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「愛してる、そばにいて」
第8章 明日に咲く花①

愛してる、そばにいて0609

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 「もしかしたら、今は戒君も幼くてわかってくれないかもしれない。でも、いつか大人になって、一人の人間としてあんたや…道明寺さんを見れるようになった時、たとえ全部ではなくっても、親にも人生があって、哀しさや寂しさ、苦しいことがあって、間違うこともある一人の人間なんだと、きっとわかってくれるんじゃないかな」
 「…優紀」
 自分が子供の立場の時には、親は完璧な人間のように映っていた。
 いや、それさえも意識しないほどに、子供にとっての親はすべてであり、世界の論理そのものだったのだ。
 やがてそうではないことに気がついて、その不合理さ不条理にも気が付く。
 しかし、それでも親は親であり、彼らが育んだものは
、心のどこかに根付き、核となって残り続けてゆくものなのだ。
 ―――つくしが、何があっても、千恵子や晴男の娘であるように。
 彼らをどんなに恨んで疎んじても、見捨てることなどできはしないのと同じように。
 …ああ。
 「あたしは、あんたには幸せになって欲しい。もちろん今の状態が、幸せじゃないなんて言うつもりはないし、結婚=ベストだとは、誰にも言えないことだとは思う。それでもあんたが今、そうして花沢さんのプロポーズを受けない理由が、確固たるあんたの主義とか意志の下でなされた選択だって言うのならともかく、あたしにはそうは見えないの。あんたがただ迷って、躊躇しているだけのように思えるのよ」
 優紀の言う通りだった。
 つくしにしてみても、結婚が終着点だとは思わない。
 けれど、だからと言って、類との関係が今のままで良いとも思ってはいなかった。
 そこにはもちろん、類の立場や世間体もあり、自分自身、戒のことを思えば、母親が内縁の夫と暮らしているということが、世間体的にもいいことではないということもある。
 もちろん結婚するはするで、複雑な諸問題は発生することだろう。
 だが、確かに内縁の妻でい続けるよりは、外聞的にも正しいことには違いない。
 まだまだ日本は保守的な国であり、世界的に見ても、やはり婚姻関係と内縁関係では、雲泥の差があるものなのだ。
 類と別れるか、あるいは彼と結婚するのか。
 「子供のこともね」
 「え?なに、つくし?」
 「類、初婚じゃない?」
 「うん?」
 かなりの面まで踏み込んで話している同性の親友ではあるが、それでも夜の生活同様、容易に言いあぐねて言葉に困ってしまう。
 「類のお父さんも言ってらしたけど、…類、あの人、案外子供嫌いじゃないし、自分の子供も欲しいんじゃないかなってね」
 「え?そ、それって」
 舌で唇を舐め、優紀の顔を窺い見る自分の顔が、いわゆる類がよく言うように、困った犬のような表情になっているのを自覚する。
 「たぶん、…なんだけどね。私、子供ができにくい体質なんじゃないかと思う。その、ただでさえ、えっと、そういうことが苦手…ていうか、あんまり機会もないってことになると、よけいに…ね」




*****



 話は尽きないが、いつまでも一か所に留まっているわけにもいかず、神前式や人前式の会場や各控室、美容室などを見学して式場を後にした。
 この後は、フェアの一貫であり、体験の一つである提携エステサロンの方で施術を受けることになっていて、カーナビを頼りに、とりあえずはサロンの駐車場の方へと車を移動した。
 しかし、さすがに東京のド真ん中だ。
 どうやら駐車場は、サロン専用というわけではないようで、パッと見、付近のビルにそれらしい看板が見当たらず、優紀と二人でスマホを片手に周辺を見回す。
 「あ、つくし、あれじゃない?」 
 「ああ、ホントだ」
 オフホワイトの大人しめの外観が、周囲のビルに溶け込んでいて、ざっと見回しただけでは、すぐに目につかなかった建物を指差し合う。
 「へぇ、上品な感じ」
 「そうだね。なんかオシャレ」
 建物の外観だけで、すでに経営者の美的センスが伺えて、二人の期待も高まった。
 「じゃ、行こうか」
 「うん。……あ」
 と、つくしが携帯をバッグにしまおうとしたタイミングで、ちょうど彼女の携帯が、甲高い音を一つ立てた。
 慌てて画面を確認すれば、‘類’の文字。
 「花沢さん?」
 「うん、メール」
 ざっとメールを開いて中身を確認すれば、あらかじめもらっていたスケジュール予告どおり、ちょうど今成田に到着したところで、これから入国審査や免税手続きを得て、東京に戻ってくるらしい。
 カチッとサイドボタンを押して、スリープにした携帯を鞄に戻すつくしを優紀が見守る。
 「…帰る?」
 「ん?」
 「花沢さん、帰国されたんでしょ?」
 「はは、ううん、せっかくなんだから、優紀と一緒に極楽エステを体験させてもらうよ。類の方はやっぱりこの後、東京に戻っても会社に直行で、帰るのは21時を過ぎるみたいだしね」
 「あら。海外から戻って、即仕事だなんて、せっかくの休日なのにホント大変だよね」
 優紀を促し、歩きながら雑談を交し合う。
 「そうだね。休日って言ったって、土日祝日休みの一般会社員の場合とは、やっぱりちょっと事情が違うかな」
 「そっかぁ」
 それでも極力休日はとるべく努力する男だったから、過労死することだけはなさそうではある。
 「まあ、一応、夕食はウチでとりたいってことだから、…ちょうどよかったかな。優紀は夜からカレとデートでしょ?」
 「うん、付き合ってもらっちゃってるのに、先の予定を入れててごめんね?」
 「なに言ってるのよ」
 そこはそこ、つくしにしてみても、友の幸せを素直に喜んでいるから、邪魔はしたくない。
 「優紀のカレこそ大変だね。今日みたいな休日出勤も珍しくないんでしょ?」
 「まあね。週休二日とか言っても、営業だしねぇ。なんだかんだ言って客先に呼び出されたら、デートの最中でも飛び出して行っちゃうんだよね」
 「あららら」
 経営者も激務だが、一般会社員だからと言って暇なわけではない。
 中には優紀のカレのように、司バリの激務に毎日を費やしているビジネスマンも日本では珍しくはないのだ。
 「じゃあ、せめてその貴重なアフターファイブだけでも、優紀が……」
 キキキキ。
 車が急停車する擦過音に眉根を寄せて、優紀と二人で後ろを振り返った。
 真っ赤なオープンカーがつくしと優紀の目と鼻の先、ガードレールの向こう側に停車して、車の窓を開け顔を覗かせる。
 左ハンドルの運転席に座っていた美貌の女が、大ぶりのサングラスをわずかに目元から下ろし、ニッコリと微笑んだ。
 「こんにちは、お久しぶりです」 




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