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「夢で逢えたら…全207話完+α」
第五章 ここより永遠に

夢で逢えたら185

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 いやあ、185話か~。
 けっこう長くなったなあ。
 なんだか、感慨深いです。
 200話でちょうど完結か、もうちょっとだけ行ってしまうか、微妙なところ。
 早ければ来週末の土日に最終話というところ…は、ちょっとキツイかな。
 どちらにせよ、最後に向かって一気に前進だ!
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 「へえ?滋さん、今、オマーンに住んでるんだ」
 「そうそう、大学卒業してすぐ赴任してねぇ。そのまま永住よ」
 「現地の王族の方と結婚して、永久就職なんですよね~」
 「そう!ラブラブよぉ。でも、12月から2月のたった二ヶ月の冬季以外暑いのなんのって、それがねぇ」
 と滋の近況を聞き、
 「え?つくし、今失業中」
 「うん、そうなの。本当は就職活動に精を出さないといけないんだけどね」
 「じゃあ!オマーンに来なよっ。いくらでも腕のいいお医者さん、こっちでは必要としてるし、あたしが、新しい大病院建てちゃうからさ!」
 「え?そ、それはちょっと」
 「なんだよ、牧野、滋んとこに行くなら、俺んとこ来いよ。俺んとこなら、イギリスでもフランスでも、もう病院あるからさ。つーか、日本に戻って来いよ。うちもガキがみんな小さいから、信頼できる医師が来てくれたら心強い」
 「はは、美作さん、ヨイショしすぎ」
 「マジだよ」
 「ふざけんな、そいつは俺の建てた病院勤務で決定なんだよ。な、なんなら、俺に永久就職ってだけでもかまわねぇけどよ」
 「…」
 「やだ~、どさくさに紛れて司ったら、口説いてる~。つくしにはぜひ、うちに来て欲しいから司やあきら君とはライバルだね!そうだ、そうだ、優紀ちゃんもおいでよ。噂に聞いてるよ、道明寺ですっごい優秀な働きしてるんでしょ?」
 「はは、そんなことないですよ」
 と、会話がはずめば、
 「桜子が和也君と結婚かあ。前に会った時に、青池って名乗ってたから、もしかして、って思ってたんだけど」
 「ボランティアですね」
 「え~」
 「あまりに頼りなくって情けなかったので、私が面倒見てあげなければあまりにお気の毒だなって、プロポーズをお受けしたんですよ」
 「よく言うよね~、今じゃあ、桜子の方がベタ惚れなんだよ~」
 「ええっ!?そうなんだっ?」
 「滋さん!!そんなわけあるわけないでしょっ」
 等々、話題に事欠かない。
 気が付けば、宴もたけなわ、夜半に始まった酒席は幸せで明るい雰囲気のまま、午前をとっくに過ぎていた。


 酒に火照った体を海風に晒して、美しい朝焼けが染まり始めた空を優紀は陶然と見守る。
 つくしがいて、みんながいて、自分には不相応なこの空間へと温かく迎えれられたのは、稀有な奇跡だと優紀は思っている。
 そして…その稀有な経験の中でも、もっとも稀有なきらめきを彼女の青春に記した人。
 「こんなところにいたんだ」
 後ろからかけられた声に、そっと微笑んで、優紀は振り返った。
 来てくれる気がしていた。
 たぶん、望んでいた。
 若く、まだ幼かった日、あれほど好きだった西門総二郎…奇跡のように美しくて、優しくて、弱かった人。
 彼の心の繊細さを守ってあげられれば、彼の苦悩や哀しみを少しでも和らげられればと願った純真だった少女の日。
 優紀の中で後悔も苦さもないのは、もう完全に過去のものとして愛しむ余裕があるからか。
 「お久しぶりですね、西門さん」
 あの頃のように、『総二郎さん』とは呼ばない。
 友人としてでなく、愛する人として呼んだ呼び名だから。
 そんな優紀の想いを総二郎も感じ取ったのだろう、優紀の横に並びながら、顔を真っ直ぐに上りゆく日に向けながら、溜息のような囁き声で言葉を続ける。
 「久しぶり…か、本当だね。牧野の葬式…って、本物はここにいるからなんか変な感じだけど、まあ、あの時からだから、本当に久しぶり」
 遠い日に思いを馳せる。
 あの頃は互いに、司とつくし並に苦難の多い恋に悩みながら、彼らほどの強さがなくて迷い、疲れ果てていた。
 そんな時に、総二郎には良家の子女との縁談話が持ち上がり、優紀には西田からNYへ来ないかとの声がかけられた。
 一つの転機だったのだ。
 総二郎と優紀…二人の関係が新しい何かを生むのか、あるいは静かに終焉へと向かってゆくのか。
 そして、二人の道は分かれた。
 それに対して優紀も思うところがないわけでない。
 だが、それ以上にその後に出逢った生涯を共に過ごすことに疑いもない愛する夫との出会いに、彼との間に生まれた子供たちへの愛が勝り、総二郎の存在は、過去愛した人というただ愛しく大切な人へと変わった。
 「いま、幸せ?」
 総二郎の問いに、素直に頷ける自分が幸せだと思う。
 「ええ、幸せです。西門さんも、お幸せですか?」
 「…俺?そうだな、不幸ではないかな」
 ほろ苦く、言葉を濁す。
 それでも、いまの彼がどうであろうと、優紀には友人以上の何かを彼にしてあげることはできない。
 だから、せめて祈りを込めて。
 「幸せになってください。真っ直ぐに、私に幸せだといつか西門さんが笑ってくれる日を待ってます」
 微笑む優紀に眩しそうに目を瞬かせる総二郎に一礼して、優紀は迷いない足取りで立ち去る。
 いま、燻り続けた一つの恋がここでも、一つの結末を迎えたのかもしれなかった。


 船での旅を始めて二日。
 スペインで庶務を片付けてきた類が、合流した。
 本来は昨日にはNYに戻っている予定の類だったが、司がF4と滋たちを招集して船旅に出ると聞き、急遽予定を引き伸ばし、スペインの残務をほぼ完璧に終わらせてきた。
 もちろん、完璧どころか問題は山積だったが、秘書の遠藤の嘆きを置き土産に、とりあえず類がしばらく留守にしてもなんとかなる程度には処理してきている。
 ただ一人アラサー集団の中に放り込まれたレンも、元来の人懐っこさと如才のなさで一同に溶け込み、特にイケメン好きの滋と桜子にべったりと張り付かれ、すわ「若いツバメ」にでもなるか、と総二郎あたりにからかわれていた。
 「それもいいですね。年上の女性は俺も好きだし、桜子さんや滋さんは美人で魅力的だから」
 「だよな~。やっぱ、女は10才くらい年上の方が包容力もあるし、色気があっていいぜ」
 と、かつてはマダムキラーで名を馳せ、現在は3才年下の妻と幸せな結婚生活を営んでいるあきらが大いに同意する。
 もっとも、桜子や滋じゃあ、10才どころか母親になっちまうけど、とは賢明なかつてのプレイボーイはわざわざ言って、女性陣の機嫌を損ねるようなヘマはしない。
 「…ちょっと、美作さん、変な知識つめこまないでよ。この子、こう見えてもけっこう生真面目なんだから、マジメにとって変な方向に曲がったらどうしてくれるのよ」
 息子には甘い母親の常か、類に続いてレンに対しても妙な幻想を抱いているつくしが、レンを後ろに隠してあきらを睨み付ける。
 「え?いや、一般論だよ、一般論。てーか、レン君もてるだろ?」
 「皆さんほどじゃないですよ」
 「え~、絶対モテるよ!レン君て、いくつか博士号も持ってるんでしょ?将来も嘱望されてるし、優しいし、社交的だし、美形だし!」
 「本当ですね、先輩の息子さんだなんて信じられないですよ」
 などと姦しい一同をよそに、乗り込んできた類はさっそう、皆の背後のソファで横になって寝息を立てていた。
 「…こいつ、全然かわんねぇな。36才にもなって三年寝太郎かよ」
 呆れて見やる総二郎が肩を竦める。
 「まあまあ、類君も忙しかったんだって。ここ二日不眠不休だったって言ってたよ」
 「へえ?あの類がねぇ」
 「NYでも、昔の面影がないくらい激務をこなしてるみたいだよ」
 乗務員からタオルケットを借り受け、つくしが優しく体にかける。
 その様子を見て、ニヤニヤして総二郎とあきらが周囲を見回すも、肝心の司の姿がない。
 「そういえば、司のヤツ、どこ行った?優紀ちゃんも、今日はまだ、顔見せてないよな?」
 首を傾げる総二郎に、つくしが答える。
 「あ、ホノルルを出港する前に、ハワイにあるメイプルを見てくるって。ついでに、なんか仕事関連の資料とかネットじゃ無理なものを手に入れてくるとか、類と入れ替わりに2人で出ていったかな」
 「ふ~ん、俺らには何も言っていかないくせに、ちゃっかり牧野には、言いおいていくんだ」
 ニヤニヤ笑いの総二郎に、曖昧な顔で小首を傾げて、自分の席へと戻る。
 「…別に、いいでしょ、それくらい。ちょうど、こっちに来ようと思って部屋を出たら出くわしたんだし」
 実際には、わざわざつくしの部屋を訪ねてきた司が、自分の今日一日の日程を伝えていったのだが、それをわざわざ皆に言うのも気が引ける。
 まだ、二人の間には何も始まっていないのだ。
 つくしが、何も言わない限り。
 つくしも一度は、司に対して素直な自分になろうと決意を固めたのだが、こうして類を目の前にすると決心が鈍る。
 だが、司と何が始まるにせよ、つくしにはつけなければならないケジメが存在するのも確かだった。
 好きだからこそ、大切にしたいからこそ、曖昧なままではいけないと思うのだ。
 くーくー、学生の頃とあまり変わらない寝顔で眠る美しい男の横顔をそっと覗き見る。
 疲労が浮かぶ目の下の隈や、少しやつれた頬は学生の頃に見られなかったものだ。
 だが、それらの仕事に疲れた風情が、男の魅力を損なうかというと、不思議なもので、ますます磨き抜かれた企業人としての風格さえ漂い、昔の甘いだけの王子様というのではない、確かな実力と威厳を伴った一人の魅力的な男性として存在感を増している。
 本当に、素敵な男性。
 司もそうだが、これほどに魅力的な男性に思われ、求愛される幸せ。
 その幸せと幸運を噛みしめながら、それでもこのひとつの真実を伝え、失望させなければならない自分の罰当たりな傲慢さにつくしはそっと胸を抑える。
 「ま、夜には戻ってくるだろ」
 「花沢さん、今日は起きられるんですかね?自室の部屋の方で眠られた方がいいのでは?」
 心配する桜子に、気にするなとあきらが手をふる。
 「平気だろ。こいつ、見た目と違って案外丈夫だから、昔からそこら辺で寝こけてても風邪一つ引いたことないぞ」
 「だよな。よく牧野と、英徳の非常階段で寝てたじゃん」
 「…私は寝てないわよ」
 「寝てましたね」
 余計なことを思い出す連中に、つくしは憮然としながら、今頃は余所行きの顔で部下たちを苛めているのだろう司をそっと思い浮かべた。

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