだコロンの匂い。
 すぐに、ハッと目を覚ましたつもりだったが、それでも深く寝入っていた身体には脳の指令をすぐに実行することが難しかったのか、かなりのタイムラグが生じていたらしい。
 つくしが身体を起こし、振り返った時には、すでにベッドから司の姿はなく、寝室に隣接した洗面室のドアの隙間から、わずかな光が洩れ、……ついでシャワーの音が聞こえた。
 …え?もう、朝?
 ほとんど一日身体を動かしていないわりに、まだまだ体は眠りを欲して頭もドロ~ンと重い。
 常夜灯のほの明るい明かりと、洗面室からもれる明かりを頼りに壁掛けの時計を確認する。
 「……なんだ、まだ2時じゃない」
 いつの間に司は帰ってきたのか。
 午前様になりそうだから、先に寝てろって言われてたけど……。
 それでもノコノコ出張までついて来ていながら、何の役に立たないばかりか夫を放置してぐうたら寝こけている自分に罪悪感を感じて、0時までは起きていたから……司が帰宅したのはそれ以降ということか。
 と、いうか。
 …あれ?あたし、ベッドで寝てたっけ? 
 一応は寝支度は整えていたから、パジャマなのはおかしくはないが、たしかニューヨークから持ってきたハーブティを片手に、どうせならヒヤリングの勉強でもするかと司を待ちがてら、居間のソファでテレビドラマを観ていたはずだ。
 バタン――ッ。
 ドアの開閉音に、ハッと我に返る。
 シャワーの水音も消えているから、どうやら司は浴室を出て洗面室にいるらしい。
 キィ~と洗面室のドアが開かれる気配に、思わずとっさに枕に突っ伏して寝たフリを装おってしまう。 
 …あや。
 司はベッドに戻ることなく、そのまま居間へと出て行ってしまう。
 …寝たフリしてどうすんだつーの。
 ここで寝てるフリをするくらいなら、わざわざ午前様になると連絡をもらっているのに、真夜中まで待っていた意味合いがなくなってしまうではないか。




*****




 「はぁ~」
 …眠れねぇ。
 今日こそは、と今朝、ホテルの部屋を出た時には、つくしが起きているうちの帰宅を意気込んでいたのだが、結局気が付けばこんな時間帯……すでに日付も大きく周り1時を過ぎてしまっている。
 出張先でくらいは最低限の仕事に専念しようと思っていても、以前までの彼が英才教育に背を向け、『未来の道明寺家総帥』として期待され課せられたものを無視してきたツケは大きく、とてもではないが自分の都合を優先することなどできない状況だった。
 …それにしても、西田の野郎、俺がこっちにつくしも連れてきているのを承知してやがるくせに。
 ついつい西田に八つ当たりして、そんなことを一人ボヤいてしまうのは、あるいは本来母親の片腕であり、けっして自分の味方ではないはずの、あの鉄面皮の教育係への甘えであるのか。
 最初こそあからさまに親の七光り、ボンクラ坊への侮りが色濃かった西田だったが、彼が生真面目に現在の自分の立場を遂行し、力を得ようとしている姿勢に彼の中にも何かしらの心境の変化をもたらしたらしい。
 いざとなれば上司である楓の都合を優先するのに違いなかったけれど、それでも彼が自分に対しても忠義を尽くし、出来うる限りの能力を駆使して、司を成長させ力をつけさせようと協力してくれているのが司にも感じられた。
 …まあ、あいつにはこれまでもさんざん尻拭いさせてきて、俺のバカ坊ちゃんぶりをひけらかしてきたわけだからな。
 いつだったか、つくしに言われた言い回しを自分に用いて、あまりにぴったりな形容詞に自分で自分に顔を顰めてしまう。
 体も脳みそも限界まで酷使して、疲労でフラフラのはずなのに、生理的欲求とやつはむしろ逆に高まってしまうものらしい。
 寝不足と過労に疲れた体に鞭打つ労力を惜しんで、明日…もう今日の朝にシャワーを浴びるつもりで、広いベッドの中央、ぐっすり寝入っている愛しい女の横に潜り込んだまでは良かったのだが…。
 …もういったいどれだけ、こいつに触れてねぇんだ?
 いや、頬にキスをしたり、手を繋いだり、抱きしめたり…と、彼女が記憶を失う前にはできなかったような軽いスキンシップならば、むしろ以前ではありえないくらいに頻繁に気軽く出来ていた。
 彼女もそうされることを厭わないでいてくれている。
 いつまでたっても物慣れない女で、気恥ずかしそうではあるけれど。
 それだけでどれだけ満たされるか。
 それでもやはり、彼女を抱きたいという欲望を抑えるのは至難のことで。
 しかし、さすがの司も、二度目の流産をしてからの彼女を抱くことに躊躇していた。
 つくしが彼との肉体交渉を歓迎していないこともわかっているだけに、なおさらのこと。
 「…くそっ」




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