「愛してる、そばにいて」
第8章 明日に咲く花②

愛してる、そばにいて0636

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 「類」
 「る、類」
 驚くつくしをよそにニッコリと笑って、平然と彼女の肩を抱き寄せ、類が彼女の顔を間近で覗き込んでくる。
 「ちょっ、顔近いって」
 「牧野、けっこう飲んだの?」
 「ワイン2杯だけだよ」
 「ダメじゃん。なにげに酒弱いんだから、俺のいないところで男と二人で飲んで、お持ち帰りされちゃったらどうするわけ?」
 「いやいやいや」
 「…しねぇよ」
 親友相手に思いっきり失礼な疑惑をかけて、つくしを窘める。
 「美作さんが、私なんか相手に何するって言うのよ。そうじゃなくってね、こんなホテルの往来で、こんなにくっつかないでって」
 通行人の視線もだが、間近で生温く苦笑しているあきらの視線がかなり痛い。
 「気にしなくて平気」
 「いや、普通気になるわよ!」
 「痴話喧嘩はうちでやれよ、まったく」
 「うぐ」
 挙句にあきらに忠告までされてしまい、つくしが呻く。
 「しっかし、類、お前、マジで来たのか」
 「呼んだのお前でしょ?」
 「俺はメシ食いに来るかって言ったんだけど?忙しいからメシを一緒するのは無理だとか俺の誘いを断りやがったくせに、女の迎えには来るのかよ?」
 「お前だったら来ないわけ?」
 あきら的にはいろいろ言いたいこともあったのだろうが、肩を竦めて仕方なさそうに同意している。
 「まあ、迎えに来てって、甘えられたら来ないわけにはいかねぇけどさ」
 「……私、迎えに来てなんて、頼んでないんですけど?」
 ましてや甘えて彼氏に…とか、若い頃の彼女にしても到底キャラじゃない。
 第一、一応は桜子にディナーに誘われて、ホテルのレストランで食事をしてくることは類にも言ってはあったが、場所までは一々報告してはいなかった。
 「俺が迎えに来なかったら、電車で帰ってくるでしょ?」
 読まれている。
 「SPに声かけて送迎されてくれるなら、俺も誰かさんの金魚のフンの真似事しなくてもいいんだけどね」
 「あう」
 そう言われてしまうと、つくしとしても申し訳ない気になってしまう。
 彼女がSPに送迎を頼もうと頼まざると、目立たぬようにではあっても類には警護を付けられてしまっているのだし、結局は彼らもつくしの後をついてまわらなけらばならないのは同じことなのだ。
 …か、かえって手間かけさせてるのよね。
 そしてなにより、忙しい類にこうして無駄な真似をさせてしまっている。
 「ごめんなさい」
 「まあ、いいけど」
 素直に謝ったつくしに類はちょっと驚いたような顔をして、だが、やや苦笑い気味ではあっても、すぐに笑って許してくれる。
 「ちょっとは、久しぶりに帰国したあきらの顔を見るのもいいかと思って出向いて来たのもあるから、そんなに申し訳なさそうな顔しなくてもいいよ」
 「……類」
 …優しい。
 思わずジーンと感動してしまっているつくしの真横で、そんな二人を黙って見守っていたあきらが呆れ顔でボヤく。
 「ちょっとね。まさにお前にとって俺に会うことは、牧野を迎えに来るうちの爪先ほどもなさそうなちょっとだよな」
 もちろん類のセリフが、つくしへの気遣いから出た言葉であることはあきらにも伝わっていただろうが、呆れたようなその声音の中に彼の驚きが滲んでいた。
 「何あきら、お前、そんなに俺に会いたかったの?」
 「……そう言われると、そうでもないかも?」
 「だろ?そんなに熱烈に会いたかったとか、イイ年した大の男に言われるのも、俺、気味悪いだけだし」
 「お前な」
 「類」
 あいかわらず友達甲斐のない類のあまりな言い草に、さすがに彼らの友情に関わりのないつくしでさえ、あきらに同情したくなってくる。
 …まあ、西門さんに対しても、たいがいひどいものね、この人。
 「第一、お前とはこの前、司の結婚式で会ったばかりじゃん?」
 「…まぁな」
 「ああ、そう言えばそうよね」
 言われてみればそうだったと、つくしも思い出した。
 「牧野だって、俺らくらいの年齢の男が、そんなにガッツリと友愛温めてたら、キモいとか思うだろ?」
 「キモいとまでは言わないけど」
 「え~、カノジョや奥さんそっちのけで、厚っ苦しく男同士で集まってたらウザくない?」 
 「…まあ、それはそうかも」
 あまりに当たり前に聞かれてしまったので、つくしもついつい正直に同意して、あきらの引き攣った顔に出会って慌てた。
 「あ、ごめん、美作さん」
 「…だから、別に俺としても、そんなに熱烈にこいつとの友愛温めてぇとか思ってねぇって」
 「は、はははは」
 「そ?なら、良かった。じゃ、あきら、俺たちもう帰るから」
 類がつくしの肩を抱いたまま、「またね」も言わずに、あっさりあきらに背を向け踵を返す。
 「ああ、そうだ!類っ、来週なら総二郎もスケジュール空けられるっつーし、お前も空けとけよ?!」
 「……今、言ったばかりなのに」
 ボヤく言葉に、思わずつくしも類と顔を見合わせる。
 が、
 「アホ!打ち合わせだ打ち合わせっ。忘れてるんじゃねぇよ!完全に仕事の話だ。今度お前んとことウチとで、コラボする事業計画に総二郎んとこも噛ませるから、あらかじめ俺ら三人で、個人レベルのすり合わせしとくって話をしてただろうが!?」




*****




 「牧野さん、今日はお弁当じゃないの?」
 ふわわわと、類ばりのあくびをしかけて、かけられた同僚の声に慌ててあくびを噛み消す。
 「…ん、実は今日夢見が悪くて、寝坊しちゃって」
 「ああ。この季節寝苦しいものね。かといって、冷房つけっぱなしで寝るには、今度は冷えちゃうし」
 「…まあ」
 類所有のマンションは、超高級マンションの名に恥じず空調関係も病院ばりに完璧で、季節を問わず室温が苦になることはなかったが、いまだにそういう日―――悪夢を見て飛び起きてしまったり、眠れない日があった。
 特に、
 …今日明日は、類が九州に出張で家にいないし。
 抱きしめて安心をくれる人の不在が身に堪える。
 一人寝ができないなんて子供じゃあるまいにと、我ながらなんとも居た堪れない思いに、一人で勝手に恥じ入ってしまう。
 「おはようございます」
 「あ、おはようございます」
 昼日中だが、昼夜問わずの仕事にありがちな時間感覚のない挨拶に挨拶を返して、つくしが首を傾げた。
 ちょうど食堂へと向かう途中、交代の看護師の出勤に出くわして挨拶をされたのだが、そのうちの幾人かは見覚えのない人物であることに気がついたのだ。
 「あれ?今の人って」




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