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「愛してる、そばにいて」
第9章 闇に下る太陽②

愛してる、そばにいて0824

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 「ちょっ」
 いきなりのことに、当初つくしは、いったい自分に何が起こったのかわかっていなかった。
 半ばソファの背もたれに二つ折に乗りかかった状態のつくしの肩に回った力強い腕に、グンッと抱き寄せられ、首筋に生温かい息がかかるにあたって、シャレにならない事態に陥っていることに気がつき、ザアァッと脳天から血が下がってゆく気がする。
 「ちょ、ちょ、ちょっとぉ、待ってっ!!」
 普段は呑気なつくしの頭の中にも、最高レベルの警報が鳴り響いていた。
 「待ちなさいったらっ!」
 咄嗟に自分の首筋と戒の顔の間に手を挟み入れて、戒の唇の侵入を防いだのは無意識の意識、自分でも自覚のない防衛本能からだった。
 バタバタと両足をバタつかせなんとか戒の拘束から逃れようと試みるが、妙な体勢であることも相余って、万力のような力の前にビクとも身動きが取れない。
 「邪魔すんな」
 「じゃ、邪魔すんなじゃないでしょっ!やめなさいっ!!」
 「…なんでだよ?」
 それでも必死に両腕を突っ張って抵抗を続ける彼女に平衡したのか、戒が怪訝に顔を上げた。
 「なんでじゃないでしょっ」
 「その気で俺を泊めたんだろ?…さすがにそこまで年上だとか思ってなかったけど、別にそんなに俺こだわりないし」
 「いやいやいやいや」
 …こだわろうよ。
 現実逃避にか、思わず妙な突っ込みを入れかけ、だが、このまま呑気な抵抗を続けていては、イヤよイヤよも好きのうちとか誤解されて、シャレにならない事態になりかねなかった。
 子供だと甘く見るには、戒の体はあまりに大人に近く、おそらく腕力や体力ではすでにもうつくしでは敵わない。
 少年とはいえ、男の力で押さえ込まれたら、とてもではないが抗いきれるものではなかった。
 …絶対マズい。
 近親相姦の4文字がつくしの脳裏に浮かんでゾッと身を竦ませる。
 「身売りするつもりはないけど、……俺も人肌の温もりは好きだし、あんたのことは嫌いじゃないから、平気」
 「あんたが平気でも、私は平気じゃないっ!」
 抗う腕の合間から隙をつき、うなじのあたりをチュウ~ッと強く吸われて、ツキンとした痛みに、まだ多少は冷静さのあったつくしの中に、ブワッと恐怖が生まれた。
 全身に鳥肌が浮かんで、ガタガタと震えが沸き起こる。。
 「いやぁ、やめてぇっ!!わ、私はっ、あんたのはは……」
 …あんたの母親なのよ!
 叫ぼうとしたつくしの拘束が突然緩んで、伸し掛っていた熱い感触がふいに消えた。
 「………え?」
 「すげぇ鳥肌」
 まだ掴まれたままだった手首が掲げられ、シゲシゲと観察されていた。
 「それに凄い震えてる」
 「あ、当たり前じゃないのっ!」
 ジワッと涙が滲みかけ、だがさすがにそんな情けない顔を見せることができずに、戒から精一杯顔を背けた。
 「……ごめん。本気でイヤがってるとか思ってなかったから」
 「子供のくせに」
 「その子供と寝たがる女なんて、わんさといるぜ?」
 とんでもない爛れたセリフに零れ落ちたかけた涙も引っ込んで、呆然と戒を振り返る。
 悪びれない戒の顔は皮肉に笑んでいて、本気にも見えなかったがだからといって冗談にも見えなかった。
 「わんさといるって、まさか、あんた今までも?」
 …ウソでしょ?
 大財閥の御曹司の身の上だ。
 泊まるところが欲しいだけで、身売りなどする必要はないはずだ。
 「……身売りするつもりはないけど、って言っただろ?」
 ハッと口元を押さえたが、どうやらいつもの癖が出て思っていることを口にしていたわけではないらしく、戒はバツが悪そうに顔を俯け、小さく息をついた。
 「人肌の温もりが好きなだけ」
 「そ、それってもしかして、そういう…経験があるってこと?」
 まさか?
 …まだ、15才だよ?
 しかも、つい数ヶ月前に15才になったばかり、まだ中学生なのだ。
 「別に珍しくもなんともないことだと思うけど?」
 「な、何言ってんのよ、そんな不健全なっ」
 「不健全?」
 ぶっと噴き出されてしまう。
 今までとは何処か違う、唇の端を上げるのカタチだけではない笑い。
 「イギリスでは、バリバリの男子校で寄宿舎暮らしだったから、女と経験あるヤツは周りにそういなかったけど、それだって長期の休みとかちょっとした外出許可をもらった隙に、それなりに経験持つヤツだっていたぜ?」
 「うーん」
 たしかに今時は日本でも性の低年齢化が言われている。
 さすがに中学生ではなかったが、総二郎やあきらなど高校生のうちからかなり乱れた女性関係を垣間見せていた。
 …比較対象がなんともはや。
 「英徳の女連中なんて、もっとおおぴらに誘いかけてくるし、あからさまに迫ってくるヤツもいる。そういう女どもとは寝る気になれないけど、俺もゲイでもないんだし、好きなタイプの女に誘われたついでに、屋根も貸してもらったってかまわないだろ?」
 「屋根も貸してもらうって、あんな立派なお屋敷があるくせに、なんで」
 戒のセリフは、どこかで聞いたようなセリフだ。
 …そうだ、類だ。寒いからって。
 もちろん、それは体の感じていた感覚などではなく、心の寒さ―――孤独だ。
 つくしと再会する以前、荒れていた頃の類がたしかそんなことを言って、らしくない女性遍歴を辿っていた。
 彼の場合は、女に屋根は借りていなかったが、やはり人肌の温もりを求めて行きずりの女たちと関係を持っていたのだ。
 そんな生活を戒が送っている。
 …そんな。
 彼女の息子が、何に変えても守りたいと思っている我が子が。
 あまりのことに黙り込んで、ショックを受けているつくしを、戒が奇妙な目でジッと観察している。
 「……あんがいアッサリ泊めてくれたりしたから、いくらお人好しにしたって、てっきりあんたも俺のことイイと思ってくれたのかと思ってたんだけど。まさか、鳥肌まで立てられて本気でイヤがられるとはね」
 スルリと掴まれていたままだった、手が離れてゆく。
 「でも、相手の同意がないのに、ヤったことだけはないから、安心してよ」
 「戒」
 「無理矢理とか、暴力で女を好きにするヤツがサイテーに大っ嫌いなんだ」
 立ち上がった戒が、ビクつくつくしへ、詫びなのか小さく会釈すると、あえて彼女が座り込んでしまっていた床を遠回りに迂回して、二階へ向かうドアへと向かう。
 「寝るよ、おやすみ」



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