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「愛してる、そばにいて」
第10章 贖う②

愛してる、そばにいて0945

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 「…そうですか?」
 「ええ。なんか私に言うとイジられるとでも思ったのか、しばらく着信拒否したり避けられたりしてたことがあってね。私もたいがいブラコンっていうか、いい年した弟にべったりしすぎてる自覚もあったし……自分の方がちょっといざこざしててね、あの子に注意を払う余裕がなかったせいもあるんだけど、少しもあなたのことを聞いてなかったから」
 「そう、だったんですか」
 そうではないかとは思っていた。
 前々からつくしのことを知っていたにしては、司の母親や椿の言動はおかしかったし、椿はどうやら本当につくしのことを何も知なかったらしい。
 …もしかしなくても、お姉さん、私の流産とか……記憶喪失のこと知らない?
 二人が入籍したことさえ知らなくって、司に聞いた時の鳩が豆鉄砲を食らったようなポカンとした顔には、つくしの方が居た堪れない、申し訳ない気がしたものだ。
 …どんな顔をしても綺麗だけど。
 その後、どうしてそんな大事なことをもっと早くに報告しないのかと激怒して、司に殴る蹴るの暴行を加え出したのにはたまげさせられたが。
 「いままで、あいつ、女の子に興味を示したことがなくてね」
 「そうなんですか?」
 「聞いてない?」
 「…………ええ、はい」
 もしかしたら聞けば答えてくれたのかもしれなかったが、これまでつくしは自分にとっての彼がどういった立場の人で、どういう関係だったのかということは聞いたことがあっても、彼個人に関しての興味がまるでなかった。
 …て、いうか、今わかったかも。
 興味がなかったことすら、思い浮かばなかったのだ。
 「身内の私が言うのもなんだけど、ほら、あいつってモテないわけじゃないじゃない?」
 「…わかります」
 モテないわけじゃないというのは、むしろ身内ゆえの謙遜であって、結婚してからさえもロクに司に興味を抱けなかったつくしでさえも、彼が普通の少年などではなく、どんな女にとっても垂涎の的である稀有な男性であることは理解できた。
 …カッコイイし、お金持ちだもんね。
 「それなのに、女なんか汚いとか、妙に潔癖なこと言っちゃってさ。…まあ、ウチの家庭環境とかもあると思うし、ウチがこういう家だからよけいに群がられちゃうこともあってね、それがイヤだったみたいなの」
 椿の言いたいことの全部が全部をわかるわけではない。
 けれど、
 「司、優しいですものね。……一途な人だし」
 椿の目がわずかに見開かれる。
 「そ?」
 「はい。司は素敵な人だし、群がってくる人がいてもおかしくないですよね。モテて、イイ気になることもできるのに、それがイヤだって言っちゃうのも、司が純粋な人だから、そういう人たちの隠れたところまで見えちゃって、きっと気持ちを傷つけられることもあったんだろうな、って思います」




 「つくしちゃん、いい子ね」
 いきなり会社の執務室に乗り込んできた姉にため息一つ、司は手に持っていた書類を机に放り投げ、ポンポンと指し示されたソファの横ではなく、向かい側へと腰を下ろす。
 トントン―――。
 顔を覗かせたのは、彼の教育係兼第一秘書としてつけられた西田ではなく、秘書見習いとして西田につけられたアシスタントの女性だった。
 美貌をにっこりと微笑みの形に変え、椿と司の前へとコーヒーを配膳する。
 「しばらく休憩する。……呼ぶまで誰も入室させんな」
 「かしこまりました」
 愛想よく返事を返し、司ばかりではなく椿へも最敬礼で礼をとり部屋を退出してゆく。
 「………あの子、たしかエールファイナンスグループのマックシュタイン代表の孫娘の一人じゃなかった?」
 「よく知ってんな」
 「まだ大学生よね?あんたよりちょっと年上だけど、あんたのための、お母様の膨大なお見合いリストにあった子よ。…ウチの旦那の下の妹があの子とハイスクールで同級生だったから、その関係で探りを入れられたことあったのよね。大河原財閥の滋さんとどっちにしようか、けっこう両天秤だったんじゃないの?」
 「はっ」
 司が鼻で嗤う。
 司にはまだ人事権がない。
 大学生にもならない身で、すでに‘専務’の肩書きを用意されていたが、あくまでも名前だけの話で、誰もがそれは単なる肩書きでしかないことは承知している。
 司本人でさえもがだ。
 …ババアの目論見なんてバッレバレだっつーの。
 「あんたよく、クビだ、顔見せんなとか、大暴れしてないわね」
 「どうせ、無駄だろ?」
 「まあ、そりゃそうだろうけど。受付にも見たような子がいたわよね」
 「他にもチラホラ、そんな奴らが配置されてんじゃねぇの。さっきのヤツよりさらに使えねぇから、さすがにお飾りにしても秘書室ってわけにもいかねぇし、いくら厚顔なババアにしても女どもを同じ部署で同居させるほどツラの皮が厚くもなかったってことなのかもな」
 どちらにせよ、互いに顔くらい承知しているだろうが。
 「……お母様もよくやるわね」
 椿もさすがに苦笑するしかないといった風情だ。
 「つくしちゃんと入籍したこと、まさかお母様たちに言ってないとか?」
 「そんなわけねぇだろ」
 「そうよね、屋敷に迎え入れてるんだものね。発表は?」
 「まだ、時期尚早だとよ」
 「時期尚早?」
 「俺に貼り付けたあの女が上手く俺を釣り上げるか、他に配置したヤツらが俺の関心引くまでってやつじゃねぇの?」
 「…うはぁ、エグぅ。まあ、お母様が躍起になってるのもわからないじゃないけど。これまでどれだけ問題起こしても、女性問題だけは起こしたことがないあんたをオンナで釣り上げようとか、お母様にしては浅はかっていうか。それだけ追い詰められてるってことなのかもねぇ」
 椿の顔がわずかに陰りを帯びる。
 椿はいまや他家に嫁して、いわば外様という立場だったから、両親のみならず司でさえ何もかもを彼女に内輪のことを話すということはしない。
 しかし、それでも先日、道明寺財閥が目論んだ合併話が流れ、株価がさらに低迷していること、それ以前に財閥の主柱である彼ら姉弟の父親の病や大河原財閥との提携話の破綻はもはや誰もが知り得る周知の事実だった。
 「そんなんだから、…だろ?今時、一族経営とか、世襲とか、閨閥結婚での勢力拡大なんて時代錯誤もいいとこだぜ」




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