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「愛してる、そばにいて」
第9章 闇に下る太陽①

愛してる、そばにいて0814

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 画廊での一幕を除けば、総二郎との外出はわりに楽しいものだった。
 さすがにスケコマシ。
 社交的な総二郎は話題も豊富で、気安くよく喋る男だ。
 やたらとフェロモンを振りまき困ったところもあるが、これはこの男にとって体臭みたいなもので、特になにかしらの意図があるわけでもなく、自然体でこれなのだから仕方がないと思い決めてしまえば、この稀有な男との得難い時間を純粋に楽しむことができた。
 が、一ついただけないことがある。
 「私にこんな分不相応な格好させて、いったいあんたがどういうつもりなのかと思ったけど、なるほどね。過去だが今だかの女への牽制役だったてわけ?」
 胡乱に睨むつくしににっこりと愛想笑い。
 「おう、助かったぞ。ほれ、今日は俺のおごりだ、好きなだけ飲み食いしろよ」
 コポコポとグラスに盛大におかわりを注いでくれる。
 「ちょっと!誤魔化されないわよっ、つーか、いくら美味しくたってそんなにあんたたちみたいにガバガバ飲めるかっ!」
 「お前って、志織さんと飲んでるとほとんど飲んでないけど、あの人の世話役自認してるだけじゃなく、もしかしてあんま酒強くねぇの?」
 「嫌いじゃないんだけどね。…まあ、あんたたちに比べればって程度で…じゃなくって、あんたの女性関係なんて、私にはまるきっり関係者ないんだから、不要な恨みつらみを買って刺されたりするのはごめんなんですけど?」
 「あ~、そうこまでするほどバカな女じゃねぇよ」
 「……だったら妙な画策なんかしないで、普通に誠意のある態度で向き合えばすむことでしょ?」
 「そこはな…」
 多少は無断で巻き込んだことを申し訳なく思うところもあったのか、今日の一幕がいったいなんだったのか、ざっと説明はしてくれた。
 「て、わけで、俺としてはごく有り触れた一夜の夢ってやつを共有しただけのつもりだったんだけどよ」
 「…結婚迫られて、それが空惚けて、はい、終わり…ってことにはできない人だったから、あれこれ姑息なことするハメしたってこと?あんたもいい年して、ロクなことしてないわね」
 一刀両断だ。
 総二郎の言いたいことはわかる。
 政財界の大立者だかなんだかの一族のご令嬢で、たとえ七光りにせよ、自身も経営者である人間がそう軽率なことをするはずもないから、いくら嫉妬に狂ったとしてもつくしに何かしらの危害を加えるようなことはあるまいが。
 そうした事情の女性だったからそう無碍にすることもできず、かといって唯々諾々といい顔ばかりしてもいられなかったのだろう。
 そこでどことも繋がりがなく、妙な夢を見ることもないつくしを引っ張りだしてきたのに違いない。
 何も知らずに半日付き合ったつくしの方がいいツラの皮だ。
 …ホント、サイテー。学生時代も多少は聞いていたけど。
 それこそホンの無分別の少年だというのならまだしも、これで二児の父親だというのだから呆れ果てる話だ。
 「ま、そこは俺も少しは反省してるさ」
 「はあ?少し?」
 たしか桜子経由の情報によると、そうしただらしない女性関係がこの男の離婚の原因だったのではなかったか。
 …私には関係ないことだけど。
 「まあ、いいわ。でも、ホント、いきなり包丁持った女の人がいきなり私の自宅や勤め先に押しかけてくるなんてことはないんでしょうね?」
 「それはマジ、保証するって。万が一、そんなことにでもなったら、それこそ類のヤツに絞め殺されるからな」
 「……まったく」
 やってられるかと、不機嫌に蕩けるような柔らかさと旨味のステーキを一口にガブリと頬張った。
 「なんなら、SPでも派遣するか?」
 「いいわよ、そこまでしてくれなくて。迷惑かけられることはないって、あんたが保証してくれたんだから、それで信用します。そのかわり、こんなことはこれっきりにしてちょうだい。今回のことは、戒のことでお世話になった件の借りを返したと思って目を瞑るわ」
 「へいへい。さすがに二度、三度と同じ手は使えないからな。大マジで類やら………から刺客でも送られかねねぇ」
 「ん?なに?」
 一部総二郎の声が囁き声のように小さくなって、つくしの耳に届かず怪訝に尋ね返す。 だが総二郎は首を横に振るだけで、つくしの質問には答えることなく、ふと思いついたように逆に尋ねてきた。
 「そう言えば、類んとこのSPがついてんのか?」
 まるでそのSPの存在を見つけようとか、総二郎がレストランの他の席を軽く見回して、視線を流す。
 「もぐもぐ、ごっくん。まさか。私みたいな一般人、そんなご大層な人たちをつける必要なんてないでしょ」
 ん~、美味しい、なんて言いながら、つくしはどこまでも自然体だ。
 そんな彼女をジロジロと見回し、
 「ま、見た目だけなら今のお前でも、どっかの金持ちのお嬢だか若妻に見えなくもねぇけどな。…さすがに類にはなんか貰うもん貰ったんだろ?」
 「なによ、それ」
 総二郎の揶揄するような問いかけに、つくしがムッと顔を上げ睨めつける。
 嘲るようではなかったが、それでもまるで類との関係を金目当てだったように言われるのは業腹な話だ。
 たとえこの目の前の男にとって、自分のような氏素性の女への認識が元からそうしたものなのだとしても。
 「へぇ?まさか、ヤツから何も受け取ってないのかよ?」
 「なんで私が、類から何かを貰ったり、受け取ったりしなきゃなんないの?」
 さすがにつくしの返しは意外だったらしく、総二郎の顔にはありありとその意外さが現れていた。
 「………まさかとは思ってたんだけどな。類からでなくても、司からそれ相応のものを貰ってるはずなのに、見たところのお前はどこまでも高校んとこのお前と対して変わりがないようで奇妙に思ってたんだよ」
 「……………」
 「類のところに居候まがいにメイドだったか?住み込みで雇い入れたって聞いた時もなんの冗談かと思ったが…お前、もしかしなくても、司からも受け取ってないのか?」



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