「愛してる、そばにいて」
第8章 明日に咲く花①

愛してる、そばにいて0620

 ←愛してる、そばにいて0619 →愛してる、そばにいて0621
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ
【君を愛するために】オススメ作品!?
ランキングもよろ(・ω-人)
ブログランキング・にほんブログ村へ
いつも応援ありがとう♪
**************************************

 ドクドクと心臓の鼓動の音が、外にまで聞こえてしまいそうな気がする。
 …うひ~、なんでいまさら。
 さんざん一緒に添い寝をしてきて、一年以上。
 けれど、そこはやはり単なる添い寝と、一線を超えてしまったこととの格差なのか。
 そんなつくしとは真逆に、やはり類は宇宙人。
 まるで意識をしていないらしく、つくしがガチガチに緊張に体を強ばらせながらベッドに入って、隣に横たわっても、平然と読書を続けていらっしゃる。
 …単なる男女の差?
 それとももはや、女として見られていないだけなのかもしれない。
 …って、まだ一回しかシてないわよ!
 いやいやいや。
 「まあさ、出てしまったものは仕方がないよ」
 「え?」
 「さっきの話」
 「あ、ああ」
 大事なことだというのに、久しぶりの王子様のご帰還→ベットに同衾という一大事?の前に、すっかり失念してしまっていた。
 …私って。
 幼少時の家庭環境や過去の経験のせいにするつもりはなかったが、昔からどうも喉元過ぎれば…というところがあって、一々悩み事を持ち越していては、とてもではないが気持ちの健康を保ってこれなかったということもある。
 「俺は元々、あんたとの関係を隠すつもりはないし、いずれはどうしても俺の立場上、ある程度のことは表に出ざる得ないけど…そこは、先にごめんと謝っておくね」
 「………うん」
 覚悟ができている、とは完全には言えない。
 けれど、わかっていて、それでも類と共にいることを選んだのは自分なのだ。
 できるだけ戒や陽太、…そして司に自分の‘今’を知られたくないと思うことは、卑怯なことだろうか。
 そんなことを思うことこそ、類に対しても失礼なことだとわかっているのに。
 何も恥じることはない。
 …でも、なんだよね。
 戒や陽太の母親である自分と、幸福を求める一人の女である自分との齟齬が、上手く埋められない。
 それにしても―――、
 2度目(実際には3度だが)のプロポーズから、次の?予告をされて随分経つのだが、あれから一向にそうした申し出をしてこない類の真意はどうなのだろう。
 諦めたとか、もうその気がなくなった、というわけではなさそうなのだが。
 かといって、今再びまた類からプロポーズをされたとしても、色好い返事を返すことのできない優柔不断な自分を、つくしは自覚していた。
 それでももう二度と、孤独や焦燥から、安易な結婚はしないと決意していたから。
 …類なら待っていてくれる。
 そうは思っているのだけれど。
 飄々と柳に風と、ただ彼女の心が決まるのを待っていてくれているように見える類の本心が、知りたいと思ってしまう。
 つくしの隣で、いまだベッドヘッドを背もたれがわりに本を読んでいる類の秀麗な横顔を、ついジィ~ッと見入ってしまっていたらしい。
 「ん、なに?」
 「え?あ…いや、疲れたって言ってたのに、まだ寝ないのかな、って」
 「もう寝る?」
 「私?」
 「うん」
 尋ねたのはつくしの方なのに、逆に質問で返され、うーんと悩んでしまう。
 …別に悩むことなんてないけど。
 今の類の言葉の意図は、誘いなのだろうか。
 あるいは、単にそのままの意味で、寝たければ寝れば?という確認でしかないのかと軽く頭を悩ませる。
 …もしかして、私ったら妙に意識しすぎなの?
 類と関係を持ったのは、かれこれ一ヶ月近く前、彼がNYへと司の結婚式に旅立つ少し前のこと。
 しかし…それっきり、またも二人は添い寝関係に戻ってしまったかのように、そうした時間を持っていなかった。
 チャンスはあったのだ。
 と、いうか同衾しているのだから、いつでも万年あるとも言えるし、いきなり彼女から誘ってそんな関係になってしまった二人だったのだが。
 …ま、まさか、私として全然よくなかったとか?
 類との初めては、つくし的には穏やかで優しい…幸せな時間だったと思う。
 しかし、反面、今思っても、あれはかなり勢いとヤケクソじみた衝動に任せ、越えた一線だった自覚もある。
 …自暴自棄というのとは、かなり違うと思うけど。
 司への誤解が氷解したことで得た解放感と、いまや彼といることができなくなってしまった現在への寂寥と、そして不可思議な高揚感。
 純粋な類への愛情や、欲望からの衝動ではなかったかもしれない。
 カンのいい類のことだ、そうした彼女の心情など、とっくにつくし以上に見透かされていそうだ。
 「牧野?」
 「へ?」
 「だから眠いの?」
 「いや、そうじゃないんだけど。うーん、やっぱりそうなのかも?」
 「ぷ、どっちだよ、それ。ま、いいや。じゃ、俺もそろそろ寝ることにするよ」
 「あ、ああ…うん」
 ベッドサイドのルームランプのほの明るい常夜灯の明かりを残し、類がパチリと寝室の照明を落として、ゴソゴソとベッドにずり下がって姿勢を変える。
 そして、横たわった類の腕がスッと伸びて、彼に背を向け、無意識のうちにその一挙一動を過敏に窺っていたつくしの体を、後ろから抱き込んでくる。
 「…っ」
 息を呑む彼女の肩先に額をつけ、類が小さく息を吐き出した。
 首筋に触れる吐息にぞわりと湧き上がった感覚は決して嫌悪じゃないと思うのに、それなのに彼女は、緊張に硬ってしまった体の力を、抜くことができないでいる。
 「……ス」
 ビクッ。
 「牧野、おやすみのキス」
 「えっ!?」
 びっくりして振り返ったつくしの唇に、チュッと軽く触れるだけの温かな温もりが落ちてきて、つくしが目を瞬かせた。
 チュッ、チュッと、軽く音を立て角度を変えて、優しいキスが、啄むようにさらに二度落とされる。
 類の顔が離れて、彼女を抱く腕の力がわずかに緩んだ。
 つくしが自由に、その腕から逃れられる範囲の柔らかな拘束。
 もし、彼女がその腕から抜け出そうとしても、強引には引き止められないのだろうことが、容易に彼女にもわかる柔らかさ。
 目を瞑った類の顔を、つくしはマジマジと見つめた。
 少しも下卑たところのない、どこまでも清雅な美貌の男。
 彼にも、人間の男としての欲望も劣情もあるに違いないのに、どうしてか、彼の表情のどこにもそうしたものが見えなかった。
 それは、
 …やっぱり私には、そういう魅力や欲望を感じないってことなの?
 たった一度の交わりで、もう飽きられてしまったのかと切なくも思う。
 「別に俺、どうしてもケーキが食べられないと、生きていけないとか、そういうタイプじゃないから」
 「…………は?」




web拍手 by FC2

関連記事


総もくじ 3kaku_s_L.png イベント
総もくじ 3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ 3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ 3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ 3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 倉庫
総もくじ  3kaku_s_L.png イベント
総もくじ  3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
もくじ  3kaku_s_L.png 
総もくじ  3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話+
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ  3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話^
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ  3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ストック
もくじ  3kaku_s_L.png R短編集
もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ R
もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛の品格 R
もくじ  3kaku_s_L.png 愛妻生活 R
  • 【愛してる、そばにいて0619】へ
  • 【愛してる、そばにいて0621】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【愛してる、そばにいて0619】へ
  • 【愛してる、そばにいて0621】へ
にほんブログ村 小説ブログへ💛
スポンサーリンク

┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘
女性に大人気!ビジネスから恋愛相談まで全部500円~!  
価格満足度97%、日本最大級のココナラに今すぐ登録!!

┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘