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「愛してる、そばにいて」
第9章 闇に下る太陽②

愛してる、そばにいて0838

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 『それにしても、お前が直接電話してくるなんて、ここ数年にしては珍しいことなんじゃねぇの?』
 まともな時間にかけてきたのも珍しいがと、嫌味を言うのも忘れない。
 「心あたりあんだろ?」
 今度は電話口でため息をついたのは総二郎の方だった。
 『やっぱりそれか』
 「うちの戒が世話になったそうだな」
 『ま…俺もまったく知らない仲じゃねぇし、お前の息子じゃ見殺しにしておくわけにもいかねぇだろ?』
 「ああ、サンキュー」
 実際、戒の為だけならず、道明寺家的にも総二郎に出くわしたことは僥倖だった。
 戒の怪我自体は大した怪我ではなかったが、それでも刃傷沙汰、それなりに警察騒ぎにもなり得る話だし、いくら道明寺家の威光がすみずみまで行き渡っている日本だとは言え、今の世の中マスコミを完全に抑えて世間の目を誤魔化すことは難しい。
 そもそもマスコミ関係者ではなくとも、一般市民すべてがマスコミ関係者のようなものなのだ。
 …スマホを片手に、即席パパラッチってか。
 即フェイスブックだの、ツイッターだのに挙げられて、拡散されてしまえばそれまでだ。
 むしろ少年の頃の司よりもよほど戒の方がそうしたことを承知していて、幼い頃のごく一時期を除けば、そうした派手なことはそうそうしなかったのだが。
 …あいつもとんだヘマをしちまったというところか。
 「お前の兄貴にも世話になった。ウチのもんが礼に言ってるとは思うが、お前からもよしなに伝えておいてくれ」
 『ああ。お前んとこのカミさんから大層な置き物をもらったと苦笑してたぜ?』
 滋は破天荒なところがあるが、それだけの女ではないから、おそらく現金やそれに類した高額な謝礼を受け取らない人間への彼女なりの礼の示し方なのだろう。
 面食らう人間の方が大半だったが、そうした礼を苦笑しつつも受け入れ笑ってくれる度量のある人間とはその後も付き合っているようだったから、それが彼女なりの人間判定の手段なのかもしれなかった。
 「ふっ、戒が世話になってるウチの女も金や便宜じゃなく、あいつの妙な置き物の方を受け取ったんだろ?」
 『……………らしいな』
 とたん口の重くなった総二郎の反応に眉根を潜めつつ、
 「どういった女なんだ。お前のオンナなんだろ?」
何食わなさを装って探りを入れた。
 …それほど興味があったわけじゃねぇが。
 それでも戒が入れ込んでいるのなら、いくら総二郎の知人とはいえ、それなりに為人やどういった手合いの人間なのか把握しておく必要はあるだろう。
 『俺のオンナってわけじゃねぇよ』
 「銀座か、六本木あたりのホステスか?」
 『いや、まったくの堅気』
 総二郎はたいがい口の軽い男だったが、それもどうでもいいことばかりで、当然のこというべきではないこと、言う気がないことに関してはたとえ司がフっても口を割ることはまずなかった。
 まだあきらの方が、彼や友人たちに甘かった。
 どうしても、と頼めば、渋々でも話してくれる。 
 『とりあえず戒の害になったり、道明寺家に迷惑をかけるようなヤツじゃないから、そこは安心してくれ』
 「それは、俺が自分で調べてもかまわないということか?」 
 もちろん、総二郎が語るつもりがなのなら、どう彼が取り繕うと司はそうするつもりだが。
 『どっちみち、戒があいつのところに今のまんま入り浸り続けるのなら、お前が乗り出してくるんだろうし、…調べもすんだろ。俺はあくまでも静観するつもりだから、俺からは何も言わねぇよ』
 「ふ…ん」
 その言葉だけで曰く有りだと自白しているようなものだが、逆に言えば司がどういう男がよくわかっていて、わざわざ興味を煽るだけのマネをする総二郎の意図の方が気になろうと言うものだ。
 何かに迷っているのか、それともその女を庇っているのか。
 …俺から?馬鹿馬鹿しい。
 「俺がどっかの因業ババアよろしく、自分の息子の惚れた腫れたの恋愛事情まで管理しようとするような親バカだと思ってんじゃねぇだろうな?」
 『違うのか?』
 「よせよ」
 脳裏に蘇るのは、NYのスラムの片隅で泥水を啜って生きていた少女だ。
 けれど、その少女を総二郎は知らないはずだった。
 「……戒のようなガキが相手にするには、お前の知人だとかいう女は年上すぎるとは思うがな。お前が人品を保証するって言うのなら、戒を利用したり、道明寺家の金が目当てとかいう手合いでもねぇんだろ?」
 『ああ、それは絶対だ。保証する』
 打てば響くように確信を持ってなされた親友の保証だ。
 司も疑う余地もない。
 「それなら俺もしばらくは静観するつもりだったが、お前が口を割らないんならしょうがねぇ。ローティーンのガキが半同棲してんだ。どういった女かくらいは親として知る権利もあれば、知っておく義務もある」
 言外に調査することを宣言する司に、総二郎も反対しない。
 『まあ、仕方ねぇだろうな。俺もこれでも人の子の親ってやつだし、お前の立場も分かれば…心配もわからないでもない。どのみち、今のままの状態が長く続くもんでもねぇだろうとは正直思ってるんだ。ただ、部外者の俺がどうこう言うべきことでもないから、告げ口めいたことを、たとえお前が相手でも言うつもりはないってだけのことだ』
 「告げ口?」
 『……俺に連絡してくる前に、戒には聞いてないんだろ?』
 さすがに痛いところをついてくる。
 「ふっ、聞くもなにも、顔を合わせもしないのにか?」
 『お前…』
 総二郎の呆れた声音の理由も司にはよくわかった。
 自嘲とともに。
 「自分がガキの頃に自分の親にやってたマネをされて、ざまぁねぇ話だがな」
 楓と自分とでは違うということは簡単だった。
 けれど、戒にとっては似たようなものなら、何を言い張ろうとそれは言い訳に過ぎない。
 息子の心をどう取り戻せばいいのか、冷え切って殺伐としてしまった息子との関係を修復する方法がもはや司にもわからなかった。
 …あいつに偉そうなこと言っておいて、な。
 かつてつくしから戒を取り上げておいて、その息子を上手く愛してやることができなかった。
 どう愛してやればいいのかさえわからずに、孤独に突き落としたまま…、自身の孤独や虚無さえも克服できない自分には、最初から我を子の心を守り育んでやることなど到底無理な話だったのかもしれない。
 その方法さえ知らないのだ。
 ‘彼女’なくしては。
 ‘彼女’に教えられた‘心’で精一杯の愛情を注いできたつもりだったのに。
 『あいつ、…いまだにお前のこと恨んでるのか?産みの母親のことで』



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こんにちは

こ茶子さん、こんにちは♪
私は、自分の浅慮に失望しているところです、総二郎に謝らなきゃ。
今後は、浮かれないで…静かにして…楽しみに…進むのを待ちます。

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こんにちは!

こ茶子さん コメントお久しぶりです~
司とつくしちゃんがどんな再会を果たすのか、毎日ワクワクしながら読んでいます(#^.^#)
総二郎はいい奴ですね☆
司が登場するとテンション上がります(笑)

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