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「夢で逢えたら…全207話完+α」
第五章 ここより永遠に

夢で逢えたら183

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 今日は難産でした~><
 何が、難しかったかというと…ストーリーではなく、船の行程!
 今日は船が登場するのですが、今どき日本→NYなんて客船は存在しないらしく、世界一周豪華客船の航路と、貨物船の所要日数で日本→ホノルル(ハワイ)まで8日、日本→ロスまで11日ということでしたので、余裕もあるだろうからキツキツに考えて、なんとな~く、こんなもんかなあと適当に設定しちゃいましたTT
 て、何のことかわからないですよね…。
 とりあえず、お話をどうぞm_ _m
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 優紀とレン、2人のSPに伴われ、病院を退院したつくし。
 だが、なぜかつくしとレンのマンションではなく、到着したのは飛行場。
 そこから道明寺家所有のジェットに乗せられ、延々6時間。
 どういうことだ。
 どこへ連れてゆく気だ!
 と騒ぎ立てるも、暖簾に腕押し。
 のらりくらりと二人にかわされ、なんだかんだと麻紀乃と相対し、院長医長のおべんちゃらに付き合った気疲れと、病院を退院してすぐの遠路に疲労し、寝入って起きた時には、ロスアンゼルスの空の下。
 今度は待ち伏せしていたリムジンに乗せられ…現在にいたる。
 司の遣わしたリムジンを降りると、すっかり日の暮れた港の潮の臭いと海風につくしは茫然とし、目の前にはドーンと、道明寺家仕様の超大型クルーザーが停泊。
 さすがのつくしにも高校生の時に司が乗って熱海に現れた時の船の外観まで記憶にはなかったが、いかにも司が好みそうな派手で豪華なしつらえだった。
 まあ、それで下品じゃないところが、さすがというべきか。
 成金ではない本物のセレブの持ちえる優雅なフォルムと仕様。
 つくしがポカーンと半開きで口をかけたまま、仰ぎ見ていると、そう間を置かずにもう一台のリムジンが到着した。
 停止した頭でノロノロと背後の気配に振り返ると、司がニヤニヤと得意そうな笑みを浮かべてつくしの傍らに立つ。
 司自身は所要も片づけてきた為、NY→ロスアンゼルス直行ではなく、つくしとは別便での移動だったが、ちょうどタイミング良く待ち合わせられたのに、司は上機嫌だ。
 「どうだ、懐かしいだろ?」
 「これ、やっぱり、あんたんちの?」
 「おう。さすがに、高校生の時に持ってたやつとちげぇけど、アレとほとんど基本仕様は同じの新機種」
 「はあ」
 嬉しそうに言われても、そうとしか言いようがない。
 クルーザーについてはまあ、どうでもいい。
 懐かしいといえば懐かしくもなくはないが、思い起こしてみればクルーザーにはあまりいい思い出はない。
 まずは、熱海に現れた司とアクシデントで初キスをするハメになってしまったこと。
 ついで、司の誕生パーティを逃げ出して、腹を空かせて海を彷徨うハメになり、きわめつけは滋に開発途中のリゾート島に拉致され、その後には想いを確かめ合った司を失う原因となった事件へと発展している。
 そこで、思わず顔を顰めてしまい、誤魔化すようにもう一度船を見上げる。
 「…で?私、なんで、こんなところに来てるわけ?うちのマンションに送ってくれるんじゃなかったの?」
 疑惑一杯に聞いてしまったのも、致し方ないだろう。
 司の方は妙に上機嫌で不気味である。
 …あんたは、ここにいて嫌な思い出とかこみ上げてこないわけ?
 SPたちが周囲を固め、他は人気のない港を見回して、溜息をつく。
 「日本へ行こうぜ」
 「…はい?」
 聞き間違えだろうか。
 「お前、どうせ今失業中で暇だろ?どうせだから、日本までちょっとこいつで、船旅ってやつを楽しもう」
 「…ちょっと、待って、あんた、正気で言ってる?しかも、楽しもうっ…てことは、私だけでなくあんたも乗るつもりなわけね?」
 「ああ、もちろんだ。そのために、ここんとこお前に会うのも我慢して、必死こいて仕事したんだ。当然の休暇って奴だろ?」
 また、こいつは勝手なことを。
 頭痛を覚えながらも、片棒を担いでいるのだろう優紀とレンを振り返る。
 優紀は困った顔をしながらも苦笑し、レンはレンで肩を竦めて面白そうに船を見上げていた。
 「行くわけないでしょ。いくらなんでも、優雅に日本までクルージングって、いったい何日かかると思ってるのよ」
 「ん~、客船でのんびり行くわけじゃねぇからな。途中、ホノルルで寄港してスペインから飛行機で直行してくる類を乗っけてゆく予定だから、それでも10日くらいか」
 「あんた、正気なの?私はともかく、あんたが、そんなに仕事を休めるわけないでしょ?」
 「ま、西田を残しているからなんとかなるだろ。…準備はしてきたし」
 司が何を考えているのかわからず、つくしは軽く頭を振る。
 優紀とレンはあらかじめ聞いていたようだし、確かに自分には強情を張ってまで拒むほどの理由はない。
 だからと言って、勝手にここまで連れてこられ、勝手に自分の行動を制限されるのは業腹だった。
 こいつは、昔からまったく!
 「…百歩譲ってよ?なんで、日本に行くのに船なのよ。ロスまで飛行機で連れてきたくらいなんだから、そのまま飛行機使えば真夜中には日本についてたじゃない」
 「まあなあ。でも、それじゃあツマラネェだろ?俺としちゃあ、NYから船にしたかったんだけど、東海岸からじゃあ一か月近くかかっちまうし、やむなく西海岸まで飛行機で移動ってことで妥協した」
 「何が妥協した、よ。何言ってんのよ、寝ぼけてんの?」
 つくしの狂人を見るような視線に、さすがの司も苦笑を浮かべる。
 「ひでえな。考えてみろよ。俺はこの10数年間、ロクな休みもなく働いてきたんだぜ。まあ、最近ではそれなりに人並みのオフってやつも作ってきちゃいたが、一般社員の何倍働いてると思ってんだ。バカンスなんて、それこそ…ほれ、お前と行ったカナダの雪山以来行ってねぇんじゃね?」
 「…うーん」
 それは確かに気の毒だと言えなくもないが、だからと言って自分まで付き合わされるいわれはない。
 しかも…。
 「私、これでも退院したばっかなんですけど?」
 「お前、さんざん、入院するほどの怪我じゃない。元気だ元気だっつーて、アピールしてたじゃねぇか」
 それを言われると、次の言葉がない。
 なんといって司を思いとどまらせようかと思い悩んでいると、レンが呑気な口調で口を挟んできた。
 「まあ、いいじゃない、キャシー。季節外れのバカンスが終わって、大変な思いをするのは道明寺さんであって、キャシーじゃないよ。それこそ、道明寺財閥の業務に支障をきたしたって俺たちの知ったことではないんじゃない?」
 司の味方をしているようで、辛辣な物言いのレンをつくしが睨み付ける。
 こういう言い方をしているということはレンも呆れているのだろうが、いまはどうでもいい。
 「あんたは黙ってて。まさか、この子も連れてゆく気?」
 「まあ、そりゃそうだろ。今のお前らは一蓮托生だしな。狙われてるのは本来、お前じゃなく、お前の息子の方だろ」
 「…」
 司の真意の一端を告げられて、つくしが黙り込む。
 だからって。
 言い返したいのだが、言い返せる正当な理由が見つからず、再び船の威容を見上げ再び溜息をつく。
 「…レン、あんた、単位大丈夫なんでしょうね」
 「今更だよ。一応、卒業できる程度には、出席にも気を使ってきたし。ギリギリだけど、なんとかなるでしょ」
 「ま、ならなくても、俺がなんとかしてやるよ」
 意図もたやすく不正を匂わせる司に、鼻頭に皺を寄せて、キツく睨み付ける。
 「…冗談だよ」
 あまりの視線の怖さに、司が簡単に意気地を挫く。
 すっかり、はや尻に敷かれているが、司的にはそれさえも嬉しかった。
 つくしがいて、つくしを見つめることができて、つくしと交わす他愛無い会話。
 邪気なく微笑み掛けられて、つくしも観念する。
 どのみち、もはや、自分とレンだけではどうにもできない局面に来ていた。
 下手な意地を張ってかえって司や類に迷惑をかけ、レンに心配をかけた時から、つくしもある程度反省していた…それでもある程度なのは生まれついての性分なのだから仕方がない。
 「10日間バカンスをして、それでいったい、私に日本で何しろっていうのよ…」
 諦めて聞くつくしに、司が肩を竦める。
 「さあ?」
 「は?なにそれ、さあ、って」
 「別に日本に行くのが目的なわけじゃねぇよ。嫌なら別に、日本の港に着いたら速攻ジェットで折り返しアメリカに帰ってきてもいい」
 「……」
 「ただ、お前とバカンスを過ごしたいだけだ。のんびり余計な連中にハエみてぇに煩く付きまとわれたりしねぇでのんびりするには海の上が一番だろ?…10日もありゃ、多少は状況も変わってそうだしな」
 司の最後の呟きはつくしの耳には届かず、
 「なに?」
 と聞き返してくるのに、司は曖昧に首を振る。
 「いや、まだ、わかんねぇし。とりあえず、中に入ろうぜ」
 「え?でも、優紀、いいの?あんたもこの間、日本から帰ったばかりで、旦那さんとかお子さんとか」
 優紀はつくしの気遣いにニッコリと微笑む。
 「大丈夫。私がいないくらいの方が、主人も羽を伸ばしてるわよ。一人でなんでもできる人だから。有能なシッターさんもお願いしてるしね」
 「…でも」
 「楓社長の秘書もけっこうハードスケジュールなのよ。こんなの慣れっこ。むしろ、こんな素敵な船でのバカンスなんて役得よ」
 お道化て舌を出す優紀の気持ちに、つくしも心を温められながら、先導して歩き出した司の後に従った。
 と、
 「あ、そうだ」
 「…?」
 後をついてくるつくしを振り返った司が、妙に子供っぽい嬉しいそうな笑顔で、片手を差し出してくる。
 「…何よ?」
 「手、だせよ」
 もしかして、手繋ぎを要求してる?
 そりゃ、好きだと自分に認めたけれど、まだ、司には伝えてはいない。
 それ以上に、背後をついてくるレンや優紀、その他の人々への手前、とてもじゃないけど、ここで司の手を取ることなど、つくしにはできなかった。
 か、勘弁して。それこそ、ティーンの子じゃないんだからっ!
 目を白黒させて、ジッと司の手を見ながら悩んでいたつくしだったが、フンとその手を無視して、さっさか司の先に立って船へと乗り込む。
 「おいっ。俺を置いてゆくんじゃねぇよっ」
 「煩いわね。乗るならさっさとしなさいよ」
 ケンモホロロなつくしだったが、わずかに頬が紅潮しているのを、レンと優紀が気が付き、顔を見合わせながらそっと微笑みあった。

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