「愛してる、そばにいて」
第8章 明日に咲く花④

愛してる、そばにいて0684

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 「………あの記事の話は本当か?」
 『あの記事?』
 空っ惚けるつもりではないのだろうが、それにしても類が怪訝に問い返してくる。
 その反応で、自分の問いかけがいかにも唐突で、説明不足だったことに司もやっと気がついた。
 「昨年の6月…俺の結婚式の前日に日本で発売された2誌に掲載された、お前の親父のインタビュー記事だ。写真もあったろ?」
 『ああ』
 ずいぶん以前のことだったというのに、間髪入れずに返った返事に、それが類にとってもどうでもいい捏造記事などではなく、それなりに印象に残るほどの真実なり関心があったものだと察せられた。
 『………関心があるなら、あの日は―――まあ結婚式だったから無理にしても、わりにすぐに連絡寄越すと思ってたから、今お前にそんなことを聞かれるのは正直意外かな』
 「お前、つくしと付き合ってんのか?」
 今度はスルリとその問いかけを口に出すことができた。
 だからといって、なんの痛みも感じないわけではなかったけれど。
 『付き合ってる』
 「……っ」
 『付き合ってるし、一緒に暮らしてる。…具体的な日程までは決まってないけど、それでも一年、二年のうちには結婚したいと思ってるよ』
 覚悟していた…とは言い難い。
 それでも予想していなかった言葉ではなかったはずだ。
 『お前の元カミサンとの結婚話をお前に報告しなかったのは、不義理だったと思う?』
 不義理か不義理ではないかと問われれば、裏切られたという気持ちがある。
 過去のこととは言え、つくしへの司の執着を類も知っていたはずなのだから。
 だが、たとえ類にあらかじめ報告されていたとして、自分は果たして二人が結びつくことを許せただろうか?
 もはや自分とは関係のない女なのだと割り切って、勝手にしろと言えたとは到底思えなかった。
 ―――そして、自分にそんなことを言える立場なのか、彼ら二人のことに口出しを出来る資格があるのかという自嘲がある。
 つくしは類に惚れていた。
 …それを俺が無理矢理に奪った。
 騙して断ち切った。
 もっとも、たとえ司がそうしなかったとしても、当時静に溺れていた類が、つくしに振り向いたかどうかは今となってはわからない。
 あるいは、司が手に入れることができぬのならと、自らすべてをブチ壊すような暴挙にでなければ、当時まだつくしを手に入れられる可能性がなかったわけではないのだと、今の司はわかっていた。
 だが、司は突き進んでしまった。
 けっして戻れぬ道。
 自身とつくしのあったかもしれない未来を自ら打ち砕いたのだ。
 『ふっ……一応、俺でもさすがに、お前に一言言うべきかと思わなくもなかったけどさ』
 「一応かよ?」
 『一応だね。だって、もうお前とはなんの関わりもない女だろ?」
 「……そうだな」
 戒がいる。
 そう言ってしまうこともできたが、その戒との接触をすべて禁止し、つくしを放逐したのは彼自身だ。
 自由に生きろと、今度こそ思うがままに生きろと手放したはずの手を、どうして放してしまったのだと悔いることをやめることができない。
 『それこそ昨年だったかな。…つくしとNYに行った』
 「……ああ」
 かつて彼しか呼ぶことが許されなかったはずの彼女の名を、‘つくし’と呼び捨てる親友の言葉に、胸の奥にザラリとしたイヤな感触がこみ上げる。
 それが嫉妬であることなど、もはやあらためて確認するまでもない。
 『お前、空港にいたんだって?』
 「………っ!」
 やはり類もそこにいたのだ。
 自分を空港の吹き抜けの通路の向こうから見下ろしていた彼女に、某かの感情を期待していた自分。
 司を見下ろしているように思えたのも、あるいは錯覚か。
 「あいつが言ってたのか?」
 『コンコースを歩くお前とお前の婚約者…いまはカミさんか。二人で腕を組んで歩いていたのを見かけたって、聞いてるよ。けど、やっぱりお前もつくしに気がついてたんだ?』
 「……………」
 無言が肯定だ。
 そして、類にもそれがわかっただろう。
 「ずっと一緒に行動していた俺がお前を見かけなかったのに、彼女がお前を見かけたとしたら一度しかチャンスはないはずだ。……あの場所から、つくしがお前を見つけたってだけでも驚きだけど、お前の方でも彼女に気がついていたとはね』
 気がつかないはずがない。
 わからないはずがなかった。
 かつてたった一日彼女と離れていてさえ、ロクに呼吸もままならないと思っていた自分が。
 …だが、俺は生きている。
 『皮肉なものだね。NYにつくしと二人で行く直前に、俺が電話したの覚えてる?』
 「…ああ」
 『どうせなら電話なんかじゃなく…直接お前に会って話すつもりだった』
 「………」
 『けど、その時期、お前はNYにいない、あっちこちを往復していて、とても俺に会ってる時間はないと面会を断られた』
 不思議にその時の会話はよく覚えていた。
 親友とはいえ、他人のことになどめったに関心を示さない男が、妙に戒にこだわっていたことに引っかかっていたのか。
 あるいは―――。
 当然、類が戒を気にかけていたのは、つくしの為だったのに違いない。
 それとも類を通して、戒に会いたいと、つくしは司に交渉するつもりだったのか。
 …どちらにせよ、過ぎた話だ。
 「グダグダ言い訳しても仕方ねぇ、いまさらだろ?」
 『まあそうだね。俺としても、言い訳する必要もないと思ってる。…かつて、彼女はお前の妻だった。けれど、たとえどんな経緯からだったとしても、お前たちは正式に離婚し、お互いに違う人間と再婚していたんだ。……でも、お前が今後、彼女とのことで俺とのプラベートな付き合いを断ち切りたいと言うのなら、それこそそれも仕方のないことだと思う。俺にとっては、お前は今も幼馴染みの大事な親友だし、この先もずっと変わらない。だけど、それはそれ、彼女とのことは全く別のことだから』




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