「愛してる、そばにいて」
第8章 明日に咲く花②

愛してる、そばにいて0631

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 あきらが一息ついたところで、カフェを出て場所を移し、3人でホテルのレストランへと移動した。
 最近、交代したシェフが、フランスの本場で修行した人物だとかで、桜子からディナーに誘われたのだが、実は元々はあきらと二人で来る予定だったらしい。
 それをつくしが聞いたのは待ち合わせたカフェに着いてからで、仕事帰りに寄るというあきらがやって来る前に退散しようとしたものの、すでにあきらにも了承済みだからと、結局逃げることができなくなってしまっていた。
 …はぁ、こんなことなら一応類も誘うんだった。
 類はまだ仕事で会社だが、親友のあきらがいるとなれば、あるいは仕事を切り上げて来てくれたかもしれないのにと思う。
 とはいえ、たしかにデートのお邪魔虫でいるのは本意ではないが、それでもさすがに居づらいという理由だけで、忙しい彼を一々呼び出すのも躊躇する。
 実際、つくしが来ると聞いて、こちらに向かう前に、あきらも一応類に打診しようとしたらしいのだが、会議中で連絡がつかなかったのだとか。
 どうやらあきらにしても、つくしが来ることを知っていたとは言っても、待ち合わせのかなり直前に聞かされたのではないだろうか。
 つくし的にはここでも長居をするつもりではなく、食事をしたら早々に帰るつもりだったのに、気がつけば、あきらや桜子との会話に自然に溶け込んでいる。
 総二郎ほどではないが、あきらもやはり社交的なだけあってかなり喋る男で、高校時代以来ほとんど接触のなかったつくしに対しても、あれこれと何かと話しかけてくれて、カップルの間に割って入っている身の置き所のなさを感じさせられるようなことがなかった。
 …この人の場合、特におしゃべりって感じではないんだけどね。
 自分自身がペラペラと喋るというよりは、つくしと桜子、二人の女同士の会話の合間と合間に、適度に口を挟んで話題を広げてくれているという感じだ。
 「しかし、ある程度話には聞いていたが、まさか牧野と類がそんなことになっていたとはな」
 そうこうしているうちに、当たり障りのない様子見の単なる雑談から、いつの間にか互いの近況や身辺の話へと移行していた。
 「桜子、美作さんに話してたの?」
 咎めるつもりはなかったが、それでも女同士の話を、婚約者とはいえツーカーで話されてしまうのは、あまり気分のいい話ではない。
 「まさか。花沢さんのところでメイドをされていることは、少し前から伺ってましたけど、私だって詳しい話を先輩から伺ったのはつい先日のことじゃないですか。それに、いくらあきらさんと婚約してるからって、私は何から何まであきらさんに報告してるわけじゃありませんよ。壊れた水道の蛇口じゃあるまいし、私だって友人との仁義くらい承知しています」
 憤慨したように抗議されて、つくしも素直に謝罪する。
 「ごめん。そんなつもりじゃなかったんだけど」
 しかし、中々辛辣なセリフでの一刀両断だ。
 それを当の婚約者の前で言うのもどうかと、つい他人事なつくしの方が気兼ねしてあきらを窺ってしまった。
 隠し事上等とスバッと言われてしまったあきらの方は、やはり男として余裕も自信もあるのだろう。
 そんな桜子のあけすけな物言いにも苦笑するだけで、特に気を悪くした風でもない。
 「桜子からじゃないよ」
 「じゃあ?」
 「この間、総二郎からちょっとな。それだって、牧野と類が付き合ってるってことを聞いただけで、まさか1年以上も前から一緒に暮らしてただなんて、今聞くまで知らなかった話だぞ?」
 「まあ、それは」
 一年前と現在では、まるで事情が違う話だ。
 とりあえず‘壊れた水道の蛇口’だったのは桜子ではなく、やはり総二郎の方だったかと、全然意外じゃないことを再確認して、そうならそうで、また別のことが気になってしまう。
 「えっと…その」
 言葉を選んで逡巡し、それでもやはりどうしても気になって仕方がなかった。
 …別に疚しいことなわけじゃないんだから。
 「もしかして、そのこと、私と類が、っていうの、西門さん、美作さんにだけじゃなく、つか……道明寺にも話してたりします?」
 …あるいは、あきらから司に話したか。
 桜子とあきらがチラリと顔を見合わせた。
 だが、この場合、個人的に司と親しいのは桜子ではない。
 つくしたちのことを話す機会があるとすれば、あきらや総二郎の方だろう。
 「いや、どうだろ。少なくても俺から司には話してないし、俺が総二郎からお前たちのことを聞いたのも、電話でだったからな。話してる時に、何かのついでって感じにだ」
 「……そう、ですか」
 あきらが話していないにしろ、総二郎が話してしまっている可能性は大だ。
 けれど、あきらがそのつくしの危惧を否定する。
 「総二郎の口が軽いのは確かだが、あいつもあれで、言うべきことと言うべきではないことの区別くらいはちゃんとつけてるさ」
 「………………」
 「もうガキじゃねぇんだし?」
 よほど疑わしげな顔をしていたのか、ぷっと噴出してあきらが念を押す。
 そんな彼の冗談に気持ちを解され、自然つくしの顔にも小さな笑みが浮かんだ。
 「まあ、そうですよね」
 「……司に知られたくないのか?」
 何を、とは当然いわずもがなな話だ。
 桜子はただ二人の会話を、まるで壁の花か影でもあるかのように、ひっそりと気配を消して聞いているだけで、自分は口を挟もうとはしなかった。
 それが彼女の気遣いでもあるのだろうが、微妙にあきらから反らされた視線になぜか、つくしはそれだけではないような気がしていた。
 …桜子?
 「牧野?」
 怪訝に問いかけられる。
 「あ、ごめんなさい。…そうですね、別にそういうわけじゃないっていうか、もう今更道明寺には、私のことなんて関係ない話だとは思うんですけど」
 まるで関係のない人間とのことでさえ、やはり気兼ねするところがないわけではないというのに、よりによって類は司の親友だ。
 自分の元妻が親友と付き合っているとなっては、さすがの司にしても気分の良い話ではないだろうと思う。
 ましてや只事ならぬ因縁と事情を持つ元妻だ。
 司にしても彼女の口が軽いとは思ってはいまいが、それにしても恋人や夫婦になれば、それなりに互いのことを話すのは当然のことで、もし彼がつくしたちのことを知ってしまったら、何を類に喋られてしまうかと、やはり内心では心穏やかではいられなくなってしまうのではないだろうか?
 …そんなことを、気にするようなヤツでもないか。
 けれど、つくしにしてみても、実際に類には相当なことまで話してしまっていた。
 場合によっては、それが司の命取りになることもあるかもしれない。
 類がその気ならば、つくしを前面に立て、あるいは司を失脚させる火種とできるのだから。
 もちろん、類がそんなことをする男ではないと信じているからこそ話せたのだし、司も信じているとは思うのだが。
 「でも、そう、やっぱり気になる、か、な」
 「まあ、普通はそうだよな」
 F4の一人のわりには、わりに真っ当な感性の持ち主のあきらも同意してくれる。
 「けど、総二郎が話してなくても、たぶん司のヤツ知ってるぞ」
 「え?」
 すっかり冷めてしまった紅茶を覗き込んでいたつくしが、驚いて顔を上げる。
 あきらは困ったような顔をしていたが、どうやらたぶんというよりは確信しているようだ。
 「牧野が知ってるか俺も知らねぇけど、日本で最近、類の記事が出ててな。その記事に相手の女性の写真も載ってて、かなり大まかだが経歴も出ちまってる。俺も総二郎から牧野とのことを聞いていなかったら、またいつものガセか、そろそろヤツも年貢の納め時かくらいで、相手のことまではわからなかっただろうが、…司なら、案外わかんじゃねぇの?」
 雑誌に載っていた写真は、類の方はともかく、一般人であるつくしの顔にはモザイクが入っていて、ほとんどシルエットに近かった。
 体格から…といっても、司と最後に会った時から、すでにもう何年も時が経っている。 ―――あの遠目にすれ違った、ニューヨークの空港での出会いを除けば。
 もちろん調べようと思えば、彼にできないことなどなかっただろうけれど。
 「そっか、そうですね。……そうかもしれない」
 「……………」
 「……………」
 話が途切れて、どう次の話題を切り出すか互いに言いあぐねる。
 「あの…」
 「類…」
 あきらとつくしの言葉が被って、だが、その合間に、携帯電話のバイブの音が割り入った。
 ブーッ、ブーッ、ブーッ。
 咄嗟につくしとあきら、桜子の三者三様に、自身のバッグやジャケットのポケットを探った。
 「あ、すみません、私です」
 桜子が声をあげる。
 どうやら仕事関係の電話だったようで、片手を上げ、つくしとあきらに断りを入れながら、携帯電話を耳にあて、桜子がそのまま席を立つ。
 それを見るともなく見送って、小さく肩で息を吐き、つくしはワインに手を伸ばした。
 「それで?類とのことは、どこまで話が進んでるんだ?」
 「え?」
 不意打ちではなかった。
 それでもやはり、つくしにしてみれば、サラリと答えられる問いかけでもない。
 「お互いもういいかげん、イイ年齢だよな?ましてや、あの類のことだ。まさか将来のことを何も考えず、ただ互いに今を気楽に楽しんでればいいって、そういうわけじゃないんだろ?」




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