「愛してる、そばにいて」
第8章 明日に咲く花②

愛してる、そばにいて0633

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 …まったく何考えてるのよ、桜子ったら!
 「なんか、悪かったな」
 「はい?」
 レストランを出てゆく桜子の背を内心文句タラタラで見送り、ため息一つで再びテーブルに向かい直ったつくしへと、開口一番あきらが謝罪してくる。
 苦笑しているその顔には、先ほどの戸惑いはすでに拭い去られ、気遣いだけがある。
 あきらは元々社交的で、わりに誰とでも会話を弾ませることのできる男だったし、つくしにしてみても、それほどイヤな相手なわけではない。
 桜子の不審な行動の理由を別にすれば、ごく普通に昔馴染みと旧交を懐かしむためのディナーだと思えば良いのかもしれない。
 …特に懐かしいって感じでもないし、旧交ってほどのもんでもないけどさ。
 辛辣に思う。
 …ま、幸い美作さんは目にも美味しい美男だしねぇ。お腹だけでなく、目にも保養だと思えばいっかぁ。
 もっとも目の保養云々で言うなら、つくしの場合、あきらバリの美男を毎日朝夕問わず堪能しているので、ややありがたみも薄れてはいる。
 「本当は俺とこうして会うのも、あんまり嬉しいことじゃないんだろ?」
 話だけ聞いていると、いかにも自信過剰な俺様御曹司の自惚れたセリフにも聞こえるが、あきらの言いたいことはつくしにもわかった。
 そうでなくても、彼が元々、どこかつくしに対して疚しさのようなものを抱いているらしいことは、以前から彼女も感じていたのだ。
 「たしかに嬉しいとは言いませんけど」
 「……………」
 「でも、別にイヤじゃないですよ。…美作さんが道明寺の関係者という意味で、私にそう言ってるんだったら、今更ですから」
 「今更?」
 怪訝に問い返してくるあきらに、小さく苦笑する。
 「だって、類自体がどっぷり道明寺の関係者じゃないですか」
 「あ、ああ…まあ、それもそうか」
 「最近では、西門さんともそれなりによく会ってますし」
 「へぇ?」
 もちろん総二郎との付き合いは、あくまでも類を介してのもので、つくし個人のものではない。
 しかしそれでも、今では顔を合わせれば、けっこう普通に雑談をするくらいの仲にはなっている。
 学生時代は、やたらとフェロモンを撒き散らしているような、つくしとはまるで別世界に生きているような総二郎は、いくら社交的でも近寄りがたい存在だった。
 まだしも物柔らかく、温厚なあきらの方が馴染みやすいタイプだったが、人生とはわからないものだ。
 「それに桜子とも付き合いを続けている以上、美作さんともいずれ、こうして会う機会もあると思っていましたから」
 ただし、さすがに桜子を抜きにして、二人っきりで話す機会があるとまでは思っていなかったが。
 「それより私の方こそ、お邪魔しちゃってごめんなさい」
 「ん?」
 「本当は、っていうか、普通に今日は、桜子とデートする予定だったんですよね?」
 「…ああ」
 ただでさえ、普段は遠距離恋愛状態のあきらと桜子なのだ。
 その貴重な機会を、つくしが邪魔したようなものだった。
 たとえ桜子が望んだにせよ、申し訳なく思う。
 「いや、あいつがどうせ無理に誘ったんだろ?」
 「無理に…は、まあ」
 「それとも、俺と会うことを黙っていたか」
 「………」
 事の次第の大半は、承知されてしまっているらしい。
 「あげく…俺を押し付けられて、牧野もいい迷惑だったな」
 「………いえ」
 否定できないが、かと言って、ここで肯定するわけにもいかないだろう。
 そんな戸惑いもあきらかな彼女の顔を見るあきらの顔に、わずかに浮かんだのは自嘲だったか。
 「そのぅ、よけいなお節介というか、詮索だったら申し訳ないんですけど。もしかして、桜子と…えっと、喧嘩してたりするんですか?」
 「喧嘩?」 
 「あ~、そこまでいかなくても、ちょっと気不味くなってるとか?」
 踏み込み過ぎかと思いつつ、前々から桜子とあきらのことは気になっていたのだ。
 まだ半分ほど残っていたワインのグラスを手に取り、グイッとあきらが一気に飲み干した。
 それでも顔色一つ変わらないのはさすがで、酒が嫌いなわけではないのに弱いつくしにしてみれば羨ましい限りだ。
 「ま、俺が先に類とのことで、詮索しまくったわけだしな」
 「……………」
 「喧嘩はしてないよ」
 「そうですか」
 「と、いうか、喧嘩にもならない、が正解かな」
 今度こそハッキリとした自嘲を浮かべ、あきらは小さく息を吐いた。
 「牧野の言うとおり、今日は桜子と久しぶりのデートの予定だったし…食事の後も、このホテルに泊まって、久しぶりに二人の時間を過ごす予定だったんだ」
 「………………」
 「だけど、どうもあいつに避けられてるっていうのは、俺の勘違いじゃないらしい」
 あきらの苦しげな顔は、彼が桜子に対して、ただ家の決めた婚約者への通り一遍なものではない感情を持っていることをあきらかにしていた。
 鈍い彼女にすら、彼の気持ちが透けて見える。
 そして、桜子の気持ちも。
 それなのに、二人がすれ違ってしまっているのは、なぜなのだ?
 人は他人のことはよくわかるのに、どうして自分のことになると、まるで盲のように何も見えなくなってしまうのだろう。
 「ちょうどいいって言ったらなんだけど、…今日、牧野が来ると聞いて、類とのこととは別に、お前に聞いてみたいことがあったんだ」
 意外なあきらの言葉に、つくしが怪訝に首を傾げる。
 「聞きたいこと…ですか?」
 「ああ。……先日司が結婚して、総二郎の結婚話も近々具体的なものになる。おそらく来年には結婚式、入籍という運びになるだろう」
 司のことはともかくとして、総二郎の結婚話ももうそこまで進んでいたのかと、一知人として驚かされた。
 …でもまあ、西門さんももう30才も半ばだしね。
 人のことは言えないのだが。
 「当然、俺の方も、一日も早い結婚を…と、急かされてる。元々、かなり以前から周囲にプッシュされてはいたんだ」
 意外ではない。
 つくしも他人事ながら、どうしてあきらと桜子は結婚しないのかと不思議に思っていたくらいなのだ。
 「けど、桜子が渋ってる。…まだハッキリとは切り出されてはいないが、あいつは俺との結婚を、御破算にしたがってるんじゃないか?」




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