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「夢で逢えたら…全207話完+α」
第四章 夢の続き②

夢で逢えたら181

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 ふふふ、やっぱり間に合いませんでしたTT
 う~ん。
 まあ、でも、なんとかもう一話くらい書けそうなので、明日中に『夢で逢えたら』ももう一話行きます!
 ただし、am.6:00には間に合わないかもしれませんが、ご容赦をm_ _m
 中々サイクル戻らないなあ。
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 今日退院するつくしにつけていた優紀からの連絡に、司は眉根を寄せた。
 「…麻紀乃が?」
 『はい。つくしからは口止めされていたのですが、…ちょっと見過ごせないことがありまして』
 迷った挙句、口ごもったのはやはりつくしとの約束を破っているという後ろめたさから。
 優紀は優紀なりに親友のことを心配し、司に報告することを選んだが、昔から親友の人の好さと、その結果にある様々な人への影響を振り返って、最悪の一点だけは口を噤むことを決意する。 
 …もしかしたら、この決断を悔やむ日が来るかもしれない。
 洲崎麻紀乃の悪意が、つくしの真心で諌められていればよいのだが、もし逆にその悪意の矛先が増幅することがあればつくしはもちろんのこと、司に対しても申し訳ないことになる。
 だが、優紀はつくしを信じたかった。
 つくしの真心、人を信じる純粋な魂。
 「何があった?」 
 『あ、いえ、大したことではないんですが、洲崎さん、つくしのこと恨みに思っているんじゃないかと思って』
 言葉を濁したものの、優紀の言いたいことを察して、司も考え込む。
 「わかった、悪かったな。他になんか変わったことなかったか?アイツの息子も迎えに行ったんだろ?」
 『ええ。素敵な息子さんですね。すごくつくしのことを大事にしていて、親孝行な子だなと感心しました』
 「ま、確かに親孝行じゃああるんだろうな。けど、あいつらちょっとベタベタしすぎじゃねぇ?」
 司の嫉妬を含んだ不機嫌な物言いに、優紀がつい失笑を洩らす。
 …なんだか、道明寺さん、高校生の時に戻ったみたい。
 「何?」
 『あ、いいえ、すいません。ちょっと、思い出し笑いしてしまって、失礼しました。でも、仕方がないですよ。あんなハンサムな息子なんですもの。私だって、あんなカッコよくて賢そうな息子がいたら、ゾッコン猫可愛がりしちゃうかも』
 ついつい砕けた口調になって冗談を言ってしまっても、司も気安いのか特には咎めない。
 「ふ…ん、そんなものか?俺も息子はいるが、さすがに母親の気持ちはわかんねぇな」
 『たぶん、道明寺さんも娘さんがいらしたらおわかりになったと思いますよ。よく異性の我が子は、小さな恋人だと言いますからね』
 ますます不機嫌になる司を微笑ましく思いながらも、そろそろ本題に戻る。
 『では、そろそろご指示通りに移動しますね。レン君にも話は通してますから、支障なく目的地までつけると思います』
 「ああ、くれぐれもアイツには黙ってろよ。いろいろとウルセェからな」
 司にしては柔らかく答えて、携帯を切る。
 だが、携帯に目を落とす司の顔は、先ほどまでの和やかさとは打って変わって、険しかった。
 「…西田」
 「はい」 
 「麻紀乃、まだ総二郎の用意したマンションに住んでいるのか?」
 「いえ、確か先月末に、引っ越しされているかと」
 「そうか。お前のことだから、当然調べてあるんだろ?」
 無言で会釈し、懐から黒皮の手帳を取り出す。
 その1ページにサラサラと一つの住所を書き込み、そのまま司へと差し出す。
 「…わりぃ、後の予定はお前に任せる。しばらく、頼むわ」
 メモを受け取った司は、真っ直ぐに西田を見つめ、殊勝に頭をたれ、執務室を後にする。
 かつて決して他人に礼も詫びも入れることができなかった司が、たった一人の女性の為に頭をたれる。
 不思議な既視感を感じて、西田は目を細め、遠い昔同じく司を変えた女性を懐かしく思い起こしていた。


 当てもなく彷徨うNYの街は、異邦人の麻紀乃にはこの上なく冷たく映る。 
 生まれ育った山深い田舎町も、高校・大学時代を過ごした東京も、この空からは遠く、ひどく懐かしい。
 …日本に帰りたい。 
 いつも思っていた。 
 こんなところへ来なければ良かった。
 でも、日本には司はいない。
 司と離れ、東京に住んでいた頃は、夢だけを見ていられた。
 だが、司との心の繋がりなど微塵も感じれるはずもなく、ちょっとした不安要素があればいつでも心は揺れた。
 どうして?
 なぜ?
 その問いばかりが心を占める。
 なぜ、こんなことになってしまったの。
 さきほど会ったばかりの司の想い人の真っ直ぐな眼差しを脳裏に思い浮かべる。
 あの人と私の何が違うと言うの。
 あの人だって、司の美貌や地位、お金、それらに魅力を感じていないはずがない。
 なのに、それなのに、私だけがそれを許されなくて、あの人だけが、許される。
 わからない。
 一度たりとも愛されたことがなく、真実の恋を教えられる機会がなかった麻紀乃には、何一つ理解できなかった。
 酔いの回った足を励まし、つい先日引っ越してきたばかりのマンションのエレベーターに乗る。
 半分千鳥足の彼女を見て、エントランスのガードマンが顔を顰めたのは気のせいではないだろう。
 ここのところ、昼間から飲んだくれて帰ることも珍しくはない。
 あの日から…司が彼女の存在を真っ向否定した記者会見の日から、麻紀乃の儚い妄想は悪夢に変わった。
 司がもう二度と、自分の元へと戻ってくることはあるはずがない。 
 そんなことはわかっていたことなのに。
 甘い言葉に再び、一時の夢が息を吹き返してしまった。
 優しい言葉で彼女を労わる男が、司だったらどんなにか良かっただろうと何度も思いながら、男の言うまま、男の誘導するままに世間に自分という存在の不遇さを訴えた。
 司にもう一度見て欲しかっただけなのに。
 手に入ったのは一時的な世間の注目と嘲笑と、恥辱をわざわざ言い触れて手に入れたこのマンション。
 いくつかのテレビ番組の出演と暴露本出版で受け取った泡銭は、ぱあっと消えた。
 あの女に、司の女に会いに行ったのは…もちろん、謝罪のためなどではなかった。
 ええ、そうよ、そんなわけあるわけがない。
 じゃあ、何の為?
 自分に他人を殺したり、怪我をさせたりする度胸がないのはわかってる。
 あのシャンパンタワーや点滴のすり替えの時だって、沸騰した頭が企てた一時の激情で、いざ我に返ってみれば、自分の所業に怯えて、怖くて仕方がなかった。
 こみ上げる笑いにクツクツと一人声を立てながら、いつまでたっても動き出さないエレベーターに不審を覚える。
 何のことはない、酔っぱらった頭は、ドアが閉まったままに、階数ボタンを押し忘れてしまっていたらしい。
 バカみたいだと自分を嘲笑いながら、ボタンを押す。
 途端に、すーっという気持ちの悪い感覚と共にエレベーターは上昇し、扉が開いた途端、飛び出た先で麻紀乃は吐いた。
 「げえぇぇ、ぐう、うげええ」
 すえた匂いがまた再び麻紀乃の吐き気を助長し、酒以外何も入っていない胃を押し上げて胃液がこみ上げる。
 余りの苦しさにえづきながら、嘔吐の苦しみなのか、それとも違う哀しみなのかわからぬ涙が再び流れ落ちる。
 惨めだった。
 ホンの数か月前、司を足掛かりに社交界の頂点を目指そうと野心溢れていた女が、こんなところで汚い捨て猫のように吐き、涙を流している。
 …私のせいなの?
 それとも、司の?
 それでも不思議に、司を奪ったはずの女への憎しみは湧いてこない。
 いや、羨んでいた。
 恨んでいた。
 憎んでいた。
 なのに、あの女の目の中に、彼女の知らない澄んだ何かを発見し、自分を哀れみ、労わる思いを発見した時から、ドロドロとした何かが流れ落ちていた。 
 誰も、彼女を哀れんでくれなかった。
 誰もがバカな女だと蔑んだけれど、彼女のせいじゃない、彼女の愚かさを憐れだと哀しんでくれた人間はいなかったのだ。
 必死で訴える彼女を肯定し、慰めてくれる誰かが欲しかっただけ。
 本当はわかっていたのだから。 
 バカなのは自分。
 自分を人間としてさえ見てくれない非道な男に岡惚れして、そんな自分の愚かさに目を瞑ってきた自分自身の罪。
 「でも、好きだったんだもの」
 口をつけば出てくる言葉に、自分で自分を嘲笑う。
 好きだった…なんでよ、どうしてよ。
 バカな自分はいつまで、同じ言葉を呟き続ければ気が済むと言うのか。
 泣き笑いしながら、なんとか自室の前にたどり着き、うっかり鍵を開けないままにドアノブをひねる。
 「…あれ、ドア、開いてる」
 兄が来てくれたのだろうか。
 今となっては、真摯に彼女に愛情を抱いてくれる唯一の存在。
 兄もまた彼女を野心の足掛かりにしようとしていたけれど、それでもすべてを失った今も見捨てようとはしないでくれた。
 「…兄さん?」
 玄関を抜け、ふらつく体を壁についた手で支えながら、縋るような弱々しい声でひたすら兄を呼ぶ。
 「にい…さ」
 麻紀乃の言葉は途中で喉が詰まった様に途切れてしまった。
 思わず絶句し、次の言葉を継げないままに、口を両手で抑える。
 瞬きをすることができない。
 瞬きをしてしまったら、目の前の存在がまるで幻のように消え去ってしまうのが怖かったから。
 「よう、久しぶりだな」
 そこにいたのは、あれほど会えることを夢み、あれほど憎み恨んだ美しくも愛しい男。
 麻紀乃にとって天上の男神にも等しい、道明寺司、その人だった。

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