「愛してる、そばにいて」
第8章 明日に咲く花①

愛してる、そばにいて0613

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 「本当は私が個人的に事業を始めることに関しても、美作家的にはよろしくないことだったと思います」
 「そうなの?」
 「ええ。それくらいなら、私もたいがい年が年ですし、さっさと嫁入って、美作商事の事業を手伝うべきだ…そういったことが、美作家の親族たちの間だけでなく、うちの親族の間にもありました」
 「そうだったんだ」
 桜子の家は、平安の世から続くといういわゆる旧華族の家柄で、当然、権高い親族も多い。
 いまだに古き良き時代の伝統や格式、因習が残っている家柄でもある。
 桜子自身はそうした家に生まれたお嬢様のわりに、かなり砕けてリベラルな性格で、むしろ本質的にはそうした体質は性分に合わないのだろうが、それでもこれまでは最愛の祖母の為に我を抑えていたらしい。
 「その、…それって美作さんの考えでもあるの?」
 「はい?」
 「嫁入って、美作商事の事業をっていうの」
 「ああ。まあ、本音では、ないはずがないとは思いますけど、それでも私の意志を尊重して、起業の折にも力を貸してくださったわけですしね」
 「ああ、そっか。そうだったんだっけ」
 つくしから見て、桜子とあきらは似合いであったし、見合いでまとまったカップルだというが、互いに相性も合っているようにも思えた。
 …二人でいる時は、いつ見てもラブラブだったものね。
 「それでも、結局、私とあきらさんの関係はあくまでも政略的なものですから。互いが互いの都合に合わなくなれば、破談も普通にありえることなんですよね」
 「……桜子」
 「でもだからと言って、せっかく軌道に乗った会社を今から放り投げることなんてとてもできません」
 「それはそうだよ」
 桜子個人のことだけではないだろう。
 そこには社員もいて、その社員たちには家族もいるのだ。
 会社の経営は遊びではない。
 自身の都合で無責任なことをしてしまえば、たとえ直接的には関わっていない人たちの中にも、そこに不幸な何かが生まれてしまうこともあり得るのだ。
 ―――道明寺財閥の経営陣が成したことによって一つの大きな会社が倒産し、その余波を受けた多くの人たちが人生を失い、道明寺家を恨み憎んだように。
 そしてその人たちによって、つくしや司、戒の運命も大きく変わってしまったように。
 しかし、反面疑問に思うこともある。
 桜子がそうした事態―――一度事業を始めてしまえば、そう簡単に辞めたり投げたりすることなどできないことは、初めからわかっていたこと。
 大企業の跡取り息子であるあきらと婚約している以上、いずれは自分が起業した事業が妨げになり、問題として自身に立ちはだかることなど容易に予想しえた未来だったはずだ。
 もちろん、あきらにしてみても。
 それなのになぜ…。
 「私たちももうなんだかんだで、婚約して7年ほどになりますからね」
 「…7年」
 普通に恋愛から発展した婚約ではありえないことだ。
 しかし、おそらく桜子のような政略でも普通のことではないだろう。
 ましてや、お互い年端のいかない少年少女ではない。
 桜子はつくしより一才下の32才、あきらなどは司と同い年だから34才のはずだ。
 ともにとっくに結婚していてもおかしくはない年齢だった。
 「成人同士の婚約ですから、普通はトントン拍子で進めば、即結婚。そうですね、一般の方々ほど簡単な話ではないですが、それでも1、2年内には結婚するのが普通でしょうかね」
 「……そうなんだ」
 「ええ」
 給仕係が横を通り過ぎる気配に、互いに口を噤む。
 だが、人の気配がなくなったからと言って、次の言葉を言いあぐねて沈黙が続く。
 気まずいわけではないが、さりとてわざとらしい雑談に切り替えるのも躊躇してしまう間。
 もし、今桜子がここで話を中断して、話題を変えてしまっても、つくしは深追いして突っ込むつもりはなかったし、逆に話したいというのなら彼女が話したいだけ付き合うつもりだった。
 「……そう言えば」
 「え?」
 「先輩って、まだ花沢さんのマンションで住み込みをされているんですよね?」
 「あ…ああ」
 すっかり忘れていた。
 桜子にはまだ、事情が変わってしまった類との付き合いを話してはいなかったのだ。
 日本にいてごく普通のOLである優紀とは違って、海外にいた桜子とは時差の壁もあり、わざわざメールで彼とのあれこれを送り付けるのもかなり躊躇してしまうことであったから。
 「いったいぜんたい、どうなってるんです?この前まではちょっとしたアクシデントで、なんてわかったようなわからないような理由を言ってらっしゃいましたけど、見知らぬ赤の他人だってあり得ない話だっていうのに、よりによって因縁のあの!花沢さんですって!?」
 司との離婚のいざこざに力を借りたおりに、どうしたきっかけだったか、学生時代につくしが類に抱いていた恋心を桜子にも知られてしまっていた。
 …でも、なんだか私が言い出す前に、桜子は知ってたぽいよね?
 桜子とは高校時代に接触をしたことがなかった。
 それでも当時から類のことは知っていたらしいし、当時からF4と言えば英徳の学生で知らぬ人間はいなかったから、彼らと濃く関わっていたつくしのことも、桜子が見知っていてもそれほどおかしくはないことなのかもしれない。
 そういえば、桜子は初対面の頃から、何かとつくしに類とのことを揶揄るような態度だった。
 「えっとさ。あの因縁の…って、桜子、あんた類のこと知ってたの?」
 「はあ?」
 「いや、F4がどうのってことじゃなくさ。あんた私が言い出す前から、学生時代に私が類に憧れていたの知ってなかった?以前からやたらと私に対して、類のことを引き合いに出してたりもしてたよね?どうしてそういうこと知ってたわけ?私、学生時代、あんたにそういうことを話すどころか、英徳であんたに会った憶えもないんだけど?」
 桜子に当然だと大きく頷かれる。
 「ええ。学生時代、私は先輩と直接お話ししたことなどありません」
 「そうよね?」
 「でも、英徳で先輩を知らない人間などいませんでしたよ」
 「へ?」
 そんなバカな、と言いかけ、さっき自分も司たちとの関わりから、桜子が自分を知っていたのかと予想立てていたのを思い出す。
 英徳で司やF4を知らない人間がいないのなら、当然司に逆らって、赤札まで貼られてなお学園に居残り、…彼の妻とまでなったつくしを知らない人間など確かにいなかっただろう。
 …ロクな知られ方じゃないけどね。
 「私は、先輩に憧れてもいましたから」
 「は?」
 意外すぎる言葉に、思わず間抜け顔を晒してしまう。
 「言ったこと、ありませんでした?」
 「うーん」
 「たぶん私だけじゃなく、非力な女の身で、ただ1人敢然と道明寺さんに対抗し続けていた先輩を、特別視していた生徒はかなりいたはずです。悪い意味もありましたけど、真逆の意味合いでも」
 「……………」
 確かに司の命令に従って攻撃をしかけてくる連中が大半だったが、中には影で話しかけてきてくれたり、励ましたりしてくれる生徒もいなかったわけではない。
 「その分、先輩が道明寺さんに屈したのには失望しましたけど。すみません」
 「いや、そう思われても仕方ないことだし」
 いまやその実態を桜子も承知だったから、つくしへと謝罪してくれるが、当時そうーーーつくしが司に屈して彼に阿るようになったと、誤解する人間もいたに違いない。
 そして、それもあながち間違いではなかった。
 当時の彼女には、もはや司に逆らい続ける意気地も力も残ってはいなかったのだから。
 「まあ、それはともかくあの頃、先輩が花沢さんに憧れてらしたことくらい、私だけでなく、知ってた人は他にもかなりいたと思いますよ?」
 「えっ!?」
 「というか、非常階段の逢引…とか言って、けっこう影でまことしやかに噂されてたの、先輩知らなかったんですか?」
 「ええっ!?」
 「そしてたぶん、道明寺さんも、そのことを知ってらしたのでは?」




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