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「夢で逢えたら…全207話完+α」
第四章 夢の続き②

夢で逢えたら176

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 ついに訪問者10万人達成!
 いやあ、昨日は1万人と勘違いしていましたが、すごい数字ですねぇ。
 いやはや、ありがたい。
 10万ヒット記念かあ…。
 他のサイト様はいろいろと企画されたりしたようですが、私は上手く記念日などを捉えきれないのか、まったく旬?に乗れず…、うーん。
 では、今日は司君VS(え?)つくしちゃんをどうぞ^^
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 「…なんか、懐かしいよな」
 病室に入ってきた司の第一声がそれだった。
 「類にも言われた」
 目を細めて懐かしいという司の言葉に、つくしを見ているようでいて過去の自分を見ている彼の気持ちがわかってほろ苦く笑う。
 懐かしいと言っても、おそらく、いまのつくしに昔を思わせるところはないだろう。
 短く切り取られて左右長さの違う髪型を見てそういっているのだろうが、容姿からしてすでに昔とは全く違う。
 それでも、懐かしいという司と類が、いかに自分を長い年月忘れずにしてくれたかわかって申し訳ないような、嬉しいような、哀しい複雑な想いからだった。
 だが、以前のように頑なに、昔の自分と今の自分は違うと言うことはしない。
 昔があって、今がある。
 いかに否定しようとそれは変えようのない事実だし、思えば、司に対して頑なな気持ちさえ消えれば、それを固持する理由は何もなかった。
 あとの問題は、それをどう司に伝えるか…。
 類を傷つけてまで再び、司の手をとれるのか、それだけ。
 「具合どうだ?悪かったな、逆にケガさせちまって」
 「はは、助けてもらっておいて、謝ってもらったら申し訳ないよ。あんたにもちゃんと言ってなかったね。助けてくれてどうもありがとう。そして、迷惑かけてごめんなさい」
 丁寧にベッドの掛布に両手を置いて頭を下げるつくしに、司が破顔して、ベッドの側の椅子へと腰を下ろす。
 「なんだよ、しおらしいな。調子狂うぜ。俺が俺の女を守ることは当たり前なんだから、謝んじゃねぇよ」
 「誰が俺の女なのよっ」
 つい反発してしまったものの、
 …あっちゃ、これだから素直じゃないって、類にも言われちゃうのよね。
 と考えて、やはり類との決着がつかないうちは司とどうなることもできないと口を噤む。
 「わかってっよ。でも、いいだろ?俺の中でどう思っていようと。今も昔も、俺にとってお前は唯一の女で、この世でもっとも大切な存在だ。好きだ、惚れてる。めちゃめちゃ愛してる」
 照れもなく真っ直ぐに告げられる真摯な愛の言葉に、紅潮した顔を隠すこともできず、ギュッと目を瞑って顔を俯ける。
 「…たく、あんたは臆面もなく、またそんなこと言って」
 まだ、少年の日の方が司にもウブなところがあって、ストレートな中でもそこまで図太くはなかったと思う。
 つくしのそんな思いを読み取って、司は言う。
 「お前はよく自分のことを昔の自分とは違うっていうけど、俺だって変ってんだよ。当たり前だろ?17年…もう18年か。それだけ長い年月がたってんだからよ」
 18年…本当に長い年月だった。
 自分にもいろいろあったように、司にもいろいろあったのだろう。
 荒んだ目をして暴れまわっていた少年はもうここにはいない。
 つくしと口喧嘩して、それでも楽しそうに笑っていた純情な少年はいなくなってしまったように、恋に鈍感で無神経で、それでも司に向き合いたいと願って恋敗れた少女はもういなかった。
 「けど、それでも変わらない想いはある。それを俺は照れ臭いとか、プライドとかそんなもんで隠すつもりはねぇんだよ。この18年間で、こうしてお前と一緒にいられるこの一瞬一瞬がどれだけ大切かなんて思い知った。…思い知らされたよ。お前に何も無理強いするつもり
はない。だが、俺がお前を思い続けることを辞めさせることは誰にもできねぇし、たとえそれがお前でもそれを変えることなんてできねぇ。お前が俺を拒んでも、俺は死ぬまでこうしてお前に付きまとって求愛し続けるだけだし、結婚とかそんなもんも実はたいした問題じゃないな。ただ、お前がこうして、俺の触れられるすぐそばにいること…ただそれだけが重要なんだ」
 司の真摯な眼差しから目を反らすことができず、つくしがジッと司の目を見返す。
 真っ直ぐでその強い目。
 それだけが昔のつくしを思い起こさせる面影を残していたが、それがなんだというのだ。
 むしろ、こだわっているのはつくしだけで、懐かしく思うものの司は昔を必要としていなかった。
 だから、つくしの頬に手を伸ばし、拒まれないか慎重に探りながら、壊れものに触れる繊細さで、彼女の存在を確かめる様に触れてゆく。
 司の愛の言葉に紅潮して熱い頬、今はあらわになってしまっている首筋のケロイドの傷、ここ数日の心労でいっそうに痩せてしまったように華奢な背中な触れ、引き寄せた。
 抱きしめた腕と反対側の手で髪を優しく撫でながら、青くたん瘤のできてしまった額にそっと唇で触れ、大きな絆創膏の貼られた方の頬に指先を這わせる。
 その温もりのあまりの心地よさに、つくしは瞼を閉じ、うっとりと柔らかく身を任せた。
 こんなにも安らかで、泣きたくなるような愛しさに包まれたことがあっただろうか。
 司は本当に変わった。 
 たくさんの非道も冷酷さも身に着けただろうけれど、同時にこんなにも優しく慈しみを注げる男になった。
 …愛してる、って言いたい。
 私も、ずっとあんたが目の前にいなくて寂しかった。ずっと会いたかったって言いたい。 
 突然に、湧き上がるような愛しさ、恋しさに、さまざまな葛藤や他人への遠慮の全てが押しのけられ、つくしが口を開きかける。
 だが、目をあけ、司の目を見上げようとした彼女の目に、自分の頬に置かれた手の包帯が映った。
 「これ…」
 「あ?」
 「怪我したの?」
 指先から、よくよく見れば、ジャケットの袖の奥まで続く真っ白な包帯に眉根を寄せ、つくしが先ほどまでのしっとりとした雰囲気を払いのけ、司の手をやや性急にとる。
 先ほどまでうるうると目元を潤ませ、何気にちょっと期待した司の胸の高鳴りを裏切るように、すでに医師としてのなのか、怜悧で色気などさっぱりと払いのけた沈着な光が浮かんでいた。
 それでも、職業的なものではない心配が浮かんでいると思うのは、希望的観測にすぎないのか。
 「そういえば、顔にもけっこう傷あるわね。酷いの?」
 どういう傷だ、骨はどうだ、痛みは酷いのか、うんぬん矢継ぎ早に問い掛けられる問いに、曖昧に司が答えていると業を煮やしたのか、さっさと司の手の包帯を解こうとしだす。
 あまりつくしには見られたくない司は、慌てて彼女から手を奪い返した。
 「…大したことねぇよ。ちょっと、大げさに巻かれちまっただけだ」
 そういうわりに、大げさな態度につくしは逆に不信に思い、しつこく問いただす。
 「大したことないなら、見せたっていいでしょ?見たところ、ギブスしてるわけではないから、骨とかには異常なさそうだけど」
 「…お前を攫った奴らに負わされた怪我じゃねぇよ。誰があんなヘナチョコどもにやられるか」
 「じゃあ、それって?」
 「あ~、ちょっと、日本でいざこざあってな」
 言葉を濁す司に、つくしが目の険を強めて先を促がす。
 司にしてみれば自分の女性問題に端を発し、しまいにはつくしにも迷惑をかけた一件をここで蒸し返したくない一心だったのだが…。
 「男ならサクサク、言いなさいよっ。まったく、変なところで女々しいんだからっ」
 「誰が女々しいんだっ!…たく、ムカつく女だぜ。日本でなんかドラッグやってんだか、被害妄想にかられた変質者に硫酸ぶっかけられたんだよ。ビジネスモードで、スーツの上着もばっちり着てたから幸いしたな。ちょっとスーツと上っ面溶かしただけで、大した怪我はなかったよ」
 そうは言うものの、普通の怪我とは違う。
 じ~と今にも見せろと言いだしそうなつくしに閉口して、司はベッドからやや離れる。
 「見せねぇぞ」
 「なんでよ。女でもあるまいに、まさか、傷跡見せるのが恥ずかしいってわけじゃないんでしょ?」
 「…どうせ、女々しいよ。けど、お前、けっこう俺の容姿好きだったろ?」
 つくしが思わぬことを言われて大きく目を見開く。 
 「お前、なんだかんだ言って、俺の顔に見惚れてたり、俺の指とか手、気に入ってたじゃねぇかよ」
 バレで気恥ずかしいというより、この繊細さの欠片も、デリカシーもなさそうな男が、つくしが照れて隠していた心のうちに気が付いていたとは驚いたのだ。
 それがいつもの自惚れじゃないところが、驚きの上乗せ。
 「…今の俺に惚れてねぇお前を口説き落とそうと、俺は必死なんだ。それが俺の容姿だろうが、なんだろうが、お前に良い方に作用するんだったら、なんでも縋りつきてぇ。お前には効果ねぇが、それこそ、俺の金や地位がお前を惹きつけるんだったら、それをチラつかせてでもお前が欲しい」
 「よく言うわよ、私がそんな女だったら、興味も示さなかったくせに」
 そうかもしれない。
 だが、司にとってもはや、つくしへの想いは崇拝にも似て、つくしの核さえあればどう変わっていようと構わなかった。
 その他人を思いやり、その為には自分を傷つけることも厭わない強さ、信念。
 大きく深い優しさ、温もり、熱い正義感。
 つくしの何がそんなに司の執着を引き出し続けるのかと問われても、答えきれぬほどに多くの性質が彼女を眩く輝かせていた。
 「ま、ちっと傷が残っちまいそうだからな。暇見つけて、なるべく早く綺麗さっぱり元通りに整形すっから、その後、いくらでも見せてやるよ」 
 こともなげに言い放つ司に、つくしが微妙な顔を向ける。
 「あんたのこだわりはわかったけどね、私もあんたの手が焼け爛れていようと、顔が崩れていようと今更気にしないから」
 「は?嘘言うなよ」
 「嘘じゃないわよ。そりゃあさ、私もあんたの顔が人一倍イイのは、普通の美的感覚持ってるから認めるけど…ケッ…、元々、あんたの顔って私の好みじゃないじゃん」
 どういうのが好みとはお互いによくわかりすぎるほどにわかっているので、あえてここでは言わないが。
 だが、言外の言葉の意味を読み取って司の顔が不機嫌にふて腐れる。
 「あんたの場合、その顔より個性や性格の方が強烈で、あまりあるから。あんたの財力なら、まあ、確かにどんなに酷い状態になってても、綺麗サッパリ元通りにできるんだろうけど、無理して時間とるほどでもないんじゃない?…ああ、でも、ビジネスで握手とかする機会もあるから、治さないのもあれか」
 つくしが思い当たってポンと両手を打ち合わせるのを、なんとなく見ながら司は首を振る。
 「…まあ、それはどっちでもいいけどよ」
 「あんた、私の首の傷、気持ち悪いわけ?ホントは」
 「んなことあるかよ。元々ドブスなお前の容姿に惚れたわけじゃねぇんだ」
 「…ドブス」
 地の底から這うような声音に、慌ててて司が両手を振って否定する。
 「いや、つい癖つーか、言葉のアヤだよ。本当に、ドブスって思ってるわけじゃなくてな…いや、ガキじゃあるまいし、俺が悪かった。まあ、世辞言われるはお前も嫌だろうから、正直言うけどよ。お前の元々の容姿は確かに十人並だし、造形だけ言えばブスでもなけれりゃ、美人でもないかもしんねぇ。でも、俺にとってはほとんど初めて会ったころから、誰よりも魅力的だし、可愛いし、綺麗だ。…もしかしたら、好みってやつなのかもしれねぇな。でも、それにしたって、俺はそんなお前の容姿に惚れたわけじゃ無ねぇのはわかってんだろ?俺は…牧野つくし、今はキャサリン・マーベルの人格、個性、性格、魂、それらに惚れてんだ。お前の容姿も好きだが、それがどう変わろうと俺の気持ちは変わらねぇし、どんなお前も愛してる。その傷だって、お前の人生が詰まった結果なんだろ?だったら、その傷さえも、愛おしい」
 「……」
 「……」
 「まあ、あんたがそう思ってくれてるのは嬉しいよ。だったら、私も同じだと思わない?」
 同じ?
 つくしの言葉の意味を測り兼ねて、司は首を傾げる。
 真正面から捕えれば、司がつくしの全てを愛しく思う様に、つくしも司をそう思っている、と取れるのだが。
 「…お前、それって」
 「あんたさ、死ぬまで私に付きまとって求愛し続ける、なんて言ってたけど」
 「本気だ」
 自分の気持ちがまだ伝わっていないのかと言い募ろうとする司の顔に向かって、つくしは手で制止し、ベッドの上で体育座りした膝の上に両手をかけ、掛布ごしに顎を乗せる。
 「それはもういいって、もうわかったから。…それはわかったけど、じゃあ、私がもし、あんたを選ばないだけでなく、他の誰かを選んだら、どうするの?」
 つくしの問いかけに司は眉根を寄せる。
 つくしの声音はもしも…というより、具体的な誰かを指示しているように感じられたからだ。
 「類か?」
 司の問い返しに、つくしは息を一つ吐いて、顔を膝に埋める。
 「別に、ただ、聞きたかっただけ。答えなくていいよ。ごめん、反則だったね」
 「……」
 次の瞬間には伏せていた顔をあげ、つくしが優しく微笑む。
 「傷、大事にしなよ。まだ、痛いでしょ?普通の傷じゃないんだから…て、無理させた私が言うことじゃなかったね。あんたには本当に感謝してる。この借りを返せるあてはまったくないけど、恩にきるよ」

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