「愛してる、そばにいて」
第8章 明日に咲く花③

愛してる、そばにいて0657

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 問題が解決したわけではなかった。
 類の言うとおり、彼がつくしのことを好きで彼女と一緒にいたいと思っていて、彼女もまた類が好きで彼と一緒にいたいと思っている、ただそれだけのことで。
 …好きかぁ。
 いつの間に、その言葉をこうも自然に受け止められるようになったのだろうか。
 高校生の時にも彼のことが好きだった。
 おそらくあれが初恋というものだったのだろうと、今の彼女にもわかる。
 つくしの頭を小さくポンと叩いて、類がソファから立ち上がった。
 さすがに宇宙人の彼にしても、そうしたこと―――大人の濃厚な時間を過ごす気分ではもうなくなってしまったのだろう。
 …そりゃそうだよね。
 プロポーズされて、結婚を承諾した記念すべき夜。
 かなりド派手でド肝を抜かれたそれを、ロマンチックと捉えるかは微妙だったが、それでも類が彼女のためにしてくれたことに感動して、そのまま甘い夜を…それがおそらく王道ってヤツなのに違いなかった。
 それなのに、妙に頑固で意固地な自分は、そのせっかくの夜を台無しにしてしまったのだ。
 「もう寝る?」
 「ん~、さっきここ来るまで眠かったけど、ちょっと興奮して目が覚めちゃったからね」
 「……はははは」
 ―――ちょっと興奮して、とは、まあ言わずもがななことではある。
 「せっかくまだ時間も早いし、眠くなるまで少し本でも読むよ」
 今の世の中、どこにいてもスマートフォンさえあれば、家にある蔵書よりも遥かに大量の本に触れることができる。
 「つくしは風呂、まだでしょ?今日はけっこう寒いし、ゆっくり湯船に浸かってきなよ。入浴剤もけっこうな種類揃ってるし」
 「え?ホント?」
 「うん、ここも最近、女性客をターゲットに集客を図ってるから、そういうのでポイント稼いでるんじゃない?」
 「……なんかあんたが言うと、途端に味気ないっていうか、妙に現実的っていうか」
 …ホント、美貌の宝の持ち腐れだよね。
 あるいは、彼のような男性を残念な人というのかもしれないと、世の女性たちが絶対に思いそうにもない贅沢なことを思う残念な女が、ここに一人。
 さすがに類にしても、クリスマスと誕生日くらいは覚えているようだが、それでもクリスマス当日は仕事だからと、なんとかスケジュールをやりくりしてくれた…のではなく、どうせなら空いてる日の方が空いてていいとかなんとかいう理由で半月も前倒しにしてしたクリスマスデートは、つくしの記憶にも新しい。
 しかもそれさえも、半日寝倒した彼のせいで、夕方からのスタートだった。
 …いいけどね。日頃忙しすぎて、かなり無理してるんだろうし。でも、あれって、クリスマスデートっていうの?
 果たして、それでクリスマスデートというのかは、甚だ疑問だったが、たしかに、半月前だろうがなんだろうが、クリスマスイルミネーションやデパートの装飾はクリスマス商戦で、しっかりクリスマス色にはなっていた。
 クリスマスが終わったとたんに正月仕様になっていたのは、まあ商売だから仕方がないことではある。
 「まあ、いいわ。じゃ、お風呂入ってきちゃうから、あんたは眠くなったら先に適当に寝てて?」 
 「了解」




*****




 いい匂いのするバスタブに浸かって、ホカホカになった体は入浴剤の効果もあってスベスベだ。
 お手軽なことだが、もうそれだけでつくしの気分は上々で、ほとんど真夜中に近い時間帯だというのに、ウキウキと幸せな気分にまだ全然眠い気がしない。
 すでにつくしの方はお正月休みに入っていて、類はそうではなかったけれど、それでも明日は午前休でのんびりできる予定だ。
 …さすがに、ソロソロ出よ
 かれこれ一時間以上、風呂に篭ってしまっていた。
 そっと足を忍ばせ、もしかしたらもう寝てしまっているかもしれない類を起こさないように、物音に気をつけて寝室へと入る。
 「あれ?まだ寝てなかったんだ」
 「ん、けっこう面白いの見つけちゃってさ」
 寝室に入ってきた彼女をチラッと見ただけで、再びスマートフォンに見入ってしまったベットの類の脇へと、つくしも腰を下ろす。
 「推理小説?」
 「ん、ミステリーかな」
 「推理小説とミステリー小説って違うの?」
 それほど興味が惹かれたわけではなかった。
 つくしも読書はするが、類には遠く及ばない。
 激務で日頃寝ることをこよなく愛するこの男が、いつの間に読書をしているかとも思うが、あんがい隙間時間など、気が付けばスマートフォンを取り出し、あるいは紙の本を手にしているのを目にする。
 司などは寸暇も惜しんで仕事に精を出していたが、類の中では仕事は仕事、プライベートはプライベートで完全に切り分けていて、仕事をプライベートに持ち込むということはほとんどなかった。
 …それでもまったくってわけにはいかないのが、この人の立場だよね。
 「ミステリーも推理小説の一種だね。推理小説の中に、ミステリーやサスペンス、スリラーなどのサブジャンルがあって、ホラーなんかもそうかな。でもホラーのメインジャンルが推理小説ではないように、サスペンスやスリラーが必ずしも推理小説とは限らない」
 「へっえ~」
 つくしも道明寺家で英才教育を施されていて、かなりの教養を持っている方だ。
 しかし、類のこうした教養とはまったく関係のない分野での雑学の広さを目の当たりにするたびに、本当に賢い人というのは彼のような人を言うのだろうと思わされる。
 知識はある程度誰でも努力すれば手に入れることができるものだが、彼のように直接自身の仕事や日常に関わりないことに関しても、広い分野に渡って物事を知るということは難しい。
 ましてや、類は暇がない人間なのに。
 「ミステリーとサスペンスの違いって?」
 「いろいろな意味合いが含まれているから、その質問を広義の意味で説明するのは難しいね。でもまあ推理小説に限って大まかに言えば、ミステリーは誰が犯人かとか、最後までわからない謎解きを楽しむストーリー。サスペンスは緊張感やスリルを楽しむためのストーリーだから最初から犯人がわかってるし、主眼は謎解きや仕掛けじゃない」
 ゆったりとした語調の類の美声での語りかけは、耳に心地良いだけでなく、つくしの心や気持ちにも効果を発揮する。
 気が付けば、伏し目がちにスマートフォンに視線を落としている類の美しい横顔にジッと見入っていた。
 「さらにミステリーの中にも本格派、時代……」
 ふいに類の言葉が途切れて、まるで彼女の視線に気がついたように彼女へと視線を向ける。
 ただ見つめ合う。
 互いの中にある感情や気持ち、望んでいることが、まるで自分のことのように理解できている気がした。
 ―――あなたの心が見える。
 ―――あなたの想い。
 ―――愛と真実。
 ―――私を信じてくれるあなたの心が。
 類の奏でてくれたあの曲の歌詞そのままに。
 「……いい?」
 「うん」




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