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始まりは突然に01

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 昨日は触り程度だったプロローグ。
 しばらく予約投稿ですので、コメントの書きようがなかったり^^;
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 「牧野さ~ん、外線から電話」
 同僚の声に、お昼休みに入ろうとしていたあたしは、内心溜息をつきつつ、受話器を持ち上げる。
 「何番?」
 「3番。相馬課長から」
 名前を聞いて、思わず、さっき堪えた溜息が口から洩れる。
 「はい、牧野です」
 『俺だ』
 はいはい、わかってますよ。
 今さっき、聞きましたから。
 それにしても、一応名乗るのが礼儀というものでしょうに。
 挨拶さえもないのだから、そもそもが間違っているか。
 いくら上司だからって、部下に対して、いつも傍若無人に接してもよいというわけじゃないよね。
 とはいえ、『俺だ』の一言でここまで文句が出るのは、きっとあたしも相手に含みがあるからには違いない。
 「えっと、朝言われた書類は確かに用意してお渡ししたと思うんですけど」
 『それはいい。だが、さっき取引先から電話があって、急遽、山根コーポレーションの技術資料が欲しいと言われたんだ。すぐに、それもってこっちに来い』
 来てくれでも、悪いなでもなく、『来い』。
 今から行けば、確実にお昼休みは潰れる。
 ぐううっとなるお腹の音に情けなさが倍増して、ついつい、周囲を縋るように見回していた。
 さああっと、波が引くように次々、あたしから視線を反らし、離席する同僚たち。
 パッと振り向いた先、同期の長嶋が、俺?というように自分の鼻先に指を突き付け、急いで顔をブンブンとフッて立ち上がる。
 薄情者~。
 『おい、聞いてんのか?』
 はああ。
 一応は、無駄と思いつつも言ってみる。
 「あたし、これからお昼なんですけど…」
 『それが?』
 「…」
 『……』
 無言の威圧に根負けする。
 「わかりました。資料をそろえるのに30分くらい見てもらって、50分でそっちに向かいます」
 『20分で揃えろ。タクシー使っていいから30分以内に来い』
 30分…。
 時計を睨んで、行程をざっと頭で計算する。
 確かに、電車を乗り継げば20分かかる道のりも、車なら10分もかからない。 
 課長のお達しなので、タクシーも経費で落とせるだろうから遠慮は不要だ。
 そうとなったら、ここでグズグズしているだけ時間のロスだよね。
 言いたいことだけ言ってさっさと切られた電話を睨み、あたしは急いでスリープにしたばかりのパソコンを立ち上げた。


 後5分で約束のタイムリミット。
 タクシーから片足を出して清算を済ませ、領収書を受け取る。
 もう一度時計を確認しながら、上司と待ち合わせの場所へと足を急がした。
 うっひゃああ、しかし、でっかいビルよねぇ。
 堂々たる威容を誇る地上25階建ての超高層ビルを見上げ、カーテンウォールに反射する日の光に思わず片手で目の上に庇を作る。
 花沢本社ビルか~。
 なんか、圧巻~。
 初めて来るわけではなかったけれど、頻繁に訪れるというほどもなく、ここのところの花沢物産と東洋商事での合同プロジェクト会議に出席している直属の上司・相馬さんの用向きで訪れることが数回あったくらい。
 けれど、なんとなく、来るたびにくすぐったいような、面映ゆいような不思議な懐かしさを感じるのは、まあ、いわゆる青春時代の思い出の一ページっていう奴なんだろうな。
 もちろん、このビルで花沢類に出くわしたことなんかない。
 確かに、高校時代、一時、同じ空間を共有した花沢類は、この大企業の御曹司で、ジュニアとして存在しているのだろうけれど、大学時代にはすでに音信不通になっていたし、噂に聞くところによると大学を卒業してすぐ、フランスの支社へと海外転勤になったとか。
 その時には、うへぇ~とか、ほおぉぉぉ~とか、別世界のことだと割り切った感心があっただけで、特に他の感慨はなかった。 
 ああ、あったあった。
 静さんとまた再会できるじゃん、良かったね、花沢類…みたいな?
 ま、どっちにしろ関係ないんだけどね、あたしには。
 そんなこんなで、このプロジェクトが立ち上がる前には、あたしにはまったく無関係な場所で、この先も関わることがあるなんてこれっぽっちも思ってなかった。
 …て、時間やばいじゃん!こんなところで、妙な感慨にフケっている暇ないっつーの!
 時間に遅れた場合の、相馬さんのピクリとつりあがった眉尻を思い浮かべ、あたしは焦って走り出す。
 あの美眉がいいのよ、なんて言ってる先輩社員たちの黄色い声が信じられない。
 確かに、多少見場はいいかもしれないけど、あんな男、ただの自信過剰の傲慢男じゃないのよ…仕事はできるけど。
 焦って人と人の間をすり抜ける様にして走り抜け、つい、人に当たって落としかけた封筒に気を取られて目の前に現れた人に気が付かなかった。
 ドンッ。
 「ぎゃっ」
 壁に正面衝突したような衝撃。
 とっさに踏みとどまることもできず、完全に後ろ向きに弾き飛ばされる。
 うぎゃあああ、頭打つ~。
 なすすべもなく、ギュウッと眼を瞑って、その衝撃に備えた。
 あ、頭を庇えば良かった~。
 …。
 ……。
 ………?
 覚悟した衝撃がいつまでたっても訪れない。
 不審に思いながら、そっと片目を開けると、壁のようにそびえたつスーツの上着。
 最上級の生地と仕立ての美しい明るいグレーのジャケットを着こなした、厚い胸板から視線を上へとあげてゆく。
 「は、花沢類!?」
 絶対に会うことはないと思っていた、もう二度と同じ時間を共有することないと思っていた初恋の王子様、花沢類があたしの腕を掴んで支えながら、あたしの顔を怪訝そうに見下ろしていた。

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