「愛してる、そばにいて」
第8章 明日に咲く花②

愛してる、そばにいて0632

 ←愛してる、そばにいて0631 →愛してる、そばにいて0633
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ
【君を愛するために】オススメ作品!?
ランキングもよろ(・ω-人)
ブログランキング・にほんブログ村へ
いつも応援ありがとう♪
**************************************

 「それも他の女が相手だって言うならともかく、司の……親友の元妻で、学生時代から因縁浅からぬ間柄のお前と付き合ってるくらいだ。いくらヤツが無神経な男だと言っても、そこら辺は生半可な気持ちでお前と関わってるはずもないだろ?」
 いきなり突かれた核心。
 「そんな顔するな。だからって、お前に何かいちゃもんつけようとか、そういうつもりで聞いたわけじゃない」
 「…あ。いや…その」
 つくしにしてみても、あきらに隠さなければならない理由などないのだ。
 しかし反面、類のプロポーズも保留にしている今、いくら彼の親友だと言っても、彼女からあきらに報告できる何があるわけでもなかった。
 「なんて言うか……」
 何かを取り繕うつもりではなかったけれど、心構えがあったとは言い難い。
 「……えっと」
 言葉を探して視線を彷徨わせては、口を開き、言葉を詰まらせることを繰り返しているつくしの様子に、あきらの方が気を使って引いた。
 「まいったな、そんなに困らせたか?」
 「その…そうじゃないん、ですけど、なんて言っていいのか、わからなくて。美作さんは、類からは、私たちのことをなんて?」
 「ん、ダチとはいえ、あいつは自分からわざわざ何か言ってくるようなヤツじゃねぇからな。ガキの頃とは違って、俺もそうあいつと頻繁に連絡取り合ってるわけじゃねぇし…」
 「……………何も聞いてないってこと、ですか?」
 「いや、この前、…あ~、ちょっとヤツとニューヨークで会う機会があったから、そん時、ちょっとそんな話をしたけどな」
 NYで会う機会。
 あきらは言葉を濁したが、それが司の結婚式のことだということは、もちろんつくしにも察せられた。
 だから、むしろ逆に何食わなさを装って、彼女の方から口にしてしまうことにする。
 「NYって、道明寺の結婚式の時のことですよね?」
 「知ってたか?」
 「ええ」
 「まあ、そりゃあそうか。あの時にはもう、総二郎から牧野が類のところにいるようなことは聞いていたからな。さすがに、司や…その、関係者の前ではそういった話はできなかったから、NY最後の夜に、時間できて三人でメシ食いに行った時にな」
 「ああ。和食食べに行ったんでしたっけ?」
 おや、と、あきらが驚いたように片眉をあげる。
 それに気が付いて、つくしが首を傾げた。
 「なんですか?」
 「いや、類のヤツ、そんなことも話してるのかと思ってな」
 「そんなこと?」
 今度は逆につくしの方が怪訝に聞き返す。
 何を類が話していると言って、あきらが驚いているのかわからなかったのだ。
 「NYで何食ったかとか、どこ行ったかとか、もしかして、あいつけっこう事細やかに報告してたりするのか?」
 「うーん、報告…ってわけじゃないですけど、普通に雑談の範囲では話しますよ。でも、そんなの普通でしょ?別に…え~、付き合ってたり?一緒に暮らしてたりしなくたって、遠方に出張に行ってたって言えば、何食べたかとか、どんなものが美味しかったとか、そういう話、美作さんも桜子やご家族としません?」
 「…普通、ね。まあ、俺のことはともかくとして、その普通のことを一番しねぇのが、類なんだぜ?ヤツが飯の話だの、何したのだの、話してんのなんか聞いたことねぇ。そもそもこっちが水を向けて、どうにかこうにか気が向けば返事くらいするが、間違っても自分から何か話すようなタイプじゃねぇだろ?」
 言われてみればそうか。
 類がつくしとまともに話すようになったのは、一緒に暮らすようになってからだ。
 それ以前―――高校時代も類とはそれなりに会話することもあったが、ポツリポツリと、彼の気が向いた時だけのこと。
 もちろん、そこには彼女の類への遠慮もあった。
 …憧れの王子様だったし。
 今もそうした気持ちは残ってはいる。
 それでも一緒に暮らしていて、夢ばかりも見ていられない。
 「ああ、まあ、それはそうかも。でも、類も人間ですから、それこそ気が向けばけっこういろんなことを話してくれますよ?」
 つくしも以前は類に対して、あきらと似たような感慨を持っていたのだから、彼の驚いている理由も理解できなくもなかった。
 「いろいろねぇ。……まあ、お前は、あの司の女房を普通に?してた女だもんな……っと」
 最後のセリフを妙にシミジミと呟き、つくしの視線の意味をどう誤解したのか、謝罪されてしまう。
 「悪い」
 「いえ」
 桜子がツーカーで話していないというのなら、現在のあきらの認識では、今もつくしは司を毛嫌いしているままなのだろうから、おそらくそこからくる気遣いなのだろう。
 「その…道明寺家への気兼ねがあることも確かなんですけど、私的には類のおウチのこともありますし、今のところ他に言えることがないんです」
 「でも、付き合ってんだろ?」
 「…ええ」
 それは否定できない。
 以前のように単なる雇用関係の同居ではなく、現在はその雇用関係を解除し、まっとうに?同棲生活を送っているのだから。
 「私個人としては、類の親友である美作さんに何かを隠したい、隠さなければならないこととかって特にないんですけど、でもやっぱり、あくまでも美作さんや西門さんは私ではなく類の友人ですから。何かを美作さんたちに話すのなら類から話すべきで、彼を通り過ぎて、私から何かを言うことはできません」
 一緒に住んでいることまで知られているのだ。
 それ以上の何も、報告できるべき進展など何一つありはしなかった。
 「生真面目っつーか、なんつーか。………意外に手強いな、お前も」
 「……………」
 「まあ類だったら、お節介、の一言で一刀両断して終わりだっただろうからな。それに比べれば、お前はずいぶんマシだが」
 ありそうなことだ。
 気まずい沈黙が落ちる。
 しかし、そう時間が経つこともなく、先ほど電話をするために席を立ったばかりの桜子が席へと戻り、だが、そのまま椅子に座ることなく申し訳なさそうに謝罪する。
 「すみません、実は、これから職場の方に急に戻らなくてはいけなくなってしまって」
 「へっ?」
 「……………」
 あらかた食事は終えているとはいえ、それでもまだフルコースのデザートにまでに到達していない。
 「私のデザートは先輩に贈呈いたします」
 「…いや、そういう問題じゃないでしょ?」
 それなら、自分も、…と立ち上がりかけたつくしを片手で制して、桜子が押し留める。
 「先輩は、あきらさんに付き合って差し上げてください」
 「いや、そんな、あんたが帰るなら、私も帰るよ」
 当然だ。
 だがしかし、
 「いえ。こちらのホテルは、美作商事も関わってのリニューアルオープンなんです。今日こちらに来たのも、単なるディナーというよりは、あきらさんにとっては仕事も兼ねているんですよ。なので、食事の後にこちらの総支配人が挨拶に来ることになっていますし、私一人ならばともかくとして、誰も彼も食事の途中に帰ってしまったら、料理に何か不備があったのではと、クレームをつけたようなカタチになってしまいます。……ね?あきらさん」
 「……まあ」
 桜子に同意を求められてあきらも頷くものの、戸惑ったようなその顔が、彼にとっても予想外なことだったのだと物語っている。
 そうまで言われてしまえば、お人好しなつくしには無理を押してまで帰ることができなかった。
 桜子がつくしの性格を見越してそう言ったかはともかくとして、たしかによほどの理由がないのに、食事の途中で退席してはあきらに対しても失礼なことだろう。
 しかし、それにしても……、
 ……桜子ぉ。
 恨めしい気持ちは否めない。
 あきらはたしかに話しやすい男性ではあるが、あくまでも桜子の婚約者であり、類の親友であって、つくしの友人ではないのだ。
 むしろあきらもまたつくしにとっては類同様、高校時代にいろいろあった因縁浅からぬ人物でもある。
 …恨んでるとか、そういうわけじゃないけど。
 「ここのレストランの売りは、本場仕込みのシェフの料理だけでなく、ここのパティシエの絶品デザートもなんですよ。あとで味の感想を伺いますから、私のことは気にせず、先輩はゆっくり残りのデザートも堪能なさってください」




web拍手 by FC2

関連記事


総もくじ 3kaku_s_L.png イベント
総もくじ 3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ 3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ 3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ 3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ 3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 倉庫
総もくじ  3kaku_s_L.png イベント
総もくじ  3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ  3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ  3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話+
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ  3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話^
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ  3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ストック
もくじ  3kaku_s_L.png R短編集
もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ R
もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛の品格 R
もくじ  3kaku_s_L.png 愛妻生活 R
  • 【愛してる、そばにいて0631】へ
  • 【愛してる、そばにいて0633】へ

~ Comment ~

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【愛してる、そばにいて0631】へ
  • 【愛してる、そばにいて0633】へ
にほんブログ村 小説ブログへ💛
スポンサーリンク

┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘
女性に大人気!ビジネスから恋愛相談まで全部500円~!  
価格満足度97%、日本最大級のココナラに今すぐ登録!!

┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘