「愛してる、そばにいて」
第8章 明日に咲く花④

愛してる、そばにいて0707

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 「は?」
 つくしにしてみれば、まさに青天の霹靂。
 類の父親に謝ってもらうようなことをされた憶えがない。
 それ以前に、類の父と個人的に会うのはまだこれで二回目だ。
 もちろんずっと以前、道明寺家の人間……司の妻として会ったことはあった。
 しかしそれは、あくまでもパーティの席でのことで、2、3度顔を合わせたくらい、それこそ挨拶程度、大した接触をした覚えはなかった。
 「ご存知ではないかな?去年6月頃だったか。類の結婚と花沢物産の後継問題について、何社が特集を組んだ雑誌があるのだが」
 「あ……」
 それでつくしも思い当たった。
 もう半年以上も前、下手をすれば一年近くも前の話だが…。
 「どうやらご存知なようだ。…内容も?私へのインタビュー記事もあったのだが」
 「はい、見まし…え?お義父様のインタビュー記事ですか?」
 たしか類の父が友人に洩らしたとかいうもっともらしい話は書いてあったが、つくしが読んだ雑誌には、直接類の父が関与しているといった記事はなかったように思う。
 苦い思いが湧き上がる。
 悪いことをしているわけではなかったが、それでもまだ婚約にまで踏み切れず、類との関係…そして将来を、まだまだ悩んでいた時期でもあったのだ。
 …いまだって、完全に割り切れてるってわけでもないけど。
 それでも、できればそんな形で世間に知られたくはなかった。
 「あなたのプライバシーは配慮したつもりだし、けっしてあなたに悪意ある書き方にはさせていなかったつもりだ」
 ‘都内病院勤務ソーシャルワーカーMさん’、そんな記載だったか。
 詳細は彼女もあまり憶えていないが、たしかに類の父の言うとおり、類と一緒に写っていた写真にしても、本人だからこそわかる程度のもので、彼女自身の母親でさえ半信半疑なくらいの代物だった。
 そして、たしかにあくまでもつくしに対して好意的で、過去のあれこれに関しても同情的に書かれていた。
 さすがに道明寺家との直接的な関わりまでは暴露されてはいなかったが。
 「意図的だったということですか?」
 「まったく気が付いていなかったのかね?」
 「……いえ」
 桜子からも入れ知恵されていたし、類もおそらくそうではないかと推測していた。
 もっとも、彼らにそうと知らされなければ、今初めて聞いたと狼狽していたかもしれない。
 「類からはかなり厳重に抗議されたが、私が諸悪の根源だと聞いても、あなたはあんがい冷静なようだ」
 類が抗議してくれていた。
 つくしとの関係で外堀から埋めるつもりはないと言っていたが、いつも彼はつくしの気持ちを最優先してくれる。
 たとえ彼女自身が気がついていなくても。
 「怒らないのかね?」
 「怒ると思っていらしたんですか?」
 「おそらくは」
 はぁ~とため息をつく。
 「確信犯でいらっしゃるものを、憤ったところでどうすることもできないかと。最初から謝罪するつもりで、私を酒席にお誘いになったんですか?」
 「…どうだろう。だが、できればあなたとは家族になるのだから、円満な関係を築きたいと思っているし、それならばできるだけわだかまりの種は残さない方がいいだろうとの判断かな」
 やはり単なるダンディな美中年などではない。
 花沢物産という大企業を支える大きな柱として、長年その頂点に君臨してきた人物だ。
 一筋縄ではいかない食わせ物であることは間違いなさそうだ。
 …息子の類からしても、そうだものね。
 「たとえ私が、今ここでお義父様に怒りをブツけたとしても、いまさらのことですから」
 「たしかに」
 類の父が薄らとした笑みを浮かべる。
 けっして嘲るようなイヤなものではなかったが、それでもつくしにしてみれば、あまり気分の良いものではなかった。 
 「お義父様が過分にも私のことを認めてくださって、一日も早くに花沢家に迎え入れようとしてくださっているだけだということは私にもわかっています」
 「そのとおりだ」
 類の父がつくしの言葉に満足げに頷く。
 「でも、わからないのは、どうして、なのか、ということなんです」
 「どうして?」
 つくしの盃が空なのを見越して、類の父が再び酌をしてくれる。
 しかし、今度はつくしは盃には手を伸ばさなかった。
 まだまだ肌寒い季節だというのに、ホカホカと体が温まってほっこりとした酔いが体中を満たし始めている。
 気分とは裏腹に。
 これがもう少しすると酩酊に変わって、将来の父にどんな醜態を晒す結果になってしまうか。
 「なぜ、お義父様はそこまでして、私を花沢家に迎えいれようとしてくださるのですか?」
 「…なぜとは?」
 「言葉のとおり、そのまんまです」
 類は花沢家の一人息子だ。
 大企業の経営者の跡取りであり、その立場に相応しく、遺憾なく才覚を発揮している自慢の息子のはずだ。 
 それなのに―――。
 「私はご存知のとおりなんの後見も持たない庶民出身の女です。何かしらの才能があるわけでもなければ、名誉があるわけでもない。ましてや、初婚の類さんに比べて、私は2回の離婚経験があり、前の夫との間には子供さえいる。…とても類さんとは、釣り合いがとれているとは私自身でさえ思えないのに、そんな私の何をお義父様が認めて、気に入ってくださっているというのですか?それが私にはわからないのです」




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