「愛してる、そばにいて」
第8章 明日に咲く花①

愛してる、そばにいて0618

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 「ただいま」
 「お帰りなさい」
 笑顔で出迎えるつくしへと類がニッコリと微笑んで、伸びてきた腕が彼女の腰を引き寄せ、チュッと頬へとキスが落とされる。
 そして、今度は唇へと。
 「チュッ。……何か、変わったことなかった?」
 額と額を合わせ、超至近距離で覗き込んでくるビー玉色の目を真っ直ぐに見ていられずに、つくしはドギマギと視線を泳がせる。
 「と、とくには」
 「ぷっ、ただいまのキスしたくらいで、そんなにキョドらなくてもいいんじゃないの?」
 「て、照れるのよ」
 なんというか、この連中には恥じらいとか、硬派とかいう文字はないのだろうか。
 …私たちは外人じゃないっつーの!
 「変なの。キスなんて挨拶じゃん?…っていうか、挨拶だけど。あんただって、海外暮らし長かったんだから、それこそいまさらなんじゃない?」
 「それはそうなんだけどさ」
 それだっていくら親しくても、マウスtoマウスのキスなんて、普通恋人や夫婦でもなければしないものなのだ。
 …そう言えば、私たち、こ、恋人同士なんだっけ?
 やや疑問形なのは、「ただいま」、「おかえり」のキスなんかしてしまう仲になっていながら、イマイチ会話にそうした空気が薄い気がするからか?
 類に腰を抱かれて居間に入り、彼がそのまま着替えに寝室に行った間に、つくしはサクサクと食事の配膳を進めてしまう。
 …よしよし、ちゃんと上着は持って部屋に戻ったな。
 アツアツのお椀をテーブルに置きながら、チラリとソファを振り返り、一人ほくそ笑んで頷く。
 これも彼女の教育の賜物だ。
 以前は帰ってくるなり、玄関だろうが居間だろうが、そこら中にジャケットやらネクタイ、下手をすれば蛇の脱皮ヨロシク、そこら中に脱いだものを撒き散らかしていたのだから。
 少しづつ矯正して、最悪でも脱いだものをソファにかけられるくらいにまでにはしておきたいものだ。
 類の躾も次の段階にステップアップする時がきたのか?
 …ん~微妙。今日はたまたまの可能性の方が高いかも。
 先日もステップアップを喜んでいたら、寝室の入口にてんこ盛りになった衣類の山に、青筋を浮かばさせられた。
 『あ、ごめん、シャワー行こうと思ったら、ベッドに呼ばれちゃってさ』
 とかなんとかよくわからない言い訳を、一眠りした後に宣っていらっしゃったものだ。
 カチャッという物音につくしが顔を上げると、寝室に行っていた類が、荷物と上着だけを置いて、居間へと戻ってきていた。
 「あれ?シャワー浴びてこなかったんだ?」
 「ん、食事してからにする」
 「そ?どうせあんたなんて、カラスの行水なんだから、先に入ってきちゃえばいいのに」
 「いいよ。完全に時差ボケってるし、どうせなら風呂に入りたいけど、そうすると間違いなくそのまま寝ちゃいそうだからさ」
 「なるほど」
 以前にそれをやられて、せっかく作った夕食が無駄になったことがあった。
 もちろん、次の日の朝にそれらを回してやり、朝っぱらからガッツリ食事を食べさせられることになった類も、一度で懲りたらしい。
 「へぇ、たった2週間あまりだけど、なんだか…すごい懐かしい気がするよ。牧野の作った和食」
 「そう?NYにだって、和食が食べられるお店なんて、いくらでもあるでしょ?」
 素っ気無さを装いつつ、目論見通りの類の反応に、ホクホクと箸とご飯の茶碗を差し出して、両手を合わせ、「いただきます」と言う類の対面側につくしも腰を下ろす。
 「NY最後の夜、味噌汁が懐かしいとか言う総二郎とあきらに引きずられて、あっちの日本料亭で和食は食べたかな」
 「……ムカつく」
 「ぷっ」
 もちろん冗談だが、それでもやっぱり、せっかく気をきかせたつもりだったのに、見事目論見を外されて面白くない気持ちにもなってしまう。
 「でも、俺が食べたかったのは和食じゃなくって、牧野のご飯だからさ」
 「………………」
 「あれ?暑い?」
 「うるさいわね、黙って食べなさいよ」
 赤くなった顔を一々揶揄してくる類の脛を、テーブルの下で小さく蹴り上げ、照れ隠しにバクバクと料理を口に入れる。
 「なんで、この汁物の野菜こんなに細かいの?」
 「た、たまにはいいでしょ?」
 「別にいいけど、…そのわりには焼き魚の薬味の大根おろしがイヤに目が粗いっていうか」
 「ウルサイ!あんたは小姑かっ、黙って食べるっ」
 「……あい」
 不審げにしながらもつくしに一喝されて、元々こだわらない男だったから、「ま、いいか」ということになったらしく、あとは特には突っ込まれない。
 …つみれ汁のお大根はともかく、さすがに大根おろしをみじん切りは無理があったわね。
 うっかり野菜という野菜をみじん切りにしてしまい、野菜を買い直しに行ったり、メニューを変更する時間がなかったことから、お腹に入れば一緒!という超法的論理で突っ走った結果、かなり違和感のある料理となってしまっていた。
 「でも、美味しいよ?」
 「へっ!」
 「俺、味噌汁の具が短冊だろうが、みじんだろうが、特に気にしないしね。まあ、さすがに腹に入れば一緒、とまでは思わないけどさ」
 「はははははは」




*****




 「は~、お腹いっぱ~い」
 桜子と軽く食べてきたというのに、気が付けばつくしも普通に一食分食べてしまっていた。
 ぽっこりと膨らんだ腹を撫でつつ、呻く彼女を見る類の目は優しい。
 しかし、小首を傾げ、
 「あんたにしては、あんまり食べなかったじゃん?」
やっぱり一言多いのはデフォだったが。
 「私にしてはって、あんたはいったい、私をどれだけ大食いだと思ってるのよ?」
 キッと睨みつければ、にっこりと世にも美しい微笑みで返され、気勢を削がれてしまう。
 「まったくズルいんだから、都合が悪くなるとすぐそうやって笑う」
 「ふふ。先に軽く食べてた?」
 見透かされている。
 「実はさ、少し前に桜子と一緒してて、軽くつまんできちゃったのよね」
 「桜子?」
 優紀の名前はさすがに覚えているようなのに、怪訝に問い返され苦笑する。
 「美作さんの婚約者よ」
 「ああ、…あんたとも親しかったんだっけ」
 「うん。秋頃に帰国するって聞いてたんだけど、それがもう帰っててね。偶然、出先で出くわして、そのまま夜まで一緒してたの」
 「へぇ」
 「それでね…」
 あれこれと桜子から聞いたこと、話したことを報告するともなく類に話す。
 「雑誌?」
 「うん。ちょっと時間なくて、本屋さんには寄れなかったから、紙の方はチェックしてないんだけど、桜子が定期的に購読している大衆紙に掲載されてたらしくて」
 類が小首を傾げ、テーブルに投げ出してあった携帯電話に手を伸ばした。
 そして、ササッと画面を操作して、流れるような速さで画面をスクロールしてゆき、指先が止まる。
 「ここらへんか」
 桜子と同じように、スマートフォンをつくしへと差し出してくる。
 「この中に、その雑誌ってある?」
 「あ…えっとぉ、あ…これ?」





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