「愛してる、そばにいて」
第8章 明日に咲く花②

愛してる、そばにいて0641

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 「あれ?戒君じゃない。こんな時間に屋敷にいるだなんて、けっこう珍しくない?」
 それこそいるとは思わなかった人物が、ちょうど玄関を出ようとした彼の姿を見つけ、嬉しそうにイソイソと歩み寄ってくるのに、ムッと眉根を寄せる。
 「今、学校休みじゃないよね?」
 「俺は休み」
 「へぇ?なるほどぉ」
 あからさまなサボリ宣言だったが、言われた滋の方はそれでどうのと説教をしてくるという風情でもなく、ただそうかと頷くだけだ。
 …妙な女。
 「じゃ、今、時間ある?私、これからパーティに行くんだけど、良かったら戒君も同伴しない?」
 「俺が?」
 「うん、私のパートナーをしてよ?ここのところ司はほら、中東方面にかかりっきりになってて、アメリカにいてもすぐにトンボ返りで、付き合いの方は全然顔出せてないからさ。ちょうど良かったわ」
 「冗談。あんたにも男の秘書の一人や二人いるだろ?なんで俺みたいなガキ、連れ歩く必要があるんだよ?」
 「ええ~、そりゃあいるけどさぁ。戒君みたいに見目麗しい美青年や美男ってわけじゃないじゃない?戒くんなら目の保養にもなるし、女狐どもの羨望の眼差しが心地イイからさ。私としては、戒くんが一緒に来てくれた方が、ずっと嬉しいのよねぇ~」
 どこまで本気なのか、そんなことを言って、ニッコリ笑った滋が、彼の腕に手を絡ませようと手を伸ばしてくるのを、ケンモホロロに邪険に振り払う。
 「あや、パパだけじゃなく、まさかあんたまで女嫌いとか言わないわよね?」
 「厚かましい女が苦手なだけ」
 「ええっ?!その厚かましい女って、ま、まさか私のことだったりしないわよね?!」 
 もちろんあんたのことだよ、と独りごちて、それでも声には出さずに、戒は無言で滋に背を向けた。
 無言が肯定だ。
 「ちょっと、戒君!」
 今度は呼び止める声にも戒は振り返らない。
 それどころか元々呼び止められたことすらなかったかのように、返事も返さず、滋を置き去りにしてさっさと玄関へ向かってしまう。
 「ん、もうっ、ホント親子揃って愛想ないんだから!
はぁ~、まあ、嫌いと言われなかっただけ良しとしますけどぉ。でも、私が今から行くパーティって、ロングアイランドのお祖父様たちが懇意になさってる方が主催で、今夜はお祖母様もいらっしゃるから、気が向いたら戒君も後から来てよねぇ~!?」
 「……っ」
 ロングアイランドのーーーとは、言わずと知れた司の両親のことであり、祖母といえば楓のことだ。
 しかし、いまさら戻って前言を撤回するわけにもいかずに、戒は小さく舌打ちをして、待たせていた車に乗り込んだ。




*****




 「ここです」
 ジーナに一時期つけていたSPの一人が戒を案内してきたのは、巨大なトラックが犇めく運送会社の搬入口だった。
 そのうちの一台のトラックに、大の男ほどの大きさのある荷物を、数人の男たちが積み込んでいる場所へと足を進める。
 厳重に梱包された荷物は、見かけだけではなく相当な重量があるのだろう。
 秋のNYは一年のうちでももっとも過ごしやすく快適なシーズンであり、夕刻ともなればかなり涼しいというのに、荷を運ぶ筋肉ダルマのような男たちは、流れる汗で半袖のシャツをびっしょりと濡らしていた。
 その筋肉ダルマの男たちの一人、荷物を持ち上げようとかがみ込んでいる若い男の前に、戒が立つ。
 体付きこそ大人顔負けだが、顔立ちはまだ幼く、少年といってもおかしくはなかった。
 実際、彼の年齢はその顔立ちに相応如く、若すぎるほどに若いのだ。
 「……?」
 残照に照らされて、長く伸びた戒の影が少年の目の前を暗く翳らせる。
 不審げに少年―――ジーナの弟のジュリオが、顔を上げた。
 「戒」
 「もう夏休みは終わったぜ?」
 「は、よく言うぜ。お前の方こそ、学校なんてもんの存在は忘れちまってたんじゃねぇの?」
 「おい!さっさと運べよ。時間が押してるんだ」
 後ろからかかった叱咤の声に、ジュリオがリーダーらしい禿頭の男に頭を小さく下げ、小声で戒に囁きかける。
 「帰れよ。仕事中だからお前にかまけてらんない」
 ジュリオとしても、年齢を誤魔化して働いているだけに騒がれたくないのだろう。
 「いつ終わる?」
 「この便が終わって、もう一台搬入を手伝うから、一時間くらいか。そうしたら今日はもう終わりだけど…」
 「ふぅん?」
 チラッと戒が振り返った背後、彼の警護に立つSPがわずかに顔を顰め、それでも諦めたように小さくため息をついた。
 「俺にはパーカーもメイルズもついてる。別にどこに行こうって言うんでもない。3人もいらないだろ?」
 「坊ちゃんは、車の方に戻ってらしてください」
 「了解。ジュリオ来いよ」
 「はあ?」
 「あとは俺んとこのヤツが引き受けるから、今日は帰れるぜ?」
 荷担ぎ労働者たちにも劣らぬ筋骨隆々としたダークスーツの男が、懐から財布を取り出し、リーダーへと歩み寄るのを、ポカンと見送っているジュリオの片腕を掴んで、戒が引きずる。
 「ちょっと、待……」
 「しょうがねぇなぁ。ジュリオ、明日は8時から搬出だから遅れないで来いよ!」
 ジュリオの抗議の声を封じるように、リーダーの男の言葉が被った。
 「だってさ、行くぞ」
 ダークスーツの上着を脱ぎ、真っ白なワイシャツの袖まくりをして荷物を担ぐSPの姿を唖然と見やり、今度こそジュリオは戒に引きずられて車へと向かった。




*****




 「コーラでも飲むか?」
 「……いいのかよ、あの人。あの人たちってああいう仕事する為に、お前のオヤジに雇われてるわけじゃねぇだろ?」
 ジュリオの遠回しな非難を無視して、戒は淡々と自分のペースで推し進めて行く。
 「それともオレンジジュースの方がいいか?」
 「コーラでいいよ!」
 リムジンの後部座席のミニバーから取り出したコーラを、戒がオレンジジュースと入れ替えてしまう前に、ジュリオが慌ててひったくる。
 「お前はまさか、オレンジジュース飲むのか?」
 「まさか」
 戒はジュース類ではなく、ミネラルウォーターのペットボトルを取り出し、キャップを捻って口に含んだ。
 ジュリオが鼻を鳴らす。
 「なに?」
 「こんな立派な車に乗って、お坊ちゃまはタダの水を飲むのかよ?」
 「はあ?じゃあ、何飲むんだよ?俺が何を飲もうと俺の勝手だろ?」
 肩を竦め、ジュリオの呆れた視線を無視して、戒は水を飲む。
 「で、俺を拉致ったりして、いったい俺に何の用だよ?わざわざこんなところにまで迎えに来なくても、戒、お前がちゃんと学校に来ればそれで済む話だろ?」




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