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「愛してる、そばにいて」
第9章 闇に下る太陽①

愛してる、そばにいて0791

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 『それはそうと、西門さん、正式に離婚されたそうですね?』 
 「そうなんだ?」
 驚いたが、あの総二郎が堅実に家庭を守っているというのもあまりイメージにあわないので、あまり驚きが声音に現れない。
 だが、その総二郎の話題を口にした方の桜子は、つくしの受け取った意味合いとまた別の観点からの話題だったらしい。
 『そうなんだ、……ってご存知だったでしょ?』
 思わぬことを聞いてくる。
 「は?私が知るわけないでしょ、そんなプライベートなこと。もしかしたら、そっち方面の雑誌とかそういうのに掲載されているのかもしれないけど、悪いけど、私、茶道とか花道とか、嗜み程度でからっきし興味ないしさ」
 その嗜み程度も、道明寺家での若奥様修行の一貫だったというだけで、本人の希望はまるっきり加味されたものではなかったのだ。
 『水臭い。私にまで惚けることないじゃないですか、先輩』
 惚けるもなにも、本気に本音で寝耳に水な話で、いったいどんな言いがかりだとつくしが胡乱に言い返す。
 「はぁ?あんた、さっきから何言ってんのよ。私なんかより、あんたの方が断然たくさん情報もってるでしょうよ?あんたの場合は、あんたのご主人の美作さんが西門さんと親友だから、何かと情報入ってくるだろうけど。私なんて類と別れて以来、そっちの世界とはまるっきり縁なんてない、ド庶民のごく平凡な女なんだから」
 ド庶民―――その形容が、そのどっかの誰か、今話題に出ているスケコマシがよく言っている言い回しなのに気がついて、つくしは軽く顔を顰めた。
 『西門さんと、交流されてるんじゃないんですか?どちらだったか、西門さんが亭主をお勤めになった茶会にも参席されたと聞いていますし、何くれとなくお食事をご一緒されたり、飲みにもいかれているんですよね?』
 それだけ聞いていると、たしかに総二郎と某かの付き合いをしているかのようで、これまで彼が既婚者だったことを鑑みれば、大いに誤解を招きかねない話でもある。
 「それってニュースソースは誰なわけ?いや、もちろん、あんたはご主人から聞いてるんだろうけど、そのご主人には誰がそんなことを?」
 『もちろん、西門さんご本人です』
 …あたたた。
 わかっていたことだが、あの男はどれだけ口が軽いのか。
 軽いくせに肝心なことをきちんと話していない総二郎の美貌を思い浮かべ、頭痛を覚えて、中指をつき立ててやりたい衝動を軽く抑える。
 ーーーそれはそれでシャレになりそうもない話だったけれど。
 「なんか大いなる誤解があるようだけど、そのどこだかの茶会っていうのは、西門流のデモーステレーションを兼ねた‘大寄せの茶会※’でのことだったし、そもそもまさか西門さんが亭主だったなんて、私は知らずに参加したのよ」
 それも、西門流が主催の茶会とさえ知らず、頼まれて仕方なくというヤツだ。
 「今、私が神奈川の大学病院に勤めてるのって、前にあんたにも話してあったよね?」 『ええ?』
 いきなりな話題転換に面食らっているらしい桜子の戸惑いを無視して、経緯を説明する。
 これもまたどんな宿縁というものなのか、勤めている大学病院で親しくなった同僚の夫に端を発している。
 …まさか、花ちゃんの旦那さんが、西門さんのお兄さんだったなんてね。
 大学病院の外科に、美男と名高い医師がいることを知ってはいたが、ソーシャルワーカー…いわゆる福祉関係者であるつくしと、医療職である医師とではほとんど接点がなく、院内結婚で最も多いのはやはり医師同士や事務職同士など同種の職種同士であって、あとはせいぜい医師と看護師や、薬剤師とであり、つくしが勤めている大学病院の規模にもなると、医師や職員自体の入れ替わりも激しく、名前だけでなく互いに顔も知らない人間がいることも珍しくはなかった。
 つくしにしても何かと関わることの多い看護師や事務職の人間ならば気がついたのかもしれなかったが、ステータスの高い医師であるとはいえ、よもや日本伝統文化を担う家柄である西門家の人間が一医師として働いているとは思わなかったのだ。
 「……って、わけなのよ」
 『ほぉ~、西門さんのお兄様の方がその奥様に一目惚れ?西門さんーーー総二郎さんの方ですけど、あの方は次男で、本来はお兄様がいらして、元々はその方が家督を継ぐことになっていたとは、私も聞いたことがありましたけど』
 「そうらしいね。私も知らなかったけど、そのお兄さんが家を出てお医者さんになって、ウチの大学病院に勤めていたってことみたい」
 『なるほど。そんなに先輩の同僚の女性って美人なんですか?』
 「へ?」
 『どうなんです?』
 下世話な話だが、桜子の方はいたって興味津々だ。
 「うーん、美人っていうよりも可愛いって感じかな」
 ブスではないが、さりとて美人というほどではなく、どちらかといえば愛嬌があるといったタイプか。
 「西門先生…お兄さんの方は西門さんと違って派手な性格じゃないんだけどさ、けっこう押しが強くて思い込みが激しい人みたい。で、ゲットされちゃったぁ、なんてお気楽に言ってた人が、まさかあの西門さんの兄嫁だったなんて、こっちの方が驚いちゃったわよ」 
 しかしいくら妻の方と懇意にしてはいても、多忙な夫との間に接点など相変わらずなく、その妻も結婚前の名前のまま勤めていたのでなおさら長く気がつかないでいた。
 なので、総二郎と出くわしたのは本当に偶然だった。
 新年に入った頃か。
 何度か院外でも飲みにでたり、食事をしたり、出かけることも多くなったその総二郎の兄嫁である女友達の誘いで体験することになった大寄せの茶会。
 つくしにしてみれば今更だったが、行ってみたいと頼まれ、まあ大寄せならば権高い顔見知りの人間が参加していることもないだろうと気軽な気持ちで参席してみれば、…本来の主催者である責任者が急病だとかで、その代打でメインの亭主を務めていた総二郎の姿に仰天するハメに。
 しかも、コソリと耳打ちされた内容にさらに絶句。
 『実はあの人、私の旦那さんの弟なのよ。一門の近い人が主催の茶会だって聞いてたから、どんな感じなのか興味があって牧ちゃんに付き合ってもらったんだけど、かえってラッキーだったかも』
 無邪気に喜ばれて、ガクリ。
 …まあ、別に西門さんとなんかあって気まずいとかじゃないから、いいんだけどさ。
 総二郎もつくしをその場で見つけた時には相当驚いていたらしいが、さすがにその場ではそんなそぶりは欠片とも見せていなかった。
 長い付き合いに友人くらいの気安さのある相手だったが、それでも個人的に連絡のやり取りをするほどの間柄ではなかったから、司や類と切れてしまえば本来ならもう二度と会うはずもなかった相手。
 かれこれ3年ぶりくらいの再会だったか。
 …普通に、また今度な、とかいって、類のマンションで酒盛りして以来だったよね。
 「親しみやすくて、すごくいい人だよ、西門先生の奥さん」
 『そうなんですよね。男って結局、綺麗な女より、そうやってちょいカワ程度の親しみやすい、和み系を選ぶものなんですよ』
 「そう?」
 美の体現者であると同時に崇拝者的な桜子にして珍しい発言だ。
 が、
 『ま、私くらいになると、別格ですからあんまり関係ありませんけど』
 「……あっそ」
 この友のこの手の発言にはつくしも慣れたものだ。 
 自惚れもセレブの特徴なのか、はたまた自惚れても仕方がない人間だから自惚れも強いのか。
 …すっごいイヤミだけど、この子が言うと納得できちゃうしね。
 類にはそうした部分はなかったが、総二郎にしても似たようなものだったし、たしかあきらもそんな傾向があったように思う。
 そして、司にしてみればなおさらだ。
 『ということで、西門さん…弟さんの方ですが、総二郎さんもこれで晴れて独身になったことですから、先輩もそろそろ次の春を謳歌するのもいい頃合なんじゃないですか?』



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※大寄せ茶会…茶の湯の法則に従って行う場合は茶事と呼び、茶会とは区別している。数ヵ所に茶席を設けて、1日に100人から1000人もの客に茶を供するもので、神社や寺、観光名所などで行われたりする。


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