「愛してる、そばにいて」
第8章 明日に咲く花③

愛してる、そばにいて0674

 ←愛してる、そばにいて0673 →愛してる、そばにいて0675
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ
【君を愛するために】オススメ作品!?
ランキングもよろ(・ω-人)
ブログランキング・にほんブログ村へ
いつも応援ありがとう♪
**************************************

 「まあ、英徳で」
 司の親友だということは、すでに雑誌等で知っていたのだろうから、千恵子にしてみればいまさらな情報だったに違いない。
 それでも、あらためてチラリとつくしを振り返った目の驚きは本物だった。
 おそらく噂の当の本人である類が現れた時にですら、半信半疑であったではなかろうか。
 電話での訪問を告げた時以上の驚きと感動を持って、つくしを迎えた千恵子と晴男だったが、類の顔を見た二人の顔は、まさにポカンというのが相応如く、何度も類の顔を見てはキョロキョロと周囲を見回して、再び類の顔を見上げ、本当に自分たちの家への客なのかと戸惑っていたくらいだ。
 「この子ったら、あまり学生時代には学校でのことを話さなかったものですから。花沢さんみたいな立派な方とも交流があっただなんて、あたしどもはちっとも存じ上げませんでしたのよ?」
 「その頃は類とは全然親しくなかったから」
 「…そ?」
 反論したつくしに、類がキョトンとした顔で首を傾げる。
 つくしにしてみれば、そうとしか言いようがないのに、彼にはまた別の意見があるらしい。
 …まったく。私のことなんて鬱陶しがってたでしょうに。
 調子がいいとまでは言わないが、類と自分の認識の違いを、ここのところけっこう感じるのはこういう時だ。
 「俺はあまり社交的とはいいがたい人間ですので、何くれとなく話しかけてくれたり、気遣ってくれるつくしさんは、とても印象深い人でした」
 「まあまあ、そうなんですよ!この子は昔から物怖じしなくて、特に取り柄のない子ではありますけど、子供の頃から友達も多くって、本当に人に好かれるタチなんですの」
 取り柄のない呼ばわりはよけいだったが、それでも誇らしげに胸を張る母の姿につくしも苦笑い。
 もはや親にだとて‘この子’呼ばわりされる年齢ではなかったが、それでも両親にとってはいつまでも‘子’であるということなのだろうと、ほっこりとする。
 「…それでそのぅ」
 落ち着かなげに類とつくし、千恵子を交互に見回し、引き攣った愛想笑いを浮かべていた晴男が意を決したように口を挟む。
 「花沢さんは、つくしとはどういうお付き合いを?」 
 「は?いきなり何言い出すのよ、パ…お父さん」
 あまりに唐突な話題変換に、つくしが思いっきり顔を顰め聞きただした。
 しかし、千恵子の方はこれ幸いと、ホクホクとニンマリ顔で類へと向き直る。
 「そうよ、パパったら、いきなり失礼でしょ?…でも、どうなんでしょうか?高校を卒業してからこの子は、英徳を離れてしばらく海外に出ていましたし、…その、花沢さんとはいつからお付き合いを?お付き合いされてるんですよね?」
 「ちょっと、ママっ!」
 「ええ。つくしさんとは結婚を前提にお付き合いをしてきましたが、先日、ようやくプロポーズに承諾をもらいました」
 ニッコリ綺麗に笑って、千恵子の問いかけにあっさりと肯定する類に三者三様のリアクション。
 「類っ!」
 「まあ!」
 「おおっ!」
 突然のブッコミに、焦って類の口を塞ごうとするつくしをよそに、晴男と千恵子が両手を合わせ歓声を上げ、無邪気に喜んでいる。
 「もうっ、みんな勝手に話を進めないでよっ!」
 「本当のことじゃん?」
 「そう、だけど」
 優しく微笑みかけられ、愛しそうに見つめられると、それだけで乙女の気分に陥ってしまう。
 …いやいやいや、もう乙女って歳でもないから。
 そんな自分で自分にツッコミをいれて、火照る頬の赤味を懸命に散らす。
 「ご挨拶が遅れてしまい、すみません」
 「いえいえ」
 「いやぁ」
 「以前から、何度もお訪ねしようとは思っていたのですが、つくしさんからも止められていましたし、結婚を正式に受け入れもらってからあらためて伺おうと思っていたものですから」
 何とも言えない顔で、晴男と千恵子が顔を見合わせたのは、類が彼らに会いに来るのをつくしが止めていた理由に二人共思い当たったからだろう。
 「いえ、たぶんつくしから、私どものことは聞いていらっしゃることと思いますから、理解しています」
 「…………」
 類は肯定も否定もしない。
 けれど、それが答えのようなものだ。
 「ただ…」
 浮かれて喜んでいた千恵子が、わずかに逡巡し、それでも表情をあらため、意を決したように口を開く。
 「ただ、結婚とまでお話が進んでいるのなら、その…花沢さんも英徳にいらしたということですし、ご存知ないということはないとは思うのですが」
 かなり回りくどく、遠まわしな物言いにつくしが眉根を潜め、類の秀麗な横顔を窺う。
 彼の目は真っ直ぐに千恵子を見返して、揺るぎなかった。
 けれど、つくしの心配げな視線に気がついたのだろう。
 ちらりと一瞬だけ視線をくれて、心配するなというように、小さく微笑み返してくれる。
 「つくしは初婚ではありません」
 「ええ」
 「花沢さんは、道明寺さんとは?」
 「幼馴染みの親友です」
 言わずもがななことだったが、あらためて断言されたことに千恵子が一瞬息を呑んで、言葉を詰まらせた。
 しかし、類の言葉は何を躊躇することなく淀みがない。
 「ですから、もちろん、つくしさんが以前に司と結婚していて、道明寺家に息子さんを残していることは知っていますし、その息子さんの戒君とは、俺も何度か会ったことがあります。また、その後に別の男性と再婚し、昨年、離婚したことも知っています。それらのことは俺だけではなく、ウチの両親も承知していることですよ」
 「…え」
 「あ…」
 さすがに二度目の結婚の事まで知っていたのには、両親にとっては意外だったのだろう。
 さらには、類ばかりではなく、その親も承知しているというだ。 
 反応に困っている晴男と千恵子へと柔らかく微笑む類の顔は、まさに童話か何かから抜け出した王子様そのもののように美しく、同じ男性である晴男でさえも赤面し見惚れてしまっていた。
 「お義父さん、お義母さん」
 類が手に持っていた湯呑を座卓に置き、居住まいを正す。
 きっちりと座り直して、厳粛な空気をまとった類の様子につられ、晴男と千恵子、それにつくしの背筋も自然に伸びていた。
 「つくしさんの人柄は高校時代から知っていましたが、あらためお付き合いして、これからの俺の人生を豊かにしてくれるのは、彼女しかいないと強く思いました。彼女が俺を幸せにしてくれるように、俺も必ずつくしさんを幸せにします。ですから、どうか、俺たちの結婚を許しくださいませんか?お願いします」




web拍手 by FC2

関連記事


総もくじ 3kaku_s_L.png イベント
総もくじ 3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ 3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ 3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ 3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ 3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 倉庫
総もくじ  3kaku_s_L.png イベント
総もくじ  3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ  3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ  3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話+
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ  3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話^
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ  3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ストック
もくじ  3kaku_s_L.png R短編集
もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ R
もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛の品格 R
もくじ  3kaku_s_L.png 愛妻生活 R
  • 【愛してる、そばにいて0673】へ
  • 【愛してる、そばにいて0675】へ

~ Comment ~

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【愛してる、そばにいて0673】へ
  • 【愛してる、そばにいて0675】へ
にほんブログ村 小説ブログへ💛
スポンサーリンク

┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘
女性に大人気!ビジネスから恋愛相談まで全部500円~!  
価格満足度97%、日本最大級のココナラに今すぐ登録!!

┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘