「愛してる、そばにいて」
第8章 明日に咲く花①

愛してる、そばにいて0615

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 滋の話題から大きく流れて、話は司の結婚式の壮大さへ。
 桜子は直接参列したわけではなかったが、それでも遠く離れたヨーロッパの社交界にまで聞こえてくるほど、盛大なものだったらしい。
 「こちらでも、経団連や経済同友会関連のパーティで話題になっていましたよ。お互い再婚同士ですから、カトリック教会では離婚そのものを認めてませんし、プロテスタント教会で結婚式を執り行ったようですが、それがまた半端ない豪華さだったようで」
 「へぇ?」
 100人クラスの聖歌隊が集められただの、3000人は入れる礼拝堂に半分以下に絞られた参列者の面々もそうそうたるメンバーで、この二大財閥の威勢を一層世間に知らしめるものになった、などなど、桜子の話は尽きない。
 普段は世界各地に散らばり、身内同士でもめったに顔を合わせることがない、道明寺家・大河原家双方の親族縁者も一堂に会したらしい。
 「本来、プロテスタントの牧師に身分の上下はないんですが、わざわざそうした宗派を選んだんでしょうね。まあ、教会の規模や品格もあったのでしょうが、本来結婚式等の雑事を行わず、信徒の監督指導を行う司教クラスの人物が召喚されて、結婚式の牧師役を担われたそうですよ」
 「…へぇ」
 つくしにしてみても、さもありなんといったところか。
 それはおそらく派手好きの司の性格うんぬんではなく、財閥の示威行為であり、戦略的意味合いが強いのだろう。
 内外に二大財閥の権勢を見せつけ、さらにその二つの勢力の結び付きにより、より一層一族の繁栄の強化がなされたことを印象付ける目的。
 「結婚式が行われた地区では、結婚式の一連の式典やパーティの間、連日連夜振る舞い酒が街中の酒場で財閥より振舞われたそうです」
 「そうなんだ」
 つくしとの結婚式とはまるで違う。
 もちろん、つくしは自身の結婚式を卑下するつもりはなかったし、たとえできたとしても、そんな派手派手しいものなど望んではいなかった。
 けれど、本来そうした結婚式を行うことこそ相応しかった司の身上を思い、また、ついには成し遂げられた本来の彼自身の人生の道筋を思う。
 …これで良かったんだ。
 川が上流から下流へと流れてゆくように、あるいは太陽がけっして西から東には昇らないように、司も…そして、つくしもまた、彼らが生きるべき人生へと帰結したのだから。
 「先輩」
 「…ん?なに?」
 今度は桜子の方がつくしへと尋ねかける。
 「先輩は…もしかして」
 「……………」
 「……………」
 手の中のミネラルウォーターのグラスを覗き込んで弄んでいたつくしが顔を上げ、黙り込んでしまった桜子へと視線を向ける。
 「桜子?」
 「いえ、すみません。…その、優紀さんとはお付き合い長いんですか?」
 そういえば、桜子ともなんだかんだと長い付き合いになる。
 そのわりには、優紀とも引き合わせたことがなかったし、彼女のことを話したことがほとんどなかったと、いまさらながらに気がついた。
 …この子、日本にいなかったしね。
 「えっと、優紀は中学の時からの親友なの。高校時代も一緒にアルバイトしてたりして…あ~、かれこれもう20年だね、あの子とは」
 一口に20年と言ってしまったが、ひとりの人間が生まれて、成人に達するまでの長い長い歳月だ。
 付き合いの長さよりも、それだけの付き合いの人間がいる年齢になったのだと、あらためて驚くとともにシミジミとする。
 「高校時代も、ってことは、もしかしなくても、先輩が道明寺家の若奥様だったことを、優紀さんもご存じってことですよね?」
 探るような桜子の物言いの意図が見えない。
 しかし、つくしにしてみても隠すようなことではなかったから、素直に聞かれるままに応じた。
 「そうだね。……10年くらいは没交渉だったけど」
 いわずもがな、つくしが司によって海外へ連れ出されていた期間のことだということは、当然桜子にも察せられただろう。
 そして、
 「じゃあ、交際を再開されたのは、先輩が日本に帰られてからってことですか?」
 「ん、というか、私の記憶が戻ってからだね。高校までの、牧野つくしとしての過去を思い出してからということかな。優紀のことも忘れちゃってたし」
 「……………それじゃあ、もしかして?」
 察しの良くないつくしも、桜子の聞きたいことがやっとわかった。
 「あぁ…ん、全部知ってる。私が司の妻だったことはもちろんのこと、どうしてそういうことになったのか、事の始まりを含めて、何かと相談に乗ってもらったりもしてたよ」
 沈黙が広がった。
 いったい桜子は何を憂いているのか。
 つくしの事情を優紀に話したことだろうか?
 いや、そんなことのはずがない。
 つくしが誰を信頼して、誰に何を話そうが、彼女が信頼した相手のことだ、桜子がそれを不愉快に思う筋合いではない。
 …不愉快に思っている?
 だが、桜子の顔に浮かんでいる感情は、そうしたものともまた違う気がした。
 陰った表情の意味はいったいなんなのか。
 「先ほどの質問の答えを、まだいただいていませんでしたね?」
 「え?」
 「花沢さん」
 「…ああ」
 類のマンションに住み込みのメイドとして同居した経緯や、その後のことだったか。
 電話で話した簡単な経緯に付け加えて、現在の状況―――雇用関係を解消し、ただの同居人となっていることなどを話した。
 ただの…といっていいのか、大いに迷うところではあるものの。
 「それって…つまり」
 「付き合ってる、類と」
 ある程度は桜子も予想していたのだろう。
 驚いてはいなかったが、それでもやはり、意外ではあったに違いない。
 「えっとぉ、別に隠すつもりとかじゃなかったんだけどさ」
 「……ええ」
 「私としても、意外な成り行きというか、ホント、最初に再会した時には、全然そんなつもりはなかったし」
 あるいは…あきらあたりから、桜子も何か聞いているのではないかとも思っていたのだが…。
 …西門さん、美作さんとかに話してないのかな?
 類はおしゃべりな男ではないから、聞かれもしないのに自分からわざわざ言い触れ回りはしないだろうが、総二郎なら、ほとんどツーカーなあきらには何かしら話していそうだと思っていた。
 それでも、さすがに司にまで話はいってはいないだろうというのは、つくしの希望的観測だったか。
 …まあ、どちらにせよ、西門さんに口止めもしなかったし。
 あまり聞こえのいいことではないが、かといって、類と司が親友同士である以上、いつかは伝わる話なのだ。
 「花沢さんとのことは……」
 「…うん?」
 「私も、驚きましたけど、でも…そうですね。偶然の再会はともかくとして、昔のお二人のご様子を思い起こせば、意外といえば意外だし、でも、意外ではないのかもしれません」
 「え~?二人の様子って」
 それこそかつての、…高校時代の二人は、まるで何の関係もない間柄だった。
 つくしが類に片思いしていただけで。
 「花沢さんは、先輩の記憶喪失とか、…道明寺さんとの経緯もご存知なんですか?」
 「ん、それこそほとんど…全部知ってる、ていうか、話した。話さないわけにはいかないもの。司との離婚までのことに関してもね」
 俯き加減だった桜子が、空になったグラスに手を伸ばして、空であることに気づいた様子に、つくしがおかわりを注ごうとピッチャーに手を伸ばすのを遮って、自分で手酌で注ぎ入れる。
 そのグラスの水を口に含んでため息。
 「桜子?」
 「そう…ですか、なるほどね。……どおりで先輩の雰囲気が、まるで変わってらっしゃるはずです」
 その唇の端に浮かぶ笑みは自嘲に満ちて、先程よりもずっと、彼女の苦悩が色濃く滲んだ。
 「なに?どうしたの、あんた、さっきからいったい」
 居住まいを正して、桜子が真っ直ぐにつくしの目を見据える。
 「先輩、記憶、全部戻ってらっしゃるんですね?」
 「は?…戻ってるって、何をいまさら」
 「高校以前の記憶だけのことじゃありませんよ。道明寺つくしだった時代、もう一人のあなただった頃のこと。それこそすべて、道明寺さんを愛してらした頃のことも含めて、全部、思い出していらっしゃるんでしょ?」




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