「愛してる、そばにいて」
第8章 明日に咲く花①

愛してる、そばにいて0619

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 「ふぅん」
 つくしから返却させたスマートフォンの記事をざっと流し読みし、類は他に似たような雑誌のいくつかにも目を通したらしい。
 「今のところ、あきらの婚約者があんたに見せた雑誌と他、似たような路線の日本の雑誌社から出てる数誌だけみたいだね。あんたの写真まで掲載して、俺との結婚がどうのとまで書いているのは」
 「そうなんだ」
 知らず詰めていたらしい息をホッと吐く。
 悪いことをしているわけではないが、それでもまだ、こうして彼との関係を暴き立てられるようにして、他人の手によって晒される覚悟ができているとは言えなかった。
 「日本の雑誌だけなら、戒や陽ちゃんが見たりすることってないよね?」
 「どうだろ」
 「…………」
 思わず黙ってしまったつくしをチラッと見て、苦笑した類が、ポンポンと彼女の頭を小さく撫でる。
 「小学生だってスマホも持ってれば、ネットもやってるし、今の世の中、どこにいてもそう変わらないものが手に入る。…知ることもできるからね」
 そのとおりだ。
 「かといって、そんなに神経質になることもないよ。悪いことをしてるわけじゃないんだから」
 先ほど自分も思ったことが類の口からも出て、わずかに目を瞠り、…小さく頷く。
 「そうだね」
 「先に言っておくけど」
 「…うん?」
 「この記事、スッパ抜かせたのは俺じゃない」
 桜子はもしかしたらと、類自らこうした記事を書かせた可能性を示唆していた。
 しかし、
 「わかってるよ」
 つくしは類を信じていた。
 彼はけっして、彼女が望まぬことをしたりはしないと。
 そんな彼女の気持ちが伝わったのだろう。
 先ほどの苦笑とは違う柔らかな笑みを浮かべ、頷き返してくれる。
 「でも、たぶん…これは偶発的に出たものじゃないな」
 「…………」
 「あんたも予想してるんじゃない?」
 「桜子が」
 類ではないのなら、彼の父親かもしれないとも桜子は言っていた。
 「なるほど。あきらの婚約者も、けっこう‘食えない女’ってことみたいだね。それはともかくとして、ん~、22時…あっちはまだ昼ちょっと過ぎってところだから、逆にでない可能性大か。ましてや画策したならなおさら、しばらくは俺からの電話には出ないかもしれないけど」
 誰のことを言っているのか。
 もしかして、とは思う。
 「ちょっと待ってね」
 つくしに一言断って、類が再び携帯に向き直り画面をタップして耳に当てる。
 「………」
 しばらく電話の呼び出し音に耳を傾けていたが、やはりあらかじめ予想した通り、相手が出ないらしい。
 類のスマホから洩れる呼び出し音が、虚しく何度も同じ音を繰り返し、やがてはお馴染みの「電源が切られているか…」という機械音声の断り文句が流れる。
 電話を切って、再度かけ直すことを類は3度ほど繰り返し、諦めて今度は違う番号を呼び出す。
 トゥルルルルルルル、トゥ…。
 『はい、遠藤です』
 今度は2コールにも満たずに出た。
 類の第一秘書の遠藤だ。
 「ああ、俺。遅くに悪い…うん、それは平気」
 類が電話をしているのを、つくしは見るともなく見守りながら、彼が通話している間は特にやることがないのだからと、席を立って食べ終わった皿の片付けを始め出す。
 が、それほど長電話することもなく、携帯を切った類が小さく息を吐き、キッチンに立つ彼女をカウンター越しに振り返る。
 「どうやら、やっぱりこれって、俺の親父の差し金みたいだね。俺や遠藤が見逃したのもそう」
 「類のお父様が」
 やっぱりという気持ちと、桜子から聞いた時と同じ‘なぜ?’という気持ちがない交ぜになって湧き上がる。
 「一応、これでも、それなりに雑誌やネットの記事については、俺も気をつけてたつもり」
 「そうなの?」
 「うん。これも誤解して欲しくないんだけど、あんたとのことが公になったら困るとか、秘密にしておきたいとかそういうつもりじゃなく、…今はまだその時期じゃないと思ってたからなんだ」
 「それって…」
 「まだあんたから、結婚の承諾をもらってない」
 「類」
 「俺はあんたのことに関しては、外堀から埋めるようなマネをするつもりじゃないからさ。でも、それが親父には歯がゆかったんだろうね」
 類の父親が彼女にわざわざ会いに来た意味を思う。
 けっして花沢物産の社長が、専務である類よりも暇であるはずがなく、ヨーロッパを軸に活動していながら、息子に任せたはずの日本へとわざわざ自身が訪問したその意図は―――。
 「記事を止めさせなかっただけじゃなく、どちらかといえばあえて書かせた…が正しいかな。俺の目に止まらないように、裏から操作して遠藤にも目隠ししてる。あいつはあれでも、社内でも俊英の秘書だ。あいつの目を掻い潜るのは並大抵のことじゃないよ」
 「そう、なんだ」
 類はお飾りの役職などではなかった。
 その彼の意向を無視できる人間など、社内にそうはいるはずもない。
 しかし、それでもそれは、社長である類の父親を除けば、という但し書きがつく。
 『私とコレの母親にとって、類は一人息子だ。できれば孫の顔を見たい。このまま類との未来を考えているのなら、誰に後ろ指を指されぬようキチンと籍を入れるべきだし、籍を入れるつもりなら一日も早いほうがいい』




*****




 とりあえず明日は一日久しぶりのオフだとは言うが、かなり疲れたとボヤく類を追い立て、風呂に入れて一息つく。
 つくしもざっと後片付けを終え、シャワーを浴びて、寝室に入った頃には、類は紙の本を手にベッドに寝転がっていた。
 彼はいまだに紙の本を好んで、移動やらこうした夜のつかの間の読書の時間に、手にしていることがよくある。
 それがまたこの上なく彼には似合っていて、つい彼女も見惚れてしまう。
 …やっぱり花沢類のイメージってこうだよね。
 しかしだからといって、携帯でも読書をしないというわけではなかったし、類は特にレトロ好みというわけでもないらしい。
 「終わった?」
 「うん」
 「いつも言うけど、出かけて帰った時くらい、頑張って家事しなくていいんだよ?」
 「うん、わかってる。ありがと」
 つくしにしても、類の申し出をありがたく受けて、どうしても疲れた時や、忙しい時には手を抜くこともあった。
 けれど、海外に出張に行っていて、久しぶりに帰ってきた彼が、せっかく家で食事をしたいと言ってくれているのに、そうしてあげられないことの方がつくしにはイヤだったのだ。
 疲れて帰ってきたのなら、当然家でゆっくりしたい、寛ぎたいと思うのが人情だろう。
 たとえ宇宙人の彼にしても、そこら辺はご同様だ。
 …ただでさえ家好きだし、多少遅くなっても、いつも出来るだけ、家でご飯を食べたがるものね。
 なおさらのこと、つくしだって彼に出来るだけのことをしてあげたい。
 普段なんだかんだと、激務に立ち向かっている類を労ってやりたかった。 
 「私もさ、久しぶりに類と、一緒に家ご飯したかったから」




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